一般解剖学

系統解剖学



最終更新日: 12/05/30

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Nervous system(神経系)Systema nervosum

Central nervous system(中枢神経系;神経系中枢部)Pars centralis systemae nervosi; Systema nervosum centrale ちゅうすうしんけいけい;しんけいけいちゅうすうぶ Feneis: 268 15, 402 47

[A14_1_00_001] →(中枢神経系は脳と脊髄である。脳という語はしばしば中枢神経系と同義に用いられている。脳には12対の脳神経、脊髄には31対の脊髄神経が連絡する。中枢神経系は発生的に外胚葉に由来し、外胚葉から生ずる管が神経管で、脳、脊髄の原基となる。中枢神経系の多数の神経細胞とその突起からなり、神経要素の間を神経膠とよばれる特殊な組織が埋めている。ニューロンは1つの神経細胞(その細胞のもつすべての突起までを含める)をさす語である。神経細胞は多数の樹状突起、1本の軸索という2種類の突起を持つ。樹状突起は短いのに対して、最長の突起が軸索と呼ばれる。中枢神経の内部を灰白質と白質とに分けることがある。灰白質は神経細胞の細胞体とそこからでる突起の基部を多数含む部位のことであり、白質は神経線維(軸索)からなる部位のことである。神経膠は灰白質内にも白質内も存在する。)

General terms(一般用語(中枢神経系の))Nomina generalia いっぱんようご(ちゅうすうしんけいけいの)

Grey matter; Grey substance; Gray matter; Gray substance(灰白質)Substantia grisea かいはくしつ Feneis: 402 48

[A14_1_00_002] →(脳と脊髄では神経細胞体の集合している部分は有髄神経線維がないか、きわめて少なく灰色を呈するところからこの名称がある。脊髄では中心管を囲みH状を呈する。大脳半球と小脳では表面に神経細胞体が帯状分布するので、これをとくに皮質とよんでいる。灰白質には神経細胞の核周体、樹状突起、輪索起始部、軸索の終末やシナプス、神経膠細胞、血管が存在している。同じ機能をもつ神経細胞の細胞体の集団に区分し、これを神経核とよぶ。)

Nucleus(神経核;核)Nucleus しんけいかく;かく Feneis: 402 48

[A14_1_00_003] →(神経系ではある一つの機能にかかわる神経細胞の細胞体は集団を形成する傾向があり、この集団は末梢神経系では神経節、中枢神経系では神経核とよばれる。)

Nucleus of cranial nerve(脳神経核)Nucleus nervi cranialis のうしんけいかく

[A14_1_00_004] →(脊髄では前角は運動線維の起始領域であり、後角が知覚線維の終末領域であるが、このような脊髄での関係と同様に、脳幹の脳神経核でも遠心性線維を出す細胞のある起始核と、脳幹の外の知覚神経節の偽単極細胞の突起である求心性線維の終わる終止核とが見られる。 体運動性の核は正中線のそばにある:舌下神経核(舌筋へ);外転神経核、滑車神経核、動眼神経核。後者はいずれも眼筋へいく神経の起始核。 それらの外側に接して内臓運動性の核がある。真に内臓運動性で副交感神経に属する核と、かつては内臓運動性であったが、今では変化した鰓弓筋を支配する核とがある。副交感神経核に属するものは、迷走神経背側核(内臓へ行く)、下唾液核(舌下腺へ行く節前線維を出す)、上唾液核(顎下及び舌下腺へ行く節前線維を出す)およびエディンガーウェストファル核(瞳孔括約筋と毛様体筋への節前線維を出す)である。 鰓弓神経の運動核の系列は、下方では副神経(肩の筋を支配)、すんわち頚髄へまで伸びている副神経脊髄根核にはじまる。この核の系列は上方へは疑核すなわち迷走神経と舌咽神経の運動核(咽頭と喉頭の筋を支配する)、および顔面神経核(顔面筋を支配)へと続いていく。顔面神経核はすべての鰓弓神経の運動核と同じく深部にある。この顔面神経線維は背方へ向かい、菱形窩の底(顔面神経丘)で弓形を描いて外転神経核を内側から外側へまわって(顔面神経膝)、その後再び橋の下縁まで下行し、ここで脳幹から出て行く。鰓弓神経の最も上方にある運動核は三叉神経運動核(咀嚼筋へ行く)である。 さらに外側には知覚核が位置し知恵いる:そのうち内側のものは内臓知覚性の孤束核であり、ここには迷走神経と舌咽神経およびその他すべての味覚線維芽終わっている。さらに外側には三叉神経の核領域が広がっており、この領域には三叉神経主知覚核、三叉神経中脳路核、および三叉神経脊髄路核があって、すべての脳神経核のうちで最大の広がりをもっている。この領域には顔面、口および上顎洞からの外受容性感覚のすべての線維芽終わっている。最後に、最外側には前庭神経核と蝸牛神経核のある小野が位置しており、ここには前庭神経(平衡感覚器からくる)および蝸牛神経(聴覚器からくる)が終わっている。)

Nucleus of origin(起始核)Nucleus originis きしかく

[A14_1_00_005] →(起始核は脊髄および脳神経の運動神経線維の起始をなす運動ニューロンの集合で、脊髄では一続きの柱を、延髄や橋では不連続の柱を形成している。)

Terminal nucleus(終止核)Nucleus terminationis しゅうしかく

[A14_1_00_006] →(終止核は脊髄および脳神経の求心性線維が終わる菱脳と脊髄の神経細胞群の総称。)

Column(柱)Columna ちゅう Feneis: 402 48

[A14_1_00_007] →(柱は神経細胞体の集まりからなり、髄鞘がほとんどないので灰白色。)

Lamina(板;層)Lamina ばん;いた;そう

[A14_1_00_008] →(薄い扁平な板または層。そのような構造または層の一般用語。)

White matter; White substance(白質)Substantia alba はくしつ Feneis: 402 49

[A14_1_00_009] →(脳と脊髄の断面で髄鞘をもつ有髄神経線維が集合している部分は白色を呈し、この神経線維の集まった部位を白質とよぶ。大脳半球と小脳とでは白質が皮質に包まれていることから、この部位の白質はとくに大脳髄質、小脳髄質と呼ばれる。白質の中でも髄鞘の薄い神経線維の束は灰色がかっている。また、無髄神経線維が集まる部分は灰白質にみえる。白質を部位的に区分した場合には各部分を索、著明な神経線維の束を束、機能的に等質な神経線維の束を神経路または伝導路とよぶ。)

Funiculus(神経索;索)Funiculus しんけいさく;さく

[A14_1_00_010] →(無髄神経線維が集まる部分は灰白質にみえる。白質を部位的に区分した場合には各部分を索(神経索)と呼ぶ。)

Tract(神経路;路)Tractus しんけいろ;ろ

[A14_1_00_011] →(作用的に同一系統に属する神経細胞から出るところの同一作用を有する神経線維(軸索突起)は多くは集まって粗密なさまざまの神経束を作るが、これを神経路と称する。この神経路には脳あるいは脊髄の一定部位における同側の諸部を結ぶ連合神経路、左右両側の諸部を結ぶ投射神経路の3種がある。)

Fasciculus; Fascicle; Nerve fascicle(神経束;神経線維束)Fasciculus しんけいさく;しんけいせんいそく

[A14_1_00_012] →(末梢神経系では分布領域を同じくする、種々の性質の神経線維が集まって束をなすことが多いが、中枢神経系では同じような性質の神経線維が集合して走る傾向があり、これを神経束ないし神経路と呼ぶ。通常神経束は神経路よりも大きい神経線維の束を指すが、慣習上小さい束でも神経束といわれることがある。)

Commissure(交連;連合)Commissura こうれん;れんごう

[A14_1_00_013] →(交連は対応部の結合位置。一般的定義は解剖学的対応構造の接合を示すために使われ、常ではないがしばしば身体の中央面を横切るものに使われる。)

Lemniscus(毛帯)Lemniscus もうたい

[A14_1_00_014] →(毛帯は神経核から視床へ上行する神経線維の束。)

Fibre; Fiber(線維;神経線維)Fibra せんい;しんけいせんい

[A14_1_00_015] →(線維は神経膠性の被覆を含めた神経細胞の突起。)

Association fibre; Association fiber(連合線維)Fibra associationis れんごうせんい

[A14_1_00_016] →(連合線維は同じ大脳半球の異なる部分の大脳皮質を互いにむすぶか、同じ側の脊髄の異なった分節を互いに結んでいる神経線維。)

脳の縦断面において前頭葉と後頭葉のあいだの連合神経線維を模型的に示す(Cajal) a, b, c 錐体細胞;d 側枝の上行性終末分枝;e 神経の終末分枝;f 脳梁の横断面.

Commissural fibre; Commissural fiber(交連線維)Fibra commissuralis こうれんせんい

[A14_1_00_017] →(交連線維は正中線を交差して、神経系の左右の対応部位を互いに結合する神経線維。)

脳の横断面において交連線維と遠皮質性の線維との配列を模型的に示す(Cajal) A 脳梁;B 前交連;C 錐体路(随意運動の伝導路). a, b, c錐体細胞;d 側枝の上行性終末分枝;6 神経の終末分枝nervöse Endvezwetgung.

Projection fibre; Projection fiber(投射線維)Fibra projectionis とうしゃせんい

[A14_1_00_018] →(投射線維は大脳皮質と下位の大脳基底核、脳幹、小脳や脊髄とを連絡する線維で、皮質に向かう上行性線維と、皮質から起こる下行性線維とがある。投射線維は髄質に集まりレンズ核と尾状核との間で内包をつくり、さらに下方で大脳脚につづく。内包から上方で線維は皮質に向かって放散し、放線冠をつくる。)

Decussation(交叉)Decussatio こうさ

[A14_1_00_019] →(交差、交叉とは同種の部分または構造がX文型に交差していることに対する一般用語。)

Stria(条;線条)Stria じょう;せんじょう

[A14_1_00_020] →(線条は組織中にあって、色、構造、陥凹または隆起により区別される狭い帯状の構造。)

Reticular formation(網様体)Formatio reticularis もうようたい Feneis: 402 50

[A14_1_00_021] →(網様体は延髄、橋、中脳においてその中心をなす構造で、系統発生的に古く、あまり境界の明瞭でない細胞群(核)からなっている。核を構成する細胞は多極性で、その形、大きさも変化に富んでいる。樹状突起は長く、広汎にに分岐し、そこに多種類の入力が収束する。軸索は上行枝と下行しに二分し、豊富な側枝により複雑な結合を行う。細胞構築学的には次の三つのあての細胞柱が区別される。①縫線核と正中傍網様体核群、②内側核群(腹側網様体核、正中網様体核、巨大細胞網様体核、橋被蓋網様体核)、③外側群(外側網様体核、小細胞網様体核、楔状核、脚橋被蓋核)。これらの核は種々の経路を介して非常に広汎な領域と関係している。入力は脊髄(脊髄網様体路、脊髄視床路)、脳神経(Ⅴ、Ⅶ、Ⅷ、Ⅸ、Ⅹ脳神経の中枢枝)、大脳皮質(皮質網様体路)、小脳(室頂核網様体路、歯状核網様体路)、辺縁系(内側前脳束、背側縦束)、中脳(視蓋網様体路)に由来する。出力は視床(網様体視床路[中心被蓋路])、小脳(外側、正中傍、橋被蓋網様体核からの網様体小脳路)、脊髄(網様体脊髄路)などにいたる。また網様体にはモノアミン含有細胞が多数存在し、中枢神経系内で広汎な結合を行っている。縫線核群は世路と飲を含有する。核により結合は異なるが、脊髄脳神経核(Ⅴ-Ⅷ脳神経核、迷走神経背側核、弧束核)、オリーブ核、中心灰白質、小脳、四丘体、黒質、間質核、Darkschewitsch核、視床、視床下部、前頭葉、扁桃核、梨状葉、嗅球、嗅結節、大脳基底核などに線維を送る。アドレナリン含有細胞は青斑核のほかに弧延髄被蓋の腹側部や背内側部(孤束核の腹内側)に存在する。これらの細胞も広く、脊髄、脳神経核(ⅩⅡ、Ⅶ、Ⅴ脳神経核、迷走神経背側核、孤束核、蝸牛神経核)、オリーブ核、中心灰白質、四丘体、視床、視床下部、海馬、レンズ核、大脳皮質などに線維を送っている。)

Ependyma(上衣)Ependyma じょうい Feneis: 402 52

[A14_1_00_022] →(上衣は脳室と脊髄中心管の最内層を縁取っている、上衣細胞によって裏打ちされ、この細胞層を上衣とよぶ。)

Cortex(皮質)Cortex; Substantia corticalis ひしつ

[A14_1_00_022_1] →(神経細胞は部位によって中枢神経系の表面に集まって層構造を示すことがあり、このときには皮質いう。)

Medulla(髄質)Medulla ずいしつ

[A14_1_00_022_2] →(中枢神経系において有髄神経線維の集まった部分を白質または髄質という。)

Cerebral ventricles; Brain ventricles(脳室)Ventriculus のうしつ

[A14_1_00_022_3] →(ventriculusは、「腹、体」を意味するventerの指小形で、元来の意味は、「小さい胃」のことであるが、これから転じて、「小さい空洞」の意味になり、解剖学的には、脳室や心室を指す。脳室と脊髄中心管は、ともに胎生期の神経管の内腔から形成され、連絡している。一方脳室は小孔によってクモ膜下腔とも連絡しており、脳・脊髄はその内外を含めて脳脊髄液に浸された状態にある。脳実質は神経管、脳室はその内腔から形成される。したがって、脳室とそれを囲む脳実質は立体的に相似関係にある。たとえば、大脳半球には側脳室、間脳には第3脳室、中脳には中脳水道、橋・小脳の部には第四脳室が位置する。各脳室やクモ膜下腔の連絡口は脳外科領域でも重要で、人名を冠するものも多い。左右の側脳室と第三脳室を連絡する1対の孔は室間孔[モンロー孔]と呼ばれる。また、第四脳室にはクモ膜下腔との連絡口が2種あり、後方正中に位置する第四脳室正中口[マジャンディー孔]と、前外側の第四脳室外側口[ルシュカ孔]とを区別する。なお、中脳水道のことをシルビウス水道ということもある。)

金属を用いて作つた脳室系の鋳型標本 左側からみる.(9/10)

Sulcus limitans(境界溝)Sulcus limitans きょうかいこう Feneis: 282 25

[A14_1_00_022_4] →(正中溝の外側には境界溝という浅い溝があり、正中溝との間には内側隆起をつくっている。)

Roof plate; Dorsal plate(蓋板;背側板)Lamina dorsalis がいばん;はいそくばん

[A14_1_00_022_5] →(蓋板と底板には神経芽細胞はなく、将来、正中線を横切る神経線維の通路となる。)

Alar plate(翼板;背外側板)Lamina dorsolateralis; Lamina alaris よくばん;はいがいそくばん

[A14_1_00_022_6] →(翼板には鰓弓神経の感覚終止核が発育してくる。鰓弓神経の感覚繊維には、一般内臓性求心性general visceral afferent(GVA)、特殊内臓求心性special visceral afferent(SVA)、一般体性求心性general somatic afferent(GSA)、特殊体性求心性special somatic afferent(SSA)の4種類の神経線維がある。孤束核には一般内臓求心性線維である鰓弓由来臓器からの線維と、特殊内臓性求心性線維である舌および口蓋からの味覚線維が終止する。孤束核の外側には三叉神経脊髄路核がある。この核には一般体性求心性線維である顔面からの感覚線維が終止する。翼板の一番外側で第四脳室外側窩のすぐ腹側には内耳神経の終止核が分化してくる。この核は特殊体性求心性線維である前庭神経と蝸牛神経の終止核である。)

Basal plate; Ventrolateral plate(基板;腹外側板)Lamina ventrolateralis; Lamina basalis きばん;はいがいそくばん

[A14_1_00_022_7] →(基板には運動性脳神経核が分化してくる。運動性脳神経核は体性運動性神経核と内臓性運動性神経核に分けられる。体性運動性神経核は脊髄前角の大形多極性細胞群の吻側への延長とみなすことができる。脳では体性運動性細胞柱を作っている。これらの神経核からの出る神経線維は筋節myotome由来の横紋筋を支配している。体性運動性神経核のうち第12脳神経である舌下神経の起始核は髄脳にあり、第6脳神経である外転神経の起始核は後脳にある。とぢらの神経核も正中線近傍にあり、機能的には純運動性で一般体性遠心性general somatic efferent (GSE)神経核である。内臓性運動性神経核はさらに一般内臓性遠心性special visceral efferent (SVE)に分けられる。一般内臓性遠心性神経核としては髄脳にある迷走神経背側核と舌咽神経の下唾液核、および後脳にある顔面神経の上唾液核がある。これらの神経核に由来する線維は自律神経に属し、平滑筋、心筋、腺を支配する。特殊内臓性遠心性神経核は脊髄にはみられなかった核で菱脳で初めて出現する核である。これに属する神経核としては髄脳にある疑核および後脳にある顔面神経核と三叉神経運動核がある。)

Floor plate; Ventral plate(底板;腹側板)Lamina ventralis ていばん;ふくそくばん

[A14_1_00_022_8] →(蓋板と底板には神経芽細胞はなく、将来、正中線を横切る神経線維の通路となる。)

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