一般解剖学

系統解剖学



最終更新日: 12/06/01

funalogo.gif (2604 バイト)













funalogo.gif (2604 バイト)

Nervous system(神経系)Systema nervosum

Central nervous system(中枢神経系;神経系中枢部) Systema nervosum centrale

Spinal cord(脊髄)Medulla spinalis せきずい Feneis: 268 16

[A14_1_02_001] →(脊髄は頚部(頚髄)、胸部(胸髄)、腰部(腰髄)、仙骨部または脊髄円錐(仙髄と尾髄)とからなり、それぞれ髄節に分かれ、それに対応して31対の脊髄神経が出る。頚髄では8対の頚神経、胸髄では12対の胸神経、腰仙髄では各々5対の腰神経と仙骨神経とが出る。尾髄からは通常1対の尾骨神経が出る。上肢および下肢支配の神経の出る頚髄下部と腰髄下部は発達が著しく、太くなっており、それぞれ頸膨大、腰部大とよばれる。脊髄下端は細くなり脊髄円錐となっておわる。その高さは成人では第1ないし第2腰椎の高さに相当する。新生児、幼児では低く第3腰椎の高さでおわっている。脊髄円錐の先はさらに細く糸状の終糸となって尾骨の背面に付着している。終糸に沿って走る脊髄神経の束はその形状から馬尾とよばれている。脊髄外側面でその腹側と背側の正中には(前)正中裂および(後)正中溝とよばれる溝があり、脊髄を左右の半分に分けている。前者は後者より深く、そこには前脊髄動脈が走っている。左右の脊髄半の外側面には腹側の前外側溝と背側の後外側溝の二つの溝がある。頚髄の高さの背側面は中心部の灰白質とその周辺の白質から成る。灰白質はそれぞれ前角(柱)、中間質(帯)、後角(柱)がある。灰白質の中央を貫いて中心管が通る。上方は第四脳室に開き、下方は脊髄炎水の所では拡大して終室となる。白質は前外側溝と後外側行と②より腹側の前索と外側の側索および背側の後索の3部分に分けられる。頚髄の高さで後索は後中間溝により内・外の薄束と楔状束とに分けられる。)

脊髄の被膜 脊柱管は第11胸椎から仙骨の上端まで椎弓を取り去って開いてある.脊髄硬膜およびクモ膜は正中線で切り開いて側方に折り返してある,馬尾は右と左に分けてある.  (GerstenbergとHein 1908より).

脊髄と脊髄神経および交感神経幹(Quainより) V 三叉神経;XII舌下神経;C1 第1頚神経;C2~8 第2~第8頚神経;Th 1~12 第1~第12胸神経; L1~5 第1~第5腰神経;5 1~5 第1~第5 仙骨神経;6 尾骨神経;x, x 脊髄の 終糸.L1の根からxまでが馬尾;Rr腕神経叢;Cr 大腿神経;Sc 坐骨神経;O 閉鎖神経.数字3, 4, 5のところのふくらみは脊髄神経節によるもの. 図の左側には交感神経幹が示してあり,aからssまでは幹神経節;a 上頚神経節;bとcは中および下頚神経節;d 第1, d'第12胸神経節;l 第1腰神経節;ss 第1仙骨神経節.

 

終糸を×印のところで切断して,別に示したもの(Quainより)

延髄と脊髄の前面(図373)および後面(図374) (Quainより).×は終糸を切断した場所.

脊髄の下部と馬尾およびこの両者を取り巻く硬膜(1/3)後面(Quainより)

脊髄の頚部の一部とそこから出る神経根×2(Quainより)

脊髄とその被膜および後根をうしろからみる;A, B, Cの3部に分けてある.1/2 (Sappey)  硬膜の嚢は部分的に取り除いてうしろから切り開いてある.左側では後根を取り去って,歯状靱帯の配列がよく見えるようにしてある.右側では神経根が硬膜を貫いているのが見渡せるようにしてある.Aでは(上の)1に第1頚神経,VIIIは第8頚神経(下の)I・II・IIIは第1から第3までの胸神経を示し;BではIVは第4胸神経,XIIは第12胸神経,1は第1腰神経を示す;CではIIおよび(中央の)Vをもって第2と第5腰神経,1および(下の)Vをもって第1と第5仙骨神経を示す.1菱形窩;2 結合腕;3 橋腕;4索状体;5 槌子;6 舌咽神経;7 迷走神経;8 副神経;9,9,9,9 歯状靱帯が硬膜に付着するところ;10,10,10,10脊髄神経の後根が出るところ;11,11,11,11 後正中溝;12,12,12,12 脊髄神経節;13,13 脊髄神経の前根;14 脊髄神経が前枝と後枝とに分れるところ;15 脊髄円錐;16,16終糸;17,17 馬尾.

 

脊髄膜 第4頚椎を通る横断面.硬膜は黄;クモ膜は白;硬膜の外にある静脈と軟膜腔は青で示す.

脊髄膜 第2腰椎を通る横断面(GerstenbergとHein 1908より)

External features(表面の形状(脊髄の))Morphologia externa ひょうめんのけいじょう(せきずいの) [A14_1_02_001_1]

Cervical enlargement(頚膨大)Intumescentia cervicalis けいぼうだい Feneis: 268 17

[A14_1_02_002] →(頚膨大は第4頚髄と第一胸髄からできていて、腕神経叢を形成する神経根がおこる。)

Lumbosacral enlargement(腰仙膨大;腰膨大)Intumescentia lumbosacralis ようせんぼうだい;ようぼうだい Feneis: 268 18

[A14_1_02_003] →(腰膨大からは腰神経叢(第一腰神経から第四腰神経まで)と仙骨神経叢(第四腰神経から第二仙骨神経まで)を形成する線維が起こる。)

Conus medullaris; Medullary cone(脊髄円錐)Conus medullaris せきずいえんすい Feneis: 268 19

[A14_1_02_004] →(脊髄円錐は第一または第二腰椎の高さで、先が尖って終わる脊髄の端、終糸へと移行する。)

Spinal part of filum terminale; Filum terminale spinal part(脊髄終糸;終糸脊髄部;終糸の脊髄部)Pars spinalis fili terminalis; Filum pars spinalis せきずいしゅうし;しゅうしせきずいぶ;しゅうしのせきずいぶ Feneis: 268 20

[A14_1_02_005] →(終糸の脊髄部は終糸のうち脊髄円錐をでたばかりのところで、なお中心管を残している部分。)

Terminal ventricle(終室)Ventriculus terminalis しゅうしつ Feneis: 268 21

[A14_1_02_006] →(終室は脊髄円錐の下端における中心管のふくらみ。中心管は部位により、人によって種々の大きさ、形を呈する。)

Anterior median fissure of spinal cord; Ventral median fissure of spinal cord(前正中裂;腹側正中裂(脊髄の))Fissura mediana anterior medullae spinalis ぜんせいちゅうれつ;ふくそくせいちゅうれつ(せきずいの) Feneis: 268 22

[A14_1_02_007] →(脊髄には、前面と後面とに正中を縦走する溝がみられる。前面の溝は深く前正中裂と呼ばれる。)

Posterior median sulcus of spinal cord; Dorsal median sulcus of spinal cord(後正中溝;背側正中溝(脊髄の))Sulcus medianus posterior medullae spinalis こうせいちゅうこう;はいそくせいちゅうこう(せきずいの) Feneis: 268 23

[A14_1_02_008] →(左右の後索の間にある浅い縦溝。(Feneis))

Posterior median septum of spinal cord; Dorsal median septum of spinal cord(後正中中隔;背側正中中隔(脊髄の))Septum medianum posterius medullae spinalis こうせいちゅうちゅうかく;はいそくせいちゅうちゅうかく(せきずいの) Feneis: 268 24

[A14_1_02_009] →(後正中溝上におけるクモ膜下結合組織の肥厚。頚髄部には少なく、胸髄部に目立つ。(Feneis))

Anterolateral sulcus of spinal cord; Ventrolateral sulcus of spinal cord(前外側溝;腹外側溝(脊髄の))Sulcus anterolateralis medullae spinalis ぜんがいそくこう;ふくがいそくこう(せきずいの) Feneis: 268 25

[A14_1_02_010] →(脊髄の前外側溝は脊髄の腹側の脊髄神経前根の出口に見られることのある浅い溝。(Feneis))

Posterolateral sulcus of spinal cord; Dorsolateral sulcus of spinal cord(後外側溝;背外側溝(脊髄の))Sulcus posterolateralis medullae spinalis こうがいそくこう;はいがいそくこう(せきずいの) Feneis: 268 26

[A14_1_02_011] →(脊髄の後外側溝は後正中溝の両側にある縦溝。つまり後索と側索を分けている。脊髄神経後根の出口。)

Posterior intermediate sulcus of spinal cord; Dorsal intermediate sulcus of spinal cord(後中間溝;背側中間溝(脊髄の))Sulcus intermedius posterior medullae spinalis こうちゅうかんこう;はいそくちゅうかんこう(せきずいの) Feneis: 268 27

[A14_1_02_012] →(脊髄の後中間溝は正中溝の両側にある縦溝。薄束と楔状束との境界を外面から示す。)

Funiculi of spinal cord(脊髄索)Funiculi medullae spinalis せきずいさく Feneis: 270 01

[A14_1_02_013] →(脊髄の白質は主として縦走する有髄線維から成なり、灰白質の外方に脊髄索、すなわち前索、後索および側索を作る。後索は下等動物では発育が悪いが、高等動物、おとにヒトではよく発達し、左右の後索は後正中溝およびそれに続いて正中面にある薄い隔板(後正中中隔)によって分離される。脊髄の白質には脊髄と脳を結ぶ投射神経路と脊髄の各部を結ぶ連合神経路がある。前者には上行性(知覚性)のものと下行性(運動性)のものがある。)

Segments of spinal cord(脊髄節)Segmenta medullae spinalis せきずいせつ Feneis: 270 05

[A14_1_02_013_1] →(脊髄を脊髄神経に対応して便宜的に頚部、胸部、腰部、仙部、尾部に区分し、さらに頚部を第1頚髄(C1)から第8頚髄(C8)、胸部を第1胸髄(T1)から第12胸髄(T12)、腰部を第1腰髄(L1)から第5腰髄(L5)、仙部を第1仙髄(S1)から第5仙髄(S5)、尾部を第1尾髄(Co1)から第3尾髄(Co3)というように表している。脊髄は脊柱より短いので、各脊髄節は対応する脊柱の各部と同じ高さにない。たとえば、仙部はほぼ第1腰椎の高さにある。)

Cervical part of spinal cord; Cervical segments; Segmentation of spinal cord [1-8]; Cervical spinal cord(頚髄;頚髄節;頚部[第一-第八頚髄節](脊髄の))Pars cervicalis medullae spinalis; Segmenta cervicalia [1-8] けいずい;けいずいせつ;けいぶ[だい1けいずい-だい8けいずい](せきずいの) Feneis: 270 06

[A14_1_02_014] →( 頚髄は比較的大きく、白質も多量で、全景が卵形をしているなどが特徴である。横径は、ほとんど全部の頚髄レベルで前後径大きい。左右の後索は、明瞭な後中間中隔によって、内側にある薄束と外側にある楔状束とに分けられる。下位頚髄(第五頚髄以下)では、後角は拡大し、よく発達した前角側索へと広がる。後角頚の知覚には、網様体という鋸歯状の細胞野があり、これは全頚髄を通じて存在する。上位頚髄(第一頚髄と第二頚髄)では、後角は拡大しているが、前角は比較的小さい。)

第1頚髄の横断面(その高さについては図459を参照). 有髄神経線維は黒,神経細胞は赤.

Thoracic part of spinal cord; Thoracic segments [1-12]; Thoracic spinal cord(胸髄;胸髄節;胸部[第一-第十二胸髄節](脊髄の))Pars thoracica medullae spinalis; Segmenta thoracica [1-12] きょうずい;きょうずいせつ;きょうぶ[だい1-だい12きょうずいせつ](せきずいの) Feneis: 270 07

[A14_1_02_015] →( 胸髄はそのレベルが違うと、かなり大きさが違っている。胸髄の径が小さい理由は、なによりもまず灰白質が小さくなることによる。さらに、薄束と楔状束とは伴に上位胸髄(第一胸髄から第六胸髄)において認められるが、それ以下のレベルでは薄束をみるのみである。一般に、前角、後角は小さく、多少とも先細りになっている。ただし第一胸髄節は例外で、頚膨大の最下部を形成している。小さく突出する側角は全胸髄に存在し、中間質外側部細胞柱がある。これは遠心性のの交感神経節前線維を出す。後角基部の内側部には大型細胞の円形集団があり、これがClarkeの背核(胸髄核Nucleus thoracicus)である。この核は全胸髄節にわたり存在するが、特に第十胸髄節(T10)から第二腰髄(L2)にかけてよく発達している。)

Lumbar part of spinal cord; Lumbar segments [1-5]; Lumbar spinal cord(腰髄;腰髄節;腰部[第一-第五腰髄節])Pars lumbaris medullae spinalis; Segmenta lumbaria [1-5] ようずい;ようずいせつ;ようぶ[だい1-だい5ようずいせつ] Feneis: 270 08

[A14_1_02_016] →(腰髄では横断面がほとんど円形である。太い前角と後角があり、白質は、頚髄節よりも相対的にも、絶対的にも少ない。後索を形成構成している薄束はここより上位のレベルにおけるほど広くなく。特に灰白交連の近傍の部分でそうであるし、また著しく特徴的な形をしえちる。よく発達した前角は側索に広がる鈍い突起を持っていて、第三腰髄から第五腰髄でこの突起内にある運動性細胞は下肢の大きな筋群に分布する。上位腰髄(第一、第二腰髄)下位の胸髄節に類似しており、おおきなよく発達した胸髄核や中間質外側部の細胞群が認められる。)

Sacral part of spinal cord; Sacral segments [1-5]; Sacral spinal cord(仙髄;仙髄節;仙骨部[第一-第五仙髄節])Pars sacralis medullae spinalis; Segmenta sacralia [1-5] せんずい;せんずいせつ;せんこつぶ[だい1-だい5せんずいせつ] Feneis: 270 09

[A14_1_02_017] →(この髄節の特徴は大きさが小さく、その割に多量の灰白質があり、短くて厚い灰白交連があることである。前角と後角は大きく太いが、前角は腰髄説におけるように外側へ突出してはいない。下方に行くに従って、仙髄節は全体的な大きさ著しく縮小するが、灰白質は比較的、大きな役割で残っている。)

Coccygeal part of spinal cord; Coccygeal segments [1-3](尾髄;尾髄節[第一-第三尾髄節](脊髄の))Pars coccygea medullae spinalis; Segmenta coccygea [1-3] びずい;びずいせつ[だい1-だい3ぶずいせつ](せきずいの) Feneis: 270 10

[A14_1_02_018] →(尾髄節は下位仙髄節に似ているが、その径は著しく小さくなっている。後柱の中で神経線維はその外側方向に広がり、後角の膨れた部分に到達する傾向を示す。)

Internal features(内部の特徴(脊髄の))Morphologia interna ないぶのとくちょう(せきずいの) Feneis: 270 11

[A14_1_02_018_2] →(脊髄は、末梢気管を支配する回中枢であると同時に、上位の中枢(脳)からの指令を伝える伝導路の役割もそなえている。大まかにいえば、神経細胞を含む灰白質が中枢として働き、神経線維からなる白質が伝導路としての役割を担っている。(イラスト解剖学))

脊髄の横断模型図 柔膜および歯状靱帯をつけてある. 神経細胞は赤で示す.

体長14 cmのヒト胎児の脊髄のグリア (クローム銀染色) (v. Lenhossék)  右側は上衣線維とその起りをなす細胞Ependymgerüst,左側はグリア細胞. 前,後の上衣楔Ependymkeil.

1個の脊髄をいろいろの高さで横断した図

血管周囲境界膜 ヒトの正常な大脳皮質から(Bauer, K., Z. Zellforsch., 30. Bd.,1940の図の一部);

ヒトの脊髄の表面付近

孵化9日目のニワトリ幼仔の胸髄の前根細胞と後根細胞 A 前根;B 後根;C 前根細胞(運動性神経細胞);C 前根細胞の神経突起;D 後根の脊髄内にある部分;e 1本の側枝の起始部,この側枝は!に向かって枝分れしている;g 根線維の側枝からつづく最後の小枝;d 分岐部;E 脊髄神経節;h 双趣神経細胞;i もう1つ別の双極神経細胞であって,これは哺乳類形に似ている(Cajalによる).

脊髄神経節の構成およびその細胞の模型図:脊髄および交感神経幹との結合関係を示す(Hirt, Z. Anat. Entw.,87. Bd.,1928より) 1 体知覚細胞;2 内臓知覚細胞;3 その両突起細胞求心性(cellulipetal)に伝導する細胞;4 その両突起細胞遠心性(cellulifugal)に伝導する細胞;5 単極細胞;6 介在細胞.

脊髄の構造を模型的に表わした図 左側は側枝,右ボわは神経細胞を示す.(v. Lenhhossék) 右側は運動性細胞で,その神経突起に側枝がある;赤は前側索に線維を出す索細胞,その中にはまたクラーク柱の細胞およびローランド膠様質の辺縁帯の細胞もそれぞれ1つずつ含まれている;前索細胞の側枝がよく発達していることに注意せより紫は交連細胞,この種に属する「短い」突起をもつ細胞の1つを斜線で示してある; 緑は後索細胞,小さい細胞はローランド膠様質の細胞である;は短い神経突起を有つ細胞;9 側索基礎束.左側は脊髄神経節の細胞,後根,その分岐部および灰白質のいろいろな領域に終る側枝,しかも左から右へ次の順序になっている:後柱における終末,灰白質の中間部における終末,前柱における終末(反射側枝Reflexkollateralen), クラーク柱および他側の後柱における終末;赤は前側索の側枝として総括されうるもの;は交連細胞の神経突起の側枝;は錐体路の側枝の終る様子.

1個の知覚性ニューロンの構造

脊髄の一部を切りだして,そこで多数の運動性ノイロシと1個の知覚性ニューロンと1個の索細胞とが連絡する関係 矢印は興奮の伝わる方向を示す.(Köllikerによる).

白前交連の線維の起始と走行 2,3本の知覚性側枝の走行(Köllikerによる).

(遅動性の)錐体側索路および(知覚性の)後索伝導路の経過(Cajalによる).

脊髄における種々の伝導路の領峨を示す(模型図).1つの断面にまとめて書きこんである.赤は下行性の伝導路,黒はその他のもの全部. ca前柱の運動性の細胞;MZ中央細胞;Nd背核;R反射側核;S側柱の核.--後柱の核から出る線維の中で破線の部分は,線維のこの部分がこの横断面上になくて,外側上方に走っていることを意味する.

Central canal of spinal cord(中心管(脊髄の))Canalis centralis (Medullae spinalis) ちゅうしんかん(せきずいの) Feneis: 270 12

[A14_1_02_019] →(腔壁は上衣によって裏打ちされた神経管の管腔で、その脳部は残存して脳室を形成する。腔所は脳脊髄液でみがされる。脊髄の第四脳室にはじまり、脊髄全長を貫いて、脊髄円錐の尾端で終室となっておわる、きわめて細長い管腔をいう。成人脊髄では中心管は所々でつぶれていることが多い。)

Grey matter of spinal cord; Grey substance of spinal cord; Gray matter of spinal cord; Gray substance of spinal cord(灰白質(脊髄の))Substantia grisea (Medullae spinalis) かいはくしつ(せきずいの) Feneis: 270 13

[A14_1_02_020] →(脊髄において神経細胞が集団をなして存在する部分で、その横断面の形は高さによって異なるがH型をなしている。灰白質は頭尾方向に柱をなし、さらに背側部の後柱(角)と腹側部の前柱(角)とに分けられる。胸髄と腰髄上では外側部に側柱(角)が認められる。前角と後角の間の部分は中間質(帯)とよばれている。灰白質にある神経細胞の集団は細胞構築学的にRexedが行った第Ⅰ層からⅩ層までの層区分は、機能的全体像がみやすいという点で旧来の、諸柱(または諸核)を個別に命名する方法よりも利用価値が高い。Rexedの各層の番号は、後角尖からはじまって前角に向かう順序となっており、Ⅰ~Ⅹのローマ数字が用いられている。 第1層は後角の帽子に相当するような薄層である。この層のニューロンは後根から脊髄に侵入する温・痛覚線維の一部を受け、反対側の脊髄視床路の成分の一部になるような上行性線維を伸ばす。 第Ⅱ層は旧来名の膠様質に相当する。これのニューロンは痛覚に関係したかなりの量の神経信号を、後根からの線維群ばかりでなく延髄網様体の大縫線核からの下行線維群からも受ける。したがって痛みの調節(セロトニン、ノルエピネフリン、P物質、エンケファリンなど多様な神経伝達物質が使われ、また触覚受容ニューロンも関与する。この層内に存在するニューロン細胞体は、軸索突起を、上行性伝導路に直接伸ばすのではなく第Ⅰ、Ⅳ、Ⅴ層ニューロンにシナプス伝達を行なうために伸ばすだけである。 第Ⅲ層と第Ⅳ層は第Ⅱ層に似てはいるが、しかし第Ⅱ層よりも多数の、後根からの痛覚・温度覚・触覚線維を受ける。また、第Ⅲ、Ⅳ層のなかに第Ⅴ層の大型ニューロン(反対側を上行する脊髄視床路の成分となる軸索突起を伸ばすもの)の樹状突起群が侵入している。上衣の頚髄における第Ⅰ~Ⅳ層は一体化し、三叉神経脊髄路核に移行する。第Ⅴ層は後根からの求心性線維、第Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ層の介在ニューロン、などからの神経信号を受ける。第Ⅴ層ニューロンから伸びる軸索突起群は、反対側を上行する温・痛覚と軽微(粗大)な触覚のための伝導路、すなわち脊髄視床路の主要成分をなす。皮質脊髄路、赤核脊髄路からの多くの下行性線維も第Ⅴ層に終わる。 第Ⅵ層はおもに頚膨大と腰仙膨大に存在し、顧客筋からの固有感覚入力を受ける。 第Ⅶ層には、いくつかの大きなⅣ細胞集団が多数の介在ニューロンとともに含まれている。中間質外側核と呼ばれる細胞集団は第1胸髄から第2腰髄までの高さにおける脊髄灰白質の側角をなすものであるが、この細胞集団は交感系節前ニューロン細胞体の第Ⅶ層での集まりにほかならない。中間質内側核という名の細胞集団は脊髄の全長にわたっって第Ⅶ層に存在するものであり、臓性求心性線維群を受ける。胸髄核(クラーク背側核とも呼ばれるもの)は第1胸髄から第3胸髄までの第Ⅶ層にあり、筋紡錘や腱器官などからの固有感覚入力を受ける。胸髄核から発する軸索は同側上行性の後脊髄小脳路を形成する。また、第2~4仙髄での第Ⅶ層には、仙髄副交感核(副交感系の節前ニューロン細胞体の集まり)がある。 第Ⅷ層は筋緊張、姿勢の反射的調節にあずかる前庭脊髄路や網様体脊髄路からの下行線維を受ける。この層のニューロン細胞体から伸びる軸索は、同側および反対側の第Ⅶ層と第Ⅸ層に終わる。 第Ⅹ層では体性遠心性ニューロン(前根から脊髄をでて骨格筋に向かう軸索を有すもの)の脂肪体が内・外側集団をつくる。内側集団(別名:内側核)は体幹筋支配にあずかり、脊髄全長における第Ⅸ層で認められるのに対して、外側集団(別名:外側核)は上・下肢筋支配にあずかる関係で頚膨大と腰仙膨大における第Ⅸ層にしか認められない。アルファ運動性、ガンマ運動性の両方のニューロン細胞体が第Ⅸ層に存在している。 第Ⅹ層は脊髄中心管を囲む領域であり介在ニューロン、神経膠細胞、交叉性軸索がそこに含まれている。)

Anterior horn of spinal cord; Ventral horn of spinal cord(前角;腹側角(脊髄の))Cornu anterius medullae spinalis ぜんかく;ふくそくかく(せきずいの) Feneis: 270 18

[A14_1_02_021] →(前角は前柱の横断像で同義として扱われる。前角は後角より太く短く、頭と底に区分され、両者の間は多少細くなっている。前角細胞は多くは非常に大きく、多極性で、ところどころに群集する。これらの集団は縦方向に柱状に配列する。外側部の細胞は内側聞それよりも一般に大きく、頚膨大および腰膨大では特に大きい。前角細胞の軸索(神経突起)は前根線維となり、運動性脊髄神経線維として体幹および四肢の骨格筋に達する。欠く運動神経線維は筋内に入ると、分資してそれぞれ運動終板を形成する。前角細胞の軸索の骨格筋への分布には対局剤的局在が明らかで、一般に体幹筋を支配する細胞は前角の内側部にあるが、四肢筋を支配するものは外側部にあり、しかも四肢の末端の筋に線維を出す細胞は近位の筋に分布するものよりも外側にある。したがって四肢に強大な神経を出す頚膨大並びに腰膨大の部分では、前柱は外側方に延びて幅が広いが、これらの間の部分(胸髄)では内側部のみからなり、細い。また前角の周辺部の脂肪は心筋および外転筋へ、中央部の細胞は屈筋および内転筋へ線維を出す。前角の大細胞は横紋筋に運動線維を出すが(α運動細胞)、小さい細胞の一部は介在細胞であり、また一部は筋紡錘内の錐内筋線維を支配するものと考えられる(γ運動細胞)筋紡錘は筋緊張の調整を反射的に行う機序に関係している。なお第1~5頚髄の前柱の背外側部には副神経脊髄根を出す細胞群、すなわち副神経脊髄核がある。これは上方に行くにしたがって中心管に近づく。その根は外方に走り、前根と後根の間から脊髄を出る(副神経脊髄根)。脊髄灰白質の腹側の部分で、RexedのⅨ層、Ⅷ層およびⅦ層の腹側部がこれに属する。Ⅸ層は運動細胞群でα運動細胞とγ運動細胞とが存在する。Α運動細胞の軸索からの反回性側枝はⅦ層腹側部およびⅧ層にある抑制性のRenshaw細胞やⅨ層のα運動細胞結合する。前角には脊髄下行路や一次求心性線維(後根神経)がおわり、運動細胞と直接あるいはそこに存在する固有束細胞(介在細胞)と結合する。その他、脊髄視床路、脊髄小脳路、脊髄網様体路などの上行路の起始細胞の一部も前角に分布している。)

Lateral horn of spinal cord(側角(脊髄の))Cornu laterale medullae spinalis そくかく(せきずいの) Feneis: 272 10

[A14_1_02_022] →(側柱の横断面を側角ともよび同義的扱われる。後角と前角の間の灰白質は中間質外側部といわれ、中等大ないし小細胞から成り、その内側の部分は中間内側核に相当する。T1からL2の高さで脊髄灰白質の中間質が外側へ突出した部分をいう。これに存在する神経細胞の集団は中間外側核とよばれる。S2-S4の高さで、これに対応する部分にある細胞集団は、とくに仙髄中間外側核と呼ばれている。胸腰髄のものは交感神経節前細胞の集団で、その軸索は前根となって脊髄をでる。交感神経節前細胞はさらに内側方で中間質の背内側部に散在する。交感神経節前細胞には視床下部からの下行線維が直接結合するが、後根線維は直接結合しない。仙髄中間外側核は副交感節前細胞で、その軸索は前根を通り、骨盤内臓神経となる。この核もまた後根線維とは主として間接的に結合する。その他の求心性入力については十分研究されていない。)

Posterior horn of spinal cord; Dorsal horn of spinal cord(後角;背側角(脊髄の))Cornu posterius medullae spinalis こうかく;はいそくかく(せきずいの) Feneis: 272 02

[A14_1_02_023] →(後柱の横断面を後角とよび同義的に扱われる。後角は後根線維のおもな終止部をなし、背外側方に長く延び、その主部は頭と底に区別され、両者の間は細くなり、頚と言われる。頭の背外側に接して後角尖がある。これは腹内束にある半月形の後角膠様質と背外側成る狭い海綿体からなる。膠様質は後角内の連合に与り、これには、横断面では小さいが、縦に細内外神経細胞が密集し、そのⅣBN部ではより大きい細胞が散在する。海綿体の少数のやや大きい神経細胞(後縁細胞)を含む海綿状の層である。海綿体と脊髄の表面との間にはなお細い神経線維からなる部分がある。これを後外側束または終帯といい、元来は後索に属すべき部分で、痛覚および温度覚を伝える細い後根線維、連合線維などからなる。固有の後角の細胞は一般に小ないし中等大で、円形、紡錘形あるいは三角形である。後角の頭はごく少数の大細胞を含む。形と底の外側部は内側部よりもやや大きい散在した細胞から成り、外側方は網様体に移行する。なお底の内側部には明らかに区画された大細胞の集団があり、これを胸髄核または背核といい、これは頚髄下端部、胸髄および腰髄上部で見られるが、下部胸髄で最も著明で、後脊髄小脳路に線維を送る。脊髄灰白質の背側部のことで、後角尖、後角頭、後角頚、後角底などが区別されている。後角尖は海綿体と膠様質とからなる。脊髄灰白質は層構造をなし、RexedのⅠ層からⅥ層までが後角に属する。細胞構築学的には背腹方向に次の細胞集団が区別される。①海綿帯または縁帯(Ⅰ層)、②膠様質(Ⅱ層)、③後角固有核(Ⅲ層、Ⅳ層)④脊髄網様体核(Ⅴ層外側部)。Ⅰ層の細胞は後縁細胞とよばれる外側脊髄視床路の起始細胞で、Ⅳ層~Ⅵ層の細胞は前世奇瑞視床路その他の上行路を出す。後下君求心線維としてはⅠ層~Ⅲ層には主に後根がおわり、Ⅳ層~Ⅵ層には後根線維および脊髄下行路が終止する。その他後角の細胞は細胞間で複雑な相互作用を行うと同時に後根を含む他の経路と運動細胞間の介在細胞として役立っている。膠様質の細胞はC線維を受け、後縁細胞や他の後角の細胞と結合する。後縁細胞は温度受容器、機械的受容器からのC線維やや、Aδ線維を受ける。なお頚髄の高さの後角基部の外側部(Ⅴ層、Ⅵ層外側部)は延髄網様体のつづきとみなされ[脊髄]網様体ともよばれる。)

White matter of spinal cord; White substance of spinal cord(白質(脊髄の))Substantia alba medullae spinalis はくしつ(せきずいの) Feneis: 270 14

[A14_1_02_024] →(中枢神経の割面では、髄鞘をもつ神経線維(有髄神経線維)が集合している部分は白色を呈する。このように有髄神経線維の集まった部位を白質とよぶが、大脳半球と小脳とでは白質が皮質に包まれいるところから、この部位の白質はとくに大脳髄質、小脳髄質とよばれる。白質の中でも髄鞘のうすい神経線維の束、たとえば脊髄の三角路は灰色がかかっている。また、無髄神経線維が集まる部位は灰白質にみえる。白質を部分的に区別した場合には各部分を索、著明な神経線維の束を束、機能的に等質な神経線維の束を神経路または伝導路とよぶ。)

Substantia gelatinosa centralis; Central gelatinous substance of spinal cord; Substantia gelatinosa of Rolando(中心膠様質)Substantia gelatinosa centralis medullae spinalis ちゅうしんこうようしつ Feneis: 270 15

[A14_1_02_025] →(中心膠様質は上衣細胞突起を含む中心管周囲の狭い部分。)

Grey columns of spinal cord; Gray columns of spinal cord(灰白柱(脊髄の))Columnae griseae medullae spinalis かいはくちゅう(せきずいの) Feneis: 270 16

[A14_1_02_101] →(脊髄の灰白質は灰白柱ともよばれるが横断面ではH字形をなし、左右の2脚とこれを横に結ぶ中央の部とからなる。左右の2脚はそれぞれさらに前後2部にわかれ、これを前柱および後柱(または前角および後角という)。角は灰白質の横断面の形状、柱はその立体的形状によって名づけられたものである。脊髄灰白質の層区分:縦長な脊髄の内部では、灰白質ニューロンの似たもの同士の集合箇所が何本かの柱のように縦に連なっていて、そのような細胞柱のおのおののを、脊髄横断面での灰白質各層としてとらえることができる。この点を利用しRexedが行った第Ⅰ層から第Ⅹ層までの層区分は、脊髄灰白質の機能的全体像をみやすいという点で旧来、諸柱(または諸核)を個別に命名するよりも利用価値が高い。しかし、旧来の方式による名称も存続させてある。第Ⅰ層は後角の帽子に相当するような薄層である。この層のニューロンは後根から脊髄に侵入する温・痛覚線維の一部を受け、反対側の脊髄視床路の成分の一部になるような上行線維を伸ばす。第Ⅱ層は膠様質に相当する。これのニューロンは痛覚に関係したかなりの量の神経信号を、後根からの線維群ばかりでなく延髄網様体の下行線維群からも受ける。したがって痛みの調節(セロトニン、ノルエピネフリン、P物質、エンケファリンなど多様な神経伝達物質が使われ、また触覚受容ニューロンも関与するが、第Ⅱ層のなかでおこなわれる。この層内に存在するニューロン細胞体は、軸索突起を、上行性伝導路に直接伸ばすのではなく第Ⅰ・Ⅳ・Ⅴ層ニューロンにシナプス伝達を行うために伸ばすだけである。第Ⅲ層と第Ⅳ層は第Ⅱ層に似てはいるが、しかし第Ⅱ層よりも多数の、後根からの痛覚・温度覚・触覚線維を受ける。また、第Ⅲ、Ⅳ層の中に第Ⅴ層の大形ニューロン(反対側を下行する脊髄視床路の成分となる軸索突起を伸ばすもの)の樹状突起群が侵入している。上位の頚髄における第Ⅰ~Ⅳ層は一体化し、三叉神経脊髄路核に移行する。第Ⅴ層は後根からの求心性線維、第Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ層の介在ニューロン、などからの神経信号を受ける。第Ⅴ層ニューロンから伸びる軸索突起群は、反対側を上行する温・痛覚と軽微(粗大)な触覚のための伝導路、すなわち脊髄視床路の主要成分をなす。皮質脊髄路、赤核脊髄路からの多くの下行性線維も第Ⅴ層に終わる。第Ⅵ層はおもに頚膨大と腰仙膨大に存在し、骨格筋からの固有感覚入力を受ける。第Ⅶ層には、いくつかの大きな細胞集団が多数の介在ニューロンとともに含まれている。中間質外側核と呼ばれる細胞集団は第1胸髄から第2腰髄までの高さにおける脊髄灰白質の側角をなすものであるが、この細胞集団は交感系節前ニューロン細胞体の第Ⅶ層での集まりにほかならない。中間質内側核という名の細胞集団は脊髄の全長にわたって第Ⅶ層存在するものであり、臓性求心性線維群を受ける。胸髄核(クラーク背側核とも呼ばれるもの)は第1胸髄から第3腰髄までの第Ⅶ層にあり、筋紡錘や腱器官などからの固有感覚入力を受ける。胸髄核から発する軸索は同側上行性の後脊髄小脳路を形成する。また、第2~4仙髄での第Ⅶ層には、仙髄副交感核(副交感系の節前ニューロン細胞体の集まり)がある。第Ⅷ層は筋緊張、姿勢の反射的小節にあずかる前庭脊髄路や網様体脊髄路からの下行性線維を受ける。この層のニューロン細胞体から伸びる軸索は、同側および反対側の第Ⅶ層と第Ⅸ層に終わる。第Ⅸ層では体性遠心性ニューロン(前根から脊髄をでて骨格筋に向かう軸索を有するもの)の細胞体が内・外側集団をつくる。内側集団(内側核)は体幹筋支配にずかり、脊髄全長における第Ⅸ層で認められるに対して、外側集団(外側核)は上・下肢筋支配にあずかる関係で頚膨大と腰仙膨大における第Ⅸ層にしか認められない。Α運動性、γ運動性の両方のニューロン細胞体が第Ⅸ層に存在している。第Ⅹ層は脊髄中心管を囲む領域であり介在ニューロン、神経膠細胞、交叉性軸索がそこに含まれている。)

Anterior column; Ventral column; Ventral grey column of spinal cord(前柱;腹側柱(脊髄の灰白柱の))Columna grisea anterioir medullae spinalis ぜんちゅう;ふくそくちゅう(せきずいのかいはくちゅうの) Feneis: 270 17

[A14_1_02_102] →(脊髄の灰白柱の前柱はその基底部で外側に向かい突起を出す。主に運動性の神経細胞よりなる。)

Anterior horn of spinal cord; Ventral horn of spinal cord(前角;腹側角(脊髄の))Cornu anterius medullae spinalis ぜんかく;ふくそくかく(せきずいの) Feneis: 270 18

[A14_1_02_103] →(前角は前柱の横断像で同義として扱われる。前角は後角より太く短く、頭と底に区分され、両者の間は多少細くなっている。前角細胞は多くは非常に大きく、多極性で、ところどころに群集する。これらの集団は縦方向に柱状に配列する。外側部の細胞は内側聞それよりも一般に大きく、頚膨大および腰膨大では特に大きい。前角細胞の軸索(神経突起)は前根線維となり、運動性脊髄神経線維として体幹および四肢の骨格筋に達する。各運動神経線維は筋内に入ると、分枝してそれぞれ運動終板を形成する。前角細胞の軸索の骨格筋への分布には対局剤的局在が明らかで、一般に体幹筋を支配する細胞は前角の内側部にあるが、四肢筋を支配するものは外側部にあり、しかも四肢の末端の筋に線維を出す細胞は近位の筋に分布する物よりも外側にある。したがって四肢に強大な神経を出す頚膨大並びに腰膨大の部分では、前柱は外側方に延びて幅が広いが、これらの間の部分(胸髄)では内側部のみからなり、細い。また前角の周辺部の細胞は心筋および外転筋へ、中央部の細胞は屈筋および内転筋へ線維を出す。前角の大細胞は横紋筋に運動線維を出すが(α運動細胞)、小さい細胞の一部は介在細胞であり、また一部は筋紡錘内の錐内筋線維を支配するものと考えられる(γ運動細胞)筋紡錘は筋緊張の調整を反射的に行う機序に関係している。なお第1~5頚髄の前柱の背外側部には副神経脊髄根を出す細胞群、すなわち副神経脊髄核がある。これは上方に行くにしたがって中心管に近づく。その根は外方に走り、前根と後根の間から脊髄を出る(副神経脊髄根)。一般に、身体遠位の筋ほど、外側よりの神経細胞群によって支配されている。前角のもっとも内側から外側へと移行するにつれて、運動ニューロンは順次、体幹筋、上肢帯筋・下肢帯筋、上下肢の近位筋、次いで上下肢遠位筋を支配している。後背外側の神経細胞群は、手と足の筋を支配する。脊髄前角のα運動ニューロンはアセチルコリンをを含有していて、その神経終末からこれを分泌する。この事実は同物質の合成酵素であるコリン・アセチルトランスフェラーゼの免疫組織化学により立証されている。脊髄前角中の小形神経浅部のあるものは、抑制性の神経伝達物質であるガンマ・アミノ酪酸gamma-aminobutyric acid(GABA)に免疫染色される。脊髄灰白質の腹側の部分で、RexedのⅨ層、Ⅷ層およびⅦ層の腹側部がこれに属する。Ⅸ層は運動細胞群でα運動細胞とγ運動細胞とが存在する。Α運動細胞の軸索からの反回性側枝はⅦ層腹側部およびⅧ層にある抑制性のRenshaw細胞やⅨ層のα運動細胞結合する。前角には脊髄下行路や一次求心性線維(後根神経)がおわり、運動細胞と直接あるいはそこに存在する固有束細胞(介在細胞)と結合する。その他、脊髄視床路、脊髄小脳路、脊髄網様体路などの上行路の起始細胞の一部も前角に分布している。)

Spinal laminae VII-IX(脊髄第VII層-第XI層)Laminae spinales VII-IX せきずいだい7そう-だい9そう

[A14_1_02_104] →(脊髄の前角はRexedの層区分に従えば、Rexedの第Ⅶ層の腹側部、第Ⅷ層、第Ⅸ層が属する。第Ⅶ層は中間体として知られているが、前角と後角の中間に位置する。この層の境界は脊髄レベルにより変化しており、脊髄の膨大部では腹側方へ広がって前角の中まで入っている。しかしその他のレベルでは、脊髄灰白質を横切る比較的狭い帯状の領域を成し、ここに側角が含まれる。明るく染まるニューロンは大多数介在ニューロンであるが、この層の中に均一に分布している。この層の中で一定の領域に吻側から尾側方向ににびている、境界のハッキリした細胞柱が明瞭に存在する。このような細胞柱として、背核、中間質外側核、中間質内側核などがある。クーラークの背核(胸髄核)は、第Ⅶ層の内側部にある、円形ないし卵形の神経細胞からなる著明な細胞柱であって、C8からL2のレベルにかけて存在する。この核の神経細胞は多極性ないし卵形で、粗大なニッスル小体と、特徴的な偏心性の核を持っている。後根求心性線維の側枝が、この核の神経細胞に強固にシナプスを形成しており、それは多数の脊髄レベルにおいて著明に互いに重なり合っている。背核の大型神経細胞から、非交叉性の後脊髄小脳路がおこる。第Ⅶ層と、これに接する第Ⅴ層、第Ⅵ層の部分にある神経細胞は、明瞭な神経核を形成してはいないが、前脊髄小脳路をつくる交叉性の線維を出す。第Ⅷ層は前角底部にある不均一な神経細胞からなる領域で、その大きさと形は脊髄レベルにより相違する。脊髄の膨大部では、第Ⅷ層は前角の内側部を占めるのみであるが、それ以外の脊髄レベルでは第Ⅶ層の腹側にあって、前角の基底部を横切って広がっている。この層は、特定の下行性伝導路の多数の神経線維がその境界内に含まれる神経細胞に終末するゆえに、一種別個の存在となっている。筋緊張、姿勢の反射的調節にあずかる前庭脊髄路や網様体脊髄路からの下行性線維を受ける。この層のニューロン細胞体からのびる軸索は、同側および反対側の第Ⅶ層と第Ⅸ層に終わる。 第Ⅸ層は、体性遠心性ニューロン(前根から脊髄をでて骨格筋に向かう軸索を有するもの)の細胞体が内・外側集団をつくる。内側集団(別名:内側核)は体幹筋支配にあずかり、脊髄全長における第IX層で認められるのに対して、外側集団(別名:外側核)は上・下肢筋支配にあずかる関係で頚膨大と腰膨大における第Ⅸ層にしか認められれない。アルファ運動性、ガンマ運動性の両方のニューロン脂肪体が第Ⅸ層に存在している。)

Anterolateral nucleus of spinal cord; Ventrolateral nucleus of spinal cord(腹外側核;前外側核(脊髄の))Nucleus anterolateralis medullae spinalis ふくがいそくかく;ぜんがいそくかく(せきずいの) Feneis: 270 19

[A14_1_02_105] →(脊髄の前外側核は前角の内部にある神経核でC4-C8とL2-S1にみられる。四肢の筋肉を支配する。)

Anterior nucleus of spinal cord(前核(脊髄の))Nucleus anterior medullae spinalis ぜんかく(せきずいの)

[A14_1_02_106] →(脊髄の前核は脊髄の前角の内部にある核。)

Anteromedial nucleus of spinal cord; Ventromedial nucleus of spinal cord(前内側核;腹内側核(脊髄の))Nucleus anteromedialis medullae spinalis ぜんないそくかく;ふくないそくかく(せきずいの) Feneis: 270 20

[A14_1_02_107] →(脊髄の前内側核は脊髄全長の前柱(前角)にみられる細胞群で骨格筋を支配しているとかんがえられている。)

Posterolateral nucleus of spinal cord; Dorsolateral nucleus of spinal cord(後外側核;背外側核(脊髄の))Nucleus posterolateralis medullae spinalis こうがいそくかく;はいがいそくかく(せきずいの) Feneis: 270 21

[A14_1_02_108] →(第5頚髄節から第1胸髄節および第2腰髄節から第2仙髄節で腹外側核の後方にみられる。四肢の筋肉を支配する。)

Retroposterior lateral nucleus of spinal cord; Retrodorsal lateral nucleus of spinal cord; Retrodorsolateral nucleus(後後外側核;後背外側核(脊髄の))Nucleus retroposterolateralis medullae spinalis こうこうがいそくかく;こうはいがいそくかく(せきずいの) Feneis: 270 22

[A14_1_02_109] →(脊髄の後背外側核は前角(前柱)にみられる細胞群でC8-Th1およびS1-S3にあり、背外側核の後方にある。)

Posteromedial nucleus of spinal cord; Dorsomedial nucleus of spinal cord(後内側核;背内側核(脊髄の))Nucleus posteromedialis medullae spinalis こうないそくかく;はいないそくかく(せきずいの) Feneis: 270 23

[A14_1_02_110] →(脊髄の背内側核は白交連の付近にある。Th1-L3にわたって存在する。腰部の筋肉を支配する。)

Central nucleus of spinal cord(中心核(脊髄の))Nucleus centralis medullae spinalis ちゅうしんかく(せきずいの) Feneis: 270 24

[A14_1_02_111] →(脊髄の中心核は頚髄および腰髄の二、三の節にあるあまり目立たない細胞群。)

Nucleus of accessory nerve; Accessory nucleus (XI)(副神経核)Nucleus nervi accessorii ふくしんけいかく Feneis: 270 25

[A14_1_02_112] →(副神経核は脊髄の上方6区域(C1-C6)の前角の中央部と外側部を縦に連ねた運動性細胞柱で、ここから副神経がでる。副神経は延髄根(内枝)と脊髄根(外枝)からなる。延髄根は疑核の下端部から起こり迷走神経に合して喉頭(固有)筋や下咽頭収縮筋を支配する。脊髄根は延髄下部から頚髄上部(C5-C6)にかけて存在する副神経脊髄核からおこり僧帽筋と胸鎖乳突筋を支配する。脊髄核は延髄下部では前索の内側部の近くにあるが下方にいくにしたがい外方に移動し、前角外側部に位置するようになる。根は背外方に向かい、側索の背側部を貫いて脊髄を出る。)

Nucleus of phrenic nerve; Phrenic nucleus(横隔神経核)Nucleus nervi phrenici おうかくしんけいせつ Feneis: 270 26

[A14_1_02_113] →(横隔神経核はC3-C7の前角内側にある細胞群で、横隔神経を出して横隔膜を支配する。)

Posterior column of spinal cord grey; Posterior grey column of spinal cord; Posterior column of spinal cord gray; Posterior gray column of spinal cord(後柱;背側柱(脊髄の))Columna grisea posterior medullae spinalis こうちゅう;はいそくちゅう(せきずいの) Feneis: 272 01

[A14_1_02_114] →(脊髄の横断面で中心管を取り囲む灰白質は蝶の形を呈している。主に知覚性の細胞よりなる後角を立体的にみると、柱状となっているので後柱と呼ばれる。主に脊髄神経の後根線維の終止部となっている。後柱は脊髄の各々の外側半分にある灰白質の外側半分にある灰白質の外後方への著しい膨隆で、脊髄の横断面に現れる後角に相当する。主に知覚性の細胞よりなる。)

Posterior horn of spinal cord; Dorsal horn of spinal cord(後角;背側角(脊髄の))Cornu posterius medullae spinalis こうかく;はいそくかく(せきずいの) Feneis: 272 02

[A14_1_02_115] →(後柱の横断面を後角とよび同義的に扱われる。後角は後根線維のおもな終止部をなし、背外側方に長く延び、その主部は頭と底に区別され、両者の間は細くなり、頚と言われる。頭の背外側に接して後角尖がある。これは腹内束にある半月形の後角膠様質と背外側成る狭い海綿体からなる。膠様質は後角内の連合に与り、これには、横断面では小さいが、縦に細内外神経細胞が密集し、そのⅣBN部ではより大きい細胞が散在する。海綿体の少数のやや大きい神経細胞(後縁細胞)を含む海綿状の層である。海綿体と脊髄の表面との間にはなお細い神経線維からなる部分がある。これを後外側束または終帯といい、元来は後索に属すべき部分で、痛覚および温度覚を伝える細い後根線維、連合線維などからなる。固有の後角の細胞は一般に小ないし中等大で、円形、紡錘形あるいは三角形である。後角の頭はごく少数の大細胞を含む。形と底の外側部は内側部よりもやや大きい散在した細胞から成り、外側方は網様体に移行する。なお底の内側部には明らかに区画された大細胞の集団があり、これを胸髄核または背核といい、これは頚髄下端部、胸髄および腰髄上部で見られるが、下部胸髄で最も著明で、後脊髄小脳路に線維を送る。脊髄灰白質の背側部のことで、後角尖、後角頭、後角頚、後角底などが区別されている。後角尖は海綿体と膠様質とからなる。脊髄灰白質は層構造をなし、RexedのⅠ層からⅥ層までが後角に属する。細胞構築学的には背腹方向に次の細胞集団が区別される。①海綿帯または縁帯(Ⅰ層)、②膠様質(Ⅱ層)、③後角固有核(Ⅲ層、Ⅳ層)④脊髄網様体核(Ⅴ層外側部)。Ⅰ層の細胞は後縁細胞とよばれる外側脊髄視床路の起始細胞で、Ⅳ層~Ⅵ層の細胞は前世奇瑞視床路その他の上行路を出す。後下君求心線維としてはⅠ層~Ⅲ層には主に後根がおわり、Ⅳ層~Ⅵ層には後根線維および脊髄下行路が終止する。その他後角の細胞は細胞間で複雑な相互作用を行うと同時に後根を含む他の経路と運動細胞間の介在細胞として役立っている。膠様質の細胞はC線維を受け、後縁細胞や他の後角の細胞と結合する。後縁細胞は温度受容器、機械的受容器からのC線維やや、Aδ線維を受ける。なお頚髄の高さの後角基部の外側部(Ⅴ層、Ⅵ層外側部)は延髄網様体のつづきとみなされ[脊髄]網様体ともよばれる。)

Apex of posterior horn of spinal cord(尖;後角尖;後柱稜(脊髄の後角の))Apex; Apex cornu posterioris medullae; Crista columnae dorsalis せん;こうかくせん;こうちゅうりょう(せきずいのこうかくの) Feneis: 272 03

[A14_1_02_116] →(脊髄の後角尖は脊髄灰白質の膠様質に接し、大型神経細胞よりなる後角の先端部。)

Spinal lamina I; Marginal nucleus; Dorsomarginal nucleus; Posteromarginal nucleus (of spinal cord)(辺縁核;脊髄第I層;後縁縁核;背側辺縁核;後縁細胞群(核))Nucleus marginalis; Lamina spinalis I; Nucleus posteromarginalis (Medullae spinalis) へんえんかく;せきずいだい1そう;こうえんえんかく;はいそくへんえんかく;こうえんさいぼうぐん(かく)(せきずいの)

[A14_1_02_117] →(Rexedは脊髄灰白質も横断面において層的構造を示すとしてこれを10層に分けた。縦長な脊髄の内部では、灰白質ニューロンの似たものどおしの集合箇所が何本かの柱のように縦に連なっていて、そのような細胞柱の各々を、脊髄横断面での灰白質各層としてとらえることができる。この点を利用しRexedが行った第Ⅰ層から第Ⅹ層までの層区分は、脊髄灰白質の機能的全体像をみやすいという点で旧来、諸柱(または諸核)を個別に命名するよりも利用価値が高い。しかし、旧来の方式による名称も存続させてある。 第Ⅰ層は後角の帽子に相当するような薄層である。ここには小形ないし中型の神経細胞がみられ、まれに比較的大型の紡錘形の細胞が後角の突出面に平行に向いた状態で散在する。後縁細胞核群Posteriomarginal nucleusに連絡する錯綜した無髄神経線維束、小樹状突起ならびにシナプス釦がこの層の中にある。第Ⅱ層の中の神経細胞に軸索-細胞体性に終末枝、一方、一次求心性線維は同じ細胞群に対して軸索-樹状突起性に終末する。これらの2つの起源をもつ大量の軸索群はLissauerの後外側束dorsolateral fasciculus of Lissauerを通って第Ⅰ層に到達する。すべてお起源からの証拠をみて第Ⅰ層の神経細胞は侵害性刺激noxious stimuli並びに温度刺激に対して特異的に反応し、その線維を対側の脊髄視床路に向かって伸ばしている。免疫組織化学的研究によれば、第Ⅰ層中にP物質並びにエンケファリンEnkephalin陽性の細胞が含まれており、かつ又、P物質陽性線維の他エンケファリン陽性線維、ソマトスタチンソマトスタチン陽性線維、セロトニン陽性線維も含まれることが示されている。この層のニューロンは後根から脊髄に侵入する温・痛覚線維の一部を受け、反対側の脊髄視床路の成分の一部になるような上行線維を伸ばす。)

Spinal lamina II; Gelatinous substance of posterior horn of spinal cord(膠様質(脊髄の後角の);脊髄第II層)Substantia gelatinosa cornu posterioris medullae spinalis; Lamina spinalis II こうようしつ(せきずいのこうかくの);せきずいだい2そう Feneis: 272 07

[A14_1_02_119] →(第Ⅱ層は後角尖にある、境界の明らかな、かなり幅広い帯状の領域であり、細胞体染色並び髄鞘染色により容易に認められるぎっしりとつまった神経細胞からなる膠様質に相当する。これ第Ⅱ層には2つの領域が認められる。①やや小形の細胞から成る比較的狭い外帯outer zone、②比較的幅広い内帯inner zoneである。そのいずれの領域においてもニューロンは円形ないし、楕円形で長軸を表面に対して放射状に配列している。紡錘状の細胞体の大きさは殆ど同じで、その一方ないし両極から、多くの樹状突起を出している。第Ⅱ層のニューロンは痛覚に関係したかなりの量の神経信号を、後根からの線維群ばかりでなく延髄網様体の下行線維群からも受ける。したがって痛みの調節(セロトニン、ノルエピネフリン、P物質、エンケファリンなど多様な神経伝達物質が使われ、また触覚受容ニューロンも関与するが、第Ⅱ層のなかでおこなわれる。この層内に存在するニューロン細胞体は、軸索突起を、上行性伝導路に直接伸ばすのではなく第Ⅰ・Ⅳ・Ⅴ層ニューロンにシナプス伝達を行うために伸ばすだけである。)

Head of posterior horn; Head of posterior column (of spinal cord)(頭;後角頭;後柱頭(脊髄の))Caput cornu posterioris; Caput columnae posterioris (Medullae spinalis) とう;こうかくとう;こうちゅうとう(せきずいの) Feneis: 272 04

[A14_1_02_118] →(脊髄の後角頭は下部頚髄および胸髄で膨大下後角中間部。)

Nucleus proprius of spinal cord; Spinal laminae III and IV(固有核;脊髄第III層・第IV層)Nucleus proprius (Medullae spinalis); Laminae spinales III et IV こゆうかく;せきずいだい3そう・だい4そう(せきずいの)

[A14_1_02_121] →(第Ⅲ層と第Ⅳ層は第Ⅱ層に似てはいるが、しかし第Ⅱ層よりも多数の、後根からの痛覚・温度覚・触覚線維を受ける。また、第Ⅲ、Ⅳ層のなかに第Ⅴ層の大型ニューロン(反対側を上行する脊髄視床路の成分となる軸索突起をのばすもの)の樹状突起群が侵入している。上位の頚髄における第Ⅰ~Ⅳ層は一体化し、三叉神経脊髄路核に移行する。)

Neck of posterior horn of spinal cord(頚(脊髄の後角の);後角頚;後柱頚)Cervix cornu posterioris Cervix columnae posteriois(Medullae spinalis) けい(せきずいのこうかくの);こうかくけい;こうちゅうけい Feneis: 272 05

[A14_1_02_120] →(脊髄の後角頚は後角頭と底の間にある少しくびれた部分。)

Spinal lamina V(脊髄第V層)Lamina spinalis V せきずいだい5そう

[A14_1_02_122] →(第Ⅴ層は後根からの求心性線維、第Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ層の介在ニューロン、などからの神経信号を受ける。第Ⅴ層ニューロンから伸びる軸索突起群は、反対側を上行する温・痛覚と軽微(粗大)な触覚のための伝導路、すなわち脊髄視床路の主要成分をなす。皮質脊髄路、赤核脊髄路からの多くの下行性線維も第Ⅴ層に終わる。)

Base of posterior horn; Base of posterior column (of spinal cord)(後角底;後柱底(脊髄の))Basis cornu posterioris; Basis columnae posterioris (Medullae spinalis) こうかくてい;こうちゅうてい(せきずいの) Feneis: 272 06

[A14_1_02_123] →(灰白質中間部でやや拡がった後角の始まりの部分。(Feneis))

Spinal lamina VI(脊髄第VI層)Lamina spinalis VI せきずいだい6そう

[A14_1_02_124] →(第Ⅵ層は後角底を横切って広がり、脊髄のおもに頚膨大と腰仙膨大においてのみ存在する。この層を、内側部と外側部に分かつ;骨格筋からのグループⅠ求心性線維はその内側領域に終末枝、一方、脊髄下行路が外側領域に投射している。中心基底核として知られる、頚膨大部における第Ⅵ層の中の一群の神経細胞は、非交叉性の小脳への投射線維を出していて、ある人々はこれを吻側脊髄小脳路と考えている。)

Secondary visceral grey matter of spinal cord; Secondary visceral grey substance of spinal cord; Secondary visceral gray matter of spinal cord; Secondary visceral gray substance of spinal cord(二次内臓灰白質(脊髄の))Substantia visceralis secundaria (Medullae spinalis) にじないぞうかいはくしつ(せきずいの) Feneis: 272 08

[A14_1_02_125] →(中間質中心部の腹側にある小さな領域。植物性機能神経細胞が存在する。)

Internal basilar nucleus of spinal cord(内基底核(脊髄の))Nucleus basilaris internus (Medullae spinalis) ないきていかく(せきずいの) [A14_1_02_126]

Lateral cervical nucleus(外側頚核;外側頚髄核)Nucleus cervicalis lateralis がいそくけいかく;がいそくけいずいかく [A14_1_02_127]

Medial cervical nucleus(内側頚核;内側頚髄核)Nucleus cervicalis medialis ないそくけいかく [A14_1_02_128]

Posterior nucleus of lateral funiculus of spinal cord(側索後核(脊髄の))Nucleus posterior funiculi lateralis medullae spinalis そくさくこうかく(せきずいの) [A14_1_02_129]

Intermediate column; Intermediate zone; Intermediate zone of spinal grey; Intermediate zone of spinal gray(中間柱;中間帯(脊髄灰白質の))Columna grisea intermedia (Medullae spinalis) ちゅうかんちゅう;ちゅうかんたい(せきずいかいはくしつの) [A14_1_02_130]

Spinal lamina VII(脊髄第VII層;脊髄の中間帯)Lamina spinalis VII せきずいだい7そう;せきずいのちゅうかんたい

[A14_1_02_131] →(第Ⅶ層はまた、中間帯としても知られているが、前角と後角の中間に位置する。この層の境界は脊髄レベルにより変化しており、脊髄の膨大部では腹側方へ広がって前角の中まで入っている。しかしその他のレベルでは、脊髄灰白質を横切る比較的狭い帯状の領域を成し、ここに側角が含まれる。第Ⅶ層には、いくつかの大きな細胞集団が多数の介在ニューロンとともに含まれている。中間質外側核と呼ばれる細胞集団は第1胸髄から第2腰髄までの高さにおける脊髄灰白質の側角をなすものであるが、この細胞集団は交感系節前ニューロン細胞体の第Ⅶ層での集まりにほかならない。中間質内側核という名の細胞集団は脊髄の全長にわたって第Ⅶ層存在するものであり、第Ⅶ層の内側部、中心管の外側部にある小形細胞柱で、あらゆる脊髄レベルで臓性求心性線維群を受ける。胸髄核(クラーク背側核とも呼ばれるもの、この核の神経細胞は多極性ないし卵形で、粗大なニッスル小体と、特徴的な偏心性の核を持っている。後根求心性線維の側枝が、この核の神経細胞に強固にシナプするを形成しており、それは多数の脊髄レベルにおいて著明に互いに重なりあっている)は第1胸髄から第3腰髄までの第Ⅶ層にあり、筋紡錘や腱器官などからの固有感覚入力を受ける。胸髄核から発する軸索は同側上行性の後脊髄小脳路を形成する。また、第2~4仙髄での第Ⅶ層には、仙髄副交感核sacral autonomic nuclei(副交感系の節前ニューロン細胞体の集まり)があるがここではもはや側角を認めない仙髄副交感核は副交感神経性節前線維を出しており、その線維は仙髄前根から出て「骨盤神経」をつくる。胸髄並びに上部腰髄の中間質外側核、仙髄副交感核の細胞群はコリン作働性であって、コリン・アセチルコリントランスフェラーゼに対する抗体により免疫染色される。第Ⅶ層と、これに接する第Ⅴ層、第Ⅵ層の部分にある神経細胞は、明瞭な神経核を形成してはいないが、前脊髄小脳路anterior spinocerebellar tractをつくる交叉性の線維を出す。中心頚核central cervical nucleusは、上位4つの頚髄中にある継続的な神経細胞中であって、延髄下部にまでのびている。この核の比較的大きな多極性の神経細胞は、中間質内側核の外側にみとめられる。中心頚核の神経細胞には後根神経線維が到達しており、かつ、交叉性に小脳への投射線維をだしている。)

Lateral horn of spinal cord(側角(脊髄の))Cornu laterale (Medullae spinalis) そくかく(せきずいの) Feneis: 272 10

[A14_1_02_132] →(側柱の横断面を側角といい同義語的に扱われている。後角と前角の間の灰白質は中間質外側部といわれ、中等大ないし小細胞から成り、その内側の部分は中間内側核に相当する。T1からL2の高さで脊髄灰白質の中間質が外側へ突出した部分をいう。これに存在する神経細胞の集団は中間外側核とよばれる。S2-S4の高さで、これに対応する部分にある細胞集団は、とくに仙髄中間外側核と呼ばれている。胸腰髄のものは交感神経節前細胞の集団で、その軸索は前根となって脊髄をでる。交感神経節前細胞はさらに内側方で中間質の背内側部に散在する。交感神経節前細胞には視床下部からの下行線維が直接結合するが、後根線維は直接結合しない。仙髄中間外側核は副交感節前細胞で、その軸索は前根を通り、骨盤内臓神経となる。この核もまた後根線維とは主として間接的に結合する。その他の求心性入力については十分研究されていない。)

Intermediolateral nucleus of spinal cord(中間外側核;中間質外側核(脊髄の))Nucleus intermediolateralis (Medullae spinalis) ちゅうかんがいそくかく;ちゅうかんしつがいそくかく(せきずいの) Feneis: 272 11 [A14_1_02_133]

Central intermediate substance; Central intermediate grey matter of spinal cord; Central intermediate gray matter of spinal cord(中間質中心部(脊髄の))Substantia intermedia centralis (Medullae spinalis) ちゅうかんしつちゅうしんぶ(せきずいの) Feneis: 272 12

[A14_1_02_134] →(中間質中心部(中心灰白質)は中間質外側部の内側方に続き。左右の灰白質を横に結合する部分で(灰白交連)、中心管を直接囲む。その前文腹側には有髄線維からなる交連部があり、白交連または白前交連という。)

Posterior thoracic nucleus; Dorsal thoracic nucleus(胸髄核;背核;背側核)Nucleus thoracicus posterior; Nucleus dorsalis thoracici きょうずいかく;はいかく;はいそくかくClarke's column, nucleus; Stiling-Clarke's column, nucleus Feneis: 272 14

[A14_1_02_135] →(背核ともよび、一般にClarke柱あるいはClarke背核ともよばれている。T1からL3の高さまで中間帯の背内側に存在する細胞群で大、中、小の細胞から構成されている。大ないし中等大細胞の軸索は同側の側索の背外側部を上行する後脊髄小脳路となる。Clarke柱はその高さの後根線維を受けるが、胸髄上部の高さではC5以下C8の後根線維を、腰髄の高さではL4以下の後根線維を受ける。その入力は主にⅠa群(筋紡錘由来の求心性線維)、Ⅱ群線維(腱器官由来の求心性線維)に由来する。)

Lateral intermediate substance; Lateral intermediate grey matter of spinal cord; Lateral intermediate gray matter of spinal cord(中間質外側部;中間質外側核)Substantia intermedia lateralis (Medullae spinalis) ちゅうかんしつがいそくぶ;ちゅうかんしつがいそくかく Feneis: 272 13

[A14_1_02_136] →(中間質外側核は、胸髄および上部腰髄(T1からL2ないしL3まで)の側角の先端部分にある神経細胞柱である。この核の神経細胞は紡錘形で、交感神経性の節前線維を出している。その交感神経線維は前根より出て白交通枝を経て、いくつもの交感神経節に到達する。)

Intermediomedial nucleus of spinal cord(中間内側核;中間質内側核(脊髄の))Nucleus intermediomedialis (Medullae spinalis) ちゅうかんないそくかく;ちゅうかんしつないそくかく(せきずいの)

[A14_1_02_137] →(脊髄の中間内側核は第Ⅶ層の内側部、中心管の外側部にある小型の細胞柱で、脊髄の全長にわたっている。この核はあらゆる脊髄レベルで内臓求心性線維を受け入れている。)

Sacral parasympathetic nuclei(仙髄副交感神経核;仙髄副交感核)Nuclei parasympathici sacrales せんずいふくこうかんしんけいかく;せんずいふくくかんかく Feneis: 272 15

[A14_1_02_138] →(仙髄副交感核は仙髄自律神経核sacral autonomic nucleiともよばれる。仙髄節S2-S4の第Ⅶ層の外側部に位置をしめる。これらのニューロンは中間質外側核のそれに類似しているが、副交感性節前線維を出しており、その線維は仙髄前根から出て“骨盤神経”をつくる。胸髄並びに上部腰髄の中間質外側核、仙髄腹交感核の細胞群はコリン作働性であって、コリン・アセチルトランスフェラーゼに対する抗体により免疫染色される。)

Nucleus of pudendal nerve(陰部神経核;腰仙髄陰部神経起始核;Onuf核)Nucleus nervi pudendi いんぶしんけいかく;ようせんずいいんぶしんけいきしかく;OnuかくOnuf's nucleus

[A14_1_02_139] →(Onuf核は第一仙髄~第二仙髄レベルに存在する体性運動運動ニューロンで、尿道括約筋、肛門括約筋など、骨盤底の肛門筋を支配する。骨盤神経は副交感神経節前線維に加え内臓知覚線維を含む。青斑下核からの下行線維もOnuf核に至る。青斑下核からは同側の大縫線核に投射する下行路に加え、橋背側から延髄錐体内を下行し、同側脊髄前索を通過しOnuf核に至る経路がある。さらに対側脊髄側索を通過しOnuf核に至る経路も存在する。)

Spinal reticular formation(脊髄網様体)Formatio reticularis spinalis せきずいもうようたい Feneis: 272 16

[A14_1_02_140] →(脊髄網様体は白質および灰白質の混在部。後柱と側柱columna lateralisの間の隅にある。(Feneis))

Anterior medial nucleus; Ventral medial nucleus of spinal cord(前内側核;腹内側核(脊髄の))Nucleus medialis anterior (Medullae spinalis) ぜんないそくかく;ふくないそくかく(せきずいの) [A14_1_02_141]

White matter of spinal cord; White substance of spinal cord(白質(脊髄の))Substantia alba はくしつ(せきずいの) Feneis: 272 17

[A14_1_02_201] →(白質は主として縦走する有髄線維からなり、灰白質の外方に脊髄索、すなわち前索、後索および側索をつくる。後索は下等動物では発育が悪いが、高等動物、ことにヒトではよく発達し、左右の後索は後正中溝およびそれに続いて正中面にある薄い隔板(後正中中隔)によって分離される。白質には脊髄と脳を結ぶ投射神経路と脊髄の各部を結ぶ連合神経路がある。前者には上行性(知覚性)のものと下行性(運動性)のものがある。)

Anterior funiculus of spinal cord; Ventral funiculus of spinal cord(前索;腹索(脊髄の))Funiculus anterior (Medullae spinalis) ぜんさく;ふくさく(せきずいの) Feneis: 272 19

[A14_1_02_202] →(脊髄の白質で前外側溝から前正中裂までの部分をいう。脊髄下行路(錐体前索路、内側縦束、内側前庭脊髄路、橋網様体脊髄路、視蓋脊髄路)、上行路(前脊髄視床路)および固有束が通る。下行路の錐体前索路(前皮質脊髄路)は前正中裂に接して最内側部を通る。その外側には橋網様体脊髄路、内側前庭脊髄路、間質核脊髄路を含む内側縦束が位置し、さらにその外側を視蓋脊髄路が下行する。上行路の前脊髄視床路は前索の外側部を通る。その他、上行性あるいは下行性固有束が前索を通る。)

Anterior fasciculus proprius of spinal cord; Ventral fasciculus proprius of spinal cord(前索固有束;前固有束(脊髄の))Fasciculi proprii anteriores ぜんさくこゆうそく;ぜんこゆうそく(せきずいの) Feneis: 272 20

[A14_1_02_203] →(脊髄の前固有束は脊髄全長を通して存在し、頚膨大と腰膨大ではとくに発達し、固有線維の数は多い。構成線維は種々の長さをもつ上行性ならびに下行性線維からなり、あるものは起始ニューロンと同分節または隣り合う分節に連絡するが、長いものは脊髄のほぼ全長に及ぶほど走行する。一般に短い線維は灰白質に近い領域を、長いものは離れた領域を走行する。起始ニューロンの所在の詳細は明らかにされていないが、前柱の内側部、中間質に分布し、一部は後柱基底部に所在すると考えられている。前固有束を通る線維は腹内側部に局在する運動ニューロンに主として終末すると考えられている。)

Sulcomarginal fasciculus(溝縁束)Fasciculus sulcomarginalis こうえんそくMarie, Tract of Feneis: 272 21

[A14_1_02_204] →(溝縁束は前正中裂に接している深部知覚の線維束。)

Anterior corticospinal tract; Ventral corticospinal tract; Anterior pyramidal tract(前皮質脊髄路;錐体前索路)Tractus corticospinalis anterior; Tractus pyramidalis anterior ぜんひしつせきずいろ;すいたいぜんさくろTurck, Column of Feneis: 272 22

[A14_1_02_205] →(錐体路線維は大脳皮質から起こり、内包の後脚を通り、次いで大脳脚ではその中央2/3の部分を占める。ここでは錐体路は皮質橋核線維を伴っている。錐体路線維は橋では多数の線維群に分かれ、横走する橋核小脳路として交叉して走る。延髄では、これらの線維は再び一つにまとまり、錐体を形成する。延髄と脊髄の移行部で約80%の錐体路線維が交叉する(錐体路交叉)。その結果、交叉性の外側脊髄路が脊髄の側索を、非交叉性の前皮質脊髄路が前索を通って脊髄へ下行する。注意すべき点は、皮質脊髄路線維は内包の後脚を通るさい、皮質皮質下脊髄路線維や視床大脳皮質線維など、多くの線維と一緒に走るということである。したがって、しばしば起こる内包の血管損傷のさいにみられる症状は皮質脊髄路線維の遮断のみその原因があるわけではない。)

Lateral vestibulospinal tract(外側前庭脊髄路;外側前庭神経核脊髄路)Tractus vestibulospinalis lateralis がいそくぜんていせきずいろ;がいそくぜんていかくせきずいろ Feneis: 272 23

[A14_1_02_206] →(ダイテルス脊髄路ともよばれる。前庭神経核群から出て脊髄に向かう線維の経路を前庭脊髄路と総称する。このうち前庭神経外側核(Deiters核)から起こり交叉せず、延髄腹外側部を下行し、脊髄の前索外側部を経て同側の脊髄前角の内側部におわる経路を外側前庭脊髄路(狭義の前庭脊髄路)という。この伝導路は脊髄の全長にわたっており、それぞれの高さで前角内側部に線維を送っている。この経路には体局在性が存在し、外側前庭神経核のなかでその上腹側部から出たものは頚髄へ、下背側部から出たものは腰仙髄へ、これらの中間からは胸髄へいたる。この神経路の運動興奮によって深筋群の活動が強まる。)

Medial vestibulospinal tract(内側前庭脊髄路;内側前庭核脊髄路)Tractus vestibulospinalis medialis ないそくぜんていせきずいろ;ないそくぜんていかくせきずいろ

[A14_1_02_207] →(内側前庭神経核(Schwalbe)から起こり両側性に内側縦束を通って下行し、脊髄前索の背側部を経て大部分は頚髄および胸髄上部の前角内側部に終わる。これは外側前庭脊髄路に対して内側前庭脊髄路という。)

Reticulospinal fibres; *Reticulospinal tract(網様体脊髄線維;網様体脊髄路)Fibrae reticulospinales; *Tractus reticulospinales もうようたいせきずいせんい;もうようたいせきずいろ Feneis: 272 24

[A14_1_02_208] →(網様体脊髄路は、橋と延髄の網様体から脊髄に向かって下る様々な線維束をさす集合語。脳幹と脊髄において、この神経線維は内側縦束と関連して下行する。橋網様体脊髄路の線維は延髄に起始するものより多く、脊髄全長にわたって下行し、第Ⅷ層と第Ⅶ層隣接部に終止する。これらの網様体脊髄路線維は大部分が脊髄の1髄節以上にわたって側副枝を出し、これによって脊髄の異なったレベルでの協調活動に加わる可能性を示唆している。この網様体脊髄路の電気的刺激によって、体幹および四肢の骨格筋に分布する運動ニューロンに単シナプス性および多シナプス性の活動が起こる。直接的な影響は体幹の、特に頚部の筋に最も強い。)

Pontoreticulospinal tract; Medial reticulospinal tract(橋網様体脊髄路;内側網様体脊髄路)Tractus pontoreticulospinalis きょうもうようたいせきずいろ;ないそくもうようたいせきずいろ Feneis: 272 31

[A14_1_02_209] →(橋網様体脊髄路は、下および上橋網様体核といわれる橋被蓋内側にある細胞集団から起こる。下橋網様体核は尾側橋被蓋にはじまり、吻側に向かって三叉神経運動核のレベルまで伸びている。この神経核はいろいろな核の小さい細胞に加えて、多数の巨大細胞を含む。橋網様体核はほとんど完全に同側性で前索の内側部(すなわち溝縁領域を主として下行する。脳幹と脊髄において、この神経線維は内側縦束と関連して下行する。橋網様体脊髄路の線維は延髄に起始するものより多く、脊髄全長にわたって下行し、第Ⅷ層と第Ⅶ層隣接部に終止する。これらの網様体脊髄路線維は大部分が脊髄の1髄節以上にわたって側副枝を出し、これによって脊髄の異なったレベルでの協調活動に加わる可能性を示唆している。この網様体脊髄路の電気的刺激によって、体幹および四肢の骨格筋に分布する運動ニューロンに単シナプス性および多シナプス性の活動が起こる。直接的な影響は体幹の、特に頚部の筋に最も強い。橋網様体脊髄路の線維が終わる部位は前庭脊髄路の線維が終わる部位は前庭脊髄路の線維が終わるところに類似する。)

Interstitiospinal tract(間質核脊髄路;介在核脊髄路)Tractus interstitiospinalis かんしつかくせきずいろ;かいざいかくせきずいろ

[A14_1_02_210] →(間質核脊髄路は中脳の間質核から起こり同側を下行してRexedの脊髄節Ⅶ層とⅧ層に終わる線維束。)

Tectospinal tract(視蓋脊髄路)Tractus tectospinalis しがいせきずいろ Feneis: 272 32

[A14_1_02_211] →(視蓋脊髄路は主として中脳の上丘(第4および第6層)および一部は下丘から出て、すぐに背側被蓋交叉で交叉し、反対側の脳幹の正中部の知覚で内側縦束の腹側を下り(背前束)、脊髄では前索の前正中裂に近い部分を下行し、頚髄、ことに上位頚髄の前角の腹内側部から灰白質に入り、中間質外側部およびその付近に分布するが、直接に前角細胞に終わるものはない。これは視覚、一部は聴覚刺激に応じた頭部、上肢の反射的姿勢運動による。)

Anterior raphespinal tract; Ventral raphespinal tract(前縫線脊髄路;腹側縫線脊髄路)Tractus raphespinalis anterior ぜんほうせんせきずいろ;ふくそくほうせんせきずいろ

[A14_1_02_212] →(腹側縫線脊髄路は主として延髄および橋尾側部から起こり前索の中を下行する神経線維束。)

Olivospinal fibres; Olivospinal fibers(オリーブ核脊髄線維;オリーブ脊髄線維)Fibrae olivospinales おりーぶかくせきずいせんい;おりーぶせきずいせんい Feneis: 272 33

[A14_1_02_213] →(ヘルウェグ束(Helweg bundle)ともよばれる。オリーブ核脊髄線維は脊髄側索辺縁にある細い神経束。むしろspinoolivary(脊髄オリーブ線維)とするほうがよい。)

Anterior spinothalamic tract; Ventral spinothalamic tract(前脊髄視床路;腹側脊髄視床路)Tractus spinothalamicus anterior ぜんせきずいししょうろ;ふくそくせきずいししょうろ Feneis: 272 25

[A14_1_02_214] →(脊髄視床路は後索の線維とちがって、脊髄内のニューロンから始まる。脊髄灰白質内から始まる線維は交叉して視床まで上行する。この伝導路は脊髄内で交叉し視床に達するという、古くから知られた経路であるが、その起始細胞はごく最近になって確定された。脊髄視床路の起始細胞は次のようにして証明された。①生理学的には、視床の特殊感覚中継核の逆行性刺激、②解剖学的には、西洋ワサビ過酸化酵素horseradish peroxidase (HRP)を用いた逆行性軸索流の追跡によった。これらのデータは、脊髄視床路の線維が脊髄では対側性に主に第Ⅰ、Ⅳおよび第Ⅴ層の細胞からでることを裏付けているもっとも、いくらかの線維は第Ⅵ層と第Ⅶ層の細胞から起こっている。霊長類の動物で、大量のHRPを注入すると、多数の脊髄視床路のニューロンが反対側の下位腰髄に見出される。脊髄の各領域では同側性に標識された脊髄視床路のニューロンは全体の約10%を占めている。脊髄視床路を形成するニューロンは異なった髄節や灰白層では大きさ、形、数量が変わる不均質な細胞分布でできている。後角内の一時間核線維の神経終末とこれと関わるシナプス結合に関する詳細は不明であるが、求心性線維が第Ⅳ層と第Ⅴ層の細胞の樹状突起と接触していることは考えられることである。脊髄視床路は白前交連で交叉するが、その交叉はいくつかの髄節わたり、また対側性に上行する。前脊髄小脳路を形成する線維は前索と前外側索を上行し、また、体部位局在的に配置されているので、仙髄と腰髄からはじまる線維は最も外側で、胸髄と頚髄からのものは最も内側を占める。前脊髄視床路は、一部の線維かまたは側枝が網様体の核に投射しているから、延髄の高さで大きさが小さくなる。この伝導路を構成する脊髄視床路線維は橋および中脳で内側毛帯と密接に関連をもっている。中のレベルでは前脊髄視床路は2つの構成成分から成る。外側部分の線維は大きくて視床後核と後外側腹側核尾部(VPLc)視床核に終止し、内側の線維は中心灰白質と両側性に髄板内核とに投射する。前脊髄視床路の線維は”軽い触覚”の感覚に関係するインパルスを伝達する。この感覚は毛のないところの皮膚を羽毛や綿辺でさすることで起こされる。前脊髄視床路の損傷は、たとえあるとしても、非常に軽い障害しか起こさない。これは触覚が、後索によっても伝達されるからである)

Lateral funiculus of spinal cord(側索(脊髄の))Funiculus lateralis (Medullae spinalis) そくさく(せきずいの) Feneis: 272 26

[A14_1_02_215] →(脊髄の側索は脊髄白質で前外側溝と後外側溝にはさまれた部分をいう。おおよそ歯状靱帯付着部と後根侵入部との間の部分に相当する。側索と前索の移行部は前側索と称される。側索には脊髄下行路(錐体側索路、赤核脊髄路、網様体脊髄路)、脊髄上行路(脊髄小脳路、脊髄視蓋路、脊髄視床路)および固有束が通る。下行路は灰白質近くの内側部を、上行路は外側表層近くを通る傾向にある。下行路のうち錐体側索路(外側皮質脊髄路)がもっとも背側を通り、その腹側を赤核脊髄路が下行する。さらに腹側でⅨ層の背外側近くを延髄網様体脊髄路が下行する。上行路では後脊髄小脳路が最も背外側の部分を通り、その腹側を前および吻側脊髄小脳路が上行する。脊髄網様体路、脊髄視蓋路を含む外側脊髄視床路は最も腹側の前側索を通る。これら以外に多数の上行性および下行性固有束の線維が混在している。また後角の後外側表層には後外側束がある。)

Lateral fasciculus proprius(側索固有束;外側固有束)Fasciculus proprius laterales そくさくこゆうそく;がいそくこゆうそく Feneis: 272 27

[A14_1_02_216] →(外側固有束は側索は前根と後根をつくる最外側の根糸の間を占有する白質で、その中を走る固有線維を総合して外側固有束という。この神経束も脊髄全長を通して存在し、膨大部ではよく発達している。この固有束も種々の長さをもつ上行性および下行性線維からできている。ただし、この神経束はもっぱら同側性の分節を連絡する線維から構成されている。これらの線維の起始ニューロンは口中と中間質に局在し、一部が前柱に存在する。側索の灰白質に近い領域をlateral limiting layerとよび、この層を背側半と腹側半に分ける。また、とくに脊髄上部でみられる後柱基部の外側部にみられる灰白質と白質の混じり合った部分を網様体という。外側固有束は主としてlateral limiting layerと網様体の領域を走行している。側索には重要な上行性と下行性の長い神経路が走っているが、固有束線維はいずれの投射路の間にも混在している。)

Fastigiospinal tract(室頂核脊髄路)Tractus fastigiospinalis しつちょうかくせきずいろ

[A14_1_02_217] →(室頂核脊髄線維は小脳の室頂核から出て下行し、反対側の脊髄の頚部、ときにはさらに下方の灰白質に終わる線維。)

Interpositospinal tract(中位核脊髄路)Tractus interpositospinalis ちゅういかくせきずいろ

[A14_1_02_218] →(中位核脊髄路は小脳の前・後中位核からおこり脊髄に下行する線維束。)

Lateral corticospinal tract; Lateral pyramidal tract(外側皮質脊髄路;錐体側索路)Tractus corticospinalis lateralis; Tractus pyramidalis lateralis がいそくひしつせきずいろ;すういたいそくさくろ Feneis: 272 28

[A14_1_02_219] →(錐体側索路 錐体路線維のうち、錐体交叉で交叉する線維で構成される神経路をいう。反対側の脊髄側索後部(後側索ないし背側索)を下行し、途中で漸次脊髄灰白質に線維を出しながら、次第に小さな線維束となり脊髄下端まで達する。通常、9割以上の錐体路線維が交叉性で錐体側索を通ると考えられているが、これら交叉性の錐体路線維と錐体前索路を通る非交叉性のものとの割合は、特にヒトでは個体差が著しい。[医学大辞典:高田昌彦] 外側皮質脊髄路は脊髄全長にわたって下行し、全髄節の灰白質に線維を送り、尾方へ行くに従って徐々に小さくなる。下位腰髄と仙髄で後脊髄小脳路の下方では、外側皮質脊髄の線維が脊髄の背外側表面に達する。交叉性外側皮質脊髄路音線維は中間部で脊髄灰白質に入り、第Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ、Ⅶ層の部分に分布する。サルでは少数の線維が直接前角細胞あるいは第Ⅸ層内のその突起に終わる。)

Rubrospinal tract(赤核脊髄路;モナコフ束)Tractus rubrospinalis せきかくせきずいろ;もなこふそくMonakow's tract Feneis: 272 29

[A14_1_02_220] →(赤核脊髄路はモナコフ束ともよばれる。この伝導路の線維は、中脳被蓋の中心部にある卵円形の細胞集団である赤核からおこる。赤核は普通、吻側の小細胞群と尾側の大細胞群に分けられ、それらは動物によって大きさに差がある。赤核脊髄路は赤核の大細胞部から起こる。赤核脊髄路の線維は腹側被蓋交叉で完全に交叉し、脊髄各髄節を側索の皮質脊髄路の前側および一部それと混在して下行する。赤核脊髄路の線維は体部位局在性に構成されており、核の特定の部分の細胞はきめられた脊髄のレベルに選択的に投射する。頚髄へ投射する線維は赤核の背側および背内側部からおこり、一方腰仙髄に投射する線維は赤核の腹側および腹外側から起こる。胸髄は赤核の中間部から起こる線維を受ける。赤核脊髄路は①脊髄全長を下行する、②第Ⅴ層の外側半分、第Ⅵ層、および第Ⅶ層の背側部および中央部に終止する。赤核は大脳皮質と小脳から線維を受ける。“運動野”皮質からの皮質赤核路線維は赤核の小細胞部には両側性に、大細胞部には同側性に投射する。これらの投射線維はその起始終止とも体部位局在性に配列する。このシナプス結合を通して、皮質赤核路と赤核脊髄路とは共同して体部位局在性に配列した非錐体外路系伝導路として大脳皮質運動領と特定の脊髄レベルの間に存在する。赤核のあらゆる部分が上小脳脚を経てくる交叉性の小脳遠心線維を受ける。歯状核からの線維は赤核の前1/3に投射し、中位核(ヒトの球状核と栓状核に相当する)からの線維は体部位局在的に小脳皮質の部分と赤核の大細胞部とを関係づけている。赤核の細胞を刺激すると対側の屈筋のα運動ニューロンに興奮性シナプス後電位が発生し、また、伸筋のα運動ニューロンに抑制的シナプス後電位が発生する。赤核脊髄路の最も重要な機能は屈筋群の筋緊張の制御に関与することである。 Monakow, Constantin von (1853-1930) スイスの神経学者。大脳皮質の機能局在を明示し(Die Lolcalisation in Grosshirn u. der Abbau der Funktion durch kortical Herde, 1914)、モナコフ束(赤核脊髄路)を記述(Der rote Kern, die Haube u. die Regio hypothalamica bei einigen Saeugetieren und beim Menschen, Arb. Hirnanat. Inst. Zuerich, 1909, 3, 51-267; 1910, 4, 103-225)。)

Bulboreticulospinal tract; Medullary reticulospinal tract; Lateral reticulospinal tract(延髄網様体脊髄路;外側網様体脊髄路)Tractus bulboreticulospinalis えんずいもうようたいせきずいろ;がいそくもうようたいせきずいろ Feneis: 272 30

[A14_1_02_221] →(延髄網様体脊髄路は延髄網様体の内側2/3から起こる。線維の最も多くは巨大細胞性網様核から起こる。この核は下オリーブ核群の背側で、傍正中部の外側にある。この核はその名前が示すように、特徴的な大きい細胞から構成されるが、加えて、この領域には多数の中等大の細胞と小細胞が存在する。延髄網様体脊髄路の神経線維は脊髄レベルへ両側に投射し(交叉性と非交叉性)、主に側索の前部を下行する。反対側への線維は延髄で交叉をするが、非交叉性線維よりは数が少ない。延髄網様体脊髄路のいくらかの線維は脊髄の全長を下行する。橋と延髄から起こる網様体脊髄路は脊髄では明確には分離していない。延髄網様体脊髄路の線維は主として第Ⅶ層に終わるが、少数の線維は第Ⅸ層に終わる。延髄網様体脊髄路のうちいくつかの構成部分は生理学的に証明されている。すなわち①多くの脊髄レベルに側副枝を出す長い投射路と②巨大細胞性網様体核の吻背側領域から主として起こる頚髄への短い投射路である。橋と延髄から起こる網様体脊髄路は、大部分が介在ニューロンの細胞体や樹状突起に終止する。ただ、いくらかは運動ニューロンに直接終わる。延髄網様体脊髄路は、皮質脊髄路と赤核脊髄路からの線維も一部受ける灰白質層の部位に終止する。)

Olivospinal fibres; Olivospinal fibers(オリーブ核脊髄線維;ヘルウェク三稜路)Fibrae olivospinales おりーぶかくせきずいせんい;へるうぇくさんりょうろ Feneis: 272 33

[A14_1_02_223] →(ヘルウェグ束(Helweg bundle)ともよばれる。オリーブ核脊髄線維は脊髄側索辺縁にある細い神経束。むしろspinoolivary(脊髄オリーブ線維)とするほうがよい。)

Spinotectal tract(脊髄視蓋路)Tractus spinotectalis せきずいしがいろ Feneis: 274 01

[A14_1_02_224] →(脊髄視蓋路は上丘深層へ投射するがその数は多くない。脊髄視蓋路の起始細胞は後角の第Ⅰ層と第Ⅴ層に存在している。この交叉性伝導路の神経戦は脊髄視床路系に密接して脊髄の前外側部を上行するが、中脳の高さで上丘の中間層と深層と中心灰白質の外側部に投射する。上丘への体性感覚入力は脊髄の第Ⅳ層の細胞からも幾分かは起こるが、主な入力は楔状束核および三叉神経脊髄路核のすべての部分から起こる。これらの入力は体位部位的局在的に構成されており、頭部からの近くは上丘の上部に終わる。上丘は、①主に視覚入力を受ける浅層と②いろいろな多感覚性の入力を受ける深層の2つに区分けされる。浅層は深層とは明らかに異なる投射様式を示すが、この浅層もまた深層に投射する。)

Lateral spinothalamic tract(外側脊髄視床路)Tractus spinothalamicus lateralis がいそくせきずいししょうろ Feneis: 274 02

[A14_1_02_225] →(この伝導路は前脊髄視床路と密接に関係しているが、痛覚や温度覚に関係するインパルスを伝達するため、臨床医学上はるかに重要である。この経路の線維はより集中化され、視床に直接投射する長い線維を含んでいる。前脊髄視床路の起始細胞に関する知見は外側脊髄視床路にもあてはまる。主として第Ⅰ層、Ⅳ層および第Ⅴ層の細胞が、白前交連で交叉して反対側の側索を外側脊髄視床路として上行する軸索の大部分を出している。この伝導路の線維は斜めに反対側へ横断するが、普通一髄節内で行われる。この伝導路はまた前脊髄視床路と類似した配列で体部位局在的に構成されており、また前脊髄小脳路の内側に位置している。痛覚と温度覚に関係する神経線維は不完全に分離している。温度覚に関係する線維は痛覚に関係する線維の後側に位置する傾向がある。脳幹にあってはこの伝導路は網様体に枝を出すが、主幹は視床の後外側腹側核尾部(VPLc)に終わる。)

Anterior spinocerebellar tract; Ventral spinocerebellar tract(前脊髄小脳路;腹側脊髄小脳路;ガワース路)Tractus spinocerebellaris anterior ぜんせきずいしょうのうろ;ふくそくせきずいしょうのうろ;がわーすろGower's tract Feneis: 274 03

[A14_1_02_226] →(ガワーズ路ともよばれる。前脊髄小脳路は発育が悪い。この伝導路は後脊髄小脳路の前方で脊髄の外側辺縁部に沿って上行する。これは最初下部胸髄にあらわれるが、その起始細胞は胸髄核ほどには、はっきりと分離していない。線維は第Ⅴ、Ⅵ、Ⅶ層の一部の細胞から起こる。この伝導路の起始となる細胞は、尾髄と仙髄から上方へ第一腰髄まで広がっている。前脊髄小脳路の線維は後脊髄小脳路より数が少なく、均一に太く、また、結局すべて交叉する。後脊髄小脳路のように、主として下肢からのインパルスの伝達に関与する。前脊髄小脳路を出す細胞はGolgi腱器官由来のⅠb群求心性線維からの単シナプス性興奮を受けるが、そのGolgi腱器官の受容範囲はしばしば下肢の各関節における一つの協力筋群を包含している。小脳へのこの経路は2個のニューロンで構成されている。すなわち①脊髄神経節のニューロンⅠおよび②腰髄、仙髄および尾髄の前角と後角の基部の散在性の細胞群のニューロンⅡである。ニューロンⅡの線維は脊髄内で交叉し外脊髄視床路の線維の辺縁部を上行する。その線維は橋上位の高さで上小脳脚の背側面を通って小脳に入る。この伝導路の大部分の線維はは対側の小脳虫部の前部のⅠからⅣ小葉に終わる。おの伝導路線維は下肢全体の協調運動や姿勢に関係するインパルスを伝達する。臨床的には、他の脊髄伝導路が混在するために、脊髄小脳路の損傷に対する影響を決めることは結局不可能である。小脳へ投射されるインパルスは意識の領野には入らないから、このような損傷によって触覚や運動覚が失われることはない。Gowers, Sir William Richard(1845-1915)イギリスの神経科医、病理学者。ロンドン大学の教授。ヘモグロビン測定器の発明(1878年)、検眼鏡の活用に尽力し、ブライト病での眼底所見を示す(1876年)。脊髄疾患について記し、このときガワーズ路を記述(「The diagnosis of disease of the spinal cord」, 1880)。彼はまた速記術に興味を持ち、医学表音速記者協会を創設した。)

脊髄と脳幹から小脳へ上行する線維束およびそれらの中心経路(BechterewおよびR. Richterによる) は結合腕;は脊髄小脳路,延髄小脳路およびオリーブ小脳路;は小脳内の皮質核路. Bc結合腕(赤核のところで);C Cajalの下行性外側小脳束;cn 皮質核路(小脳内の);Cr 索状体;d 歯状核;e 栓状核;f 室頂核;Fed 後外弓状線維;Fev 前外弓状線維;Fi 内弓状線維;g 球状核;l 後索外側部;m 後索内側部;Na 弓状核;Ncd 後柱核;Nd 背核;Nld 後索外側部核;Nmd 後索内側部核;No オリーブ核;Noa 背側副オリーブ核;ocオリーブ小脳路;P, Pプルキンエ細胞;rc 赤核皮質路(=赤核頭頂路);Rd 後根;rt赤核視床路;spcv後脊髄小脳路(Flechsing);spcv前脊髄小脳路(Gowers);spo 脊髄オリーブ路;tc視床皮質路.

Posterior spinocerebellar tract; Dorsal spinocerebellar tract(後脊髄小脳路;背側脊髄小脳路;フレヒシッヒ束)Tractus spinocerebellaris posterior こうせきずいしょうのうろ;はいそくせきずいしょうのうろ;ふれひしっひそくFlechsig's tract Feneis: 274 04

[A14_1_02_227] →(後脊髄小脳路は胸髄核から出て交叉せずにすぐ側索周辺部の背側部を上行し、下小脳脚を通って同側の小脳の前葉、一部は虫部錐体、虫部垂などの皮膚に達する。脊髄の側索後外側辺縁部を上行するこの非交叉性の伝導路は胸髄核の大細胞から起始する。後根の求心性線維は直接に、または後索を上下行した後に胸髄核に終わる。胸髄核の大細胞は太い線維を出し、これは側索の後外側部(すなわち皮質脊髄路の外側)に入り、上行する。延髄にあってはこの伝導路の線維は下小脳脚に組み込まれ、小脳に入って同側性に虫部の吻側と尾側に終わる。虫部全部では線維は第Ⅰ小葉から第Ⅳ小葉に終わり、後部では主として虫部錐体と正中傍小葉に終わる。胸髄核は第三胸髄から尾方には存在しないから、尾方の髄節からの後根線維はまず後索内を上位の胸髄まで伝達され、それから胸髄核の細胞へ伝えられる。後脊髄小脳路を経由して小脳へ中継されるインパルスは伸展受容器である筋紡錘やGolgi腱器官および触圧覚受容器から起こる。胸髄核のニューロンは主としてⅠa群、Ⅰb群およびⅡ群の求心線維を経由する単シナプス性興奮を受ける。Ⅰ群の求心性線維と胸髄核の間のシナプス結合では高頻度のインパルスの伝達が行われる。一部の外受容器由来のインパルスもまた後脊髄小脳路を経由して伝達される。これらは皮膚の触覚と圧覚の受容器およびゆっくり反応する圧受容器に関係する。後脊髄小脳路は脊髄レベルおよび小脳の終始部において体部位局在性に配列されている。伝導路によって伝達されるインパルスは意識のレベルに達することはない。これらの伝導路によって伝達されるインパルスは姿勢とここの四肢筋の運動の細かい協調作用に役立っている。)

Posterolateral tract; Dorsolateral tract(後外側路;背外側路)Tractus posterolateralis こうがいそくろ;はいがいそくろLissauer's tract Feneis: 274 05

[A14_1_02_228] →(リッスウェル路Lissauer's tractとも呼ばれる。側索の後外側部と後索の外側部との間にあって、後核の背側表面をおおう薄い線維層を指す。後根線維の外側群に相当する。後根神経節に由来する細い線維で、分岐した後、数mm上行あるいは下行し、その間の後角のⅠ層~Ⅲ層におわる。痛覚および温覚を伝える。Lissauer, Heinrich(1861-1891)ドイツの神経科医、Lissauer's tract or bundle, Lissauer's zone (marginal zone)に名を残した。肉体的、精神的荒廃、てんかん発作、片麻痺、失語症などの症状を伴う進行性麻痺をLissauer's paresisというが、この1855年に書かれた論文は、Lissauerが30歳で他界したあと10年を経て、E.Storch(1901)によってUber einige Falle atypischer progressiver Paralyse. Nach einem hinterlassenen Manuskript Dr. H. Lissauer's. Mschr Psychiat Neurol 9: 401-434, 1901として発表した。)

Posterior part of lateral funiculus of spinal cord(側索後部(脊髄の))Pars posterior funiculi lateralis (Medullae spinalis) そくさくこうぶ(せきずいの) [A14_1_02_229]

Spino-olivary tract(脊髄オリーブ路;脊髄オリーブ核路)Tractus spinoolivaris せきずいおりーぶろ;せきずいおりーぶかくろHelweg's tract Feneis: 274 06

[A14_1_02_230] →(ヘルベック路とも呼ばれる。脊髄オリーブ路は脊髄小脳回路のもう一つの経路であり、脊髄からのインパルスを下オリーブ核の一部を経て小脳に中継する。これには2つの最も明瞭な伝導路、すなわち後脊髄オリーブ小脳路と前脊髄オリーブ小脳路がある。後脊髄オリーブ路の線維は後索を上行して楔状束核と薄束核の細胞にシナプス結合し、ここから副オリーブ核にインパルスが伝えられる。複数の前脊髄小脳路の線維は反tないそくの前索を上行し、背側および内側副オリーブ核の種々な部位に終止する。脊髄オリーブ路を形成する線維は脊髄のあらゆるレベルから起こり、皮膚と筋の求心性線維群受容器の興奮によって活動する。副オリーブ核は主に小脳の前葉に投射する交叉性のオリーブ小脳路の起始となる。『ヘルベック』 helweg, Hans Kristian Saxtorph (1847-1901) デンマークの医師、精神医学者・脊髄のヘルベック束(脊髄オリーブ核路)を記述。 (Arch. F. Psychiatr., 1887, 79, 104-))

Spinoreticular tract(脊髄網様体路)Tractus spinoreticularis せきずいもうようたいろ Feneis: 274 07

[A14_1_02_231] →(かなりの数の脊髄網様体路の線維が後角の細胞から起こり、脊髄の前外側部を上行し、脳幹網様体の広範囲の領域に分布する。この遠位は大部分非交叉性で、主として延髄の巨大細胞性網様体核の細胞に終わる。橋の網様体に至る脊髄網様体路は両側性に分布する。脊髄網様体路の少数の線維が中脳網様体へ達する。機能的には、脊髄網様体路の線維は系統発生学的に古い多シナプス系統の一構成要素であり、行動上の感知、運動や感覚の活動調節および皮質脳波の賦活を調節する上で重要な役割を果たしている。)

Caeruleospinal tract(青斑核脊髄路)Tractus caeruleospinalis せいはんかくせきずいろ

[A14_1_02_232] →(青斑核脊髄路は青斑核および青斑核下屋から起こり両側性に下行して脊髄全レベルの灰白質に投射する線維束で、脊髄へのノルアドレナリン性投射の主たるものである。)

Hypothalamospinal fibres; Hypothalamospinal fibers(視床下部脊髄線維)Fibrae hypothalamospinales ししょうかぶせきずいせんい

[A14_1_02_233] →(視床下部脊髄線維は室傍核および視床下部の後部・外側部領域より起こり、同側脳幹の腹外側部を通り脊髄の側索にはいり中間外側核に終わる線維。)

Lateral raphespinal tract(外側縫線核脊髄路)Tractus raphespinalis lateralis がいそくほうせんかくせきずいろ

[A14_1_02_234] →(外側縫線核脊髄路は大縫線核から起こり側索後部を下行して脊髄後核に終わる線維束。このセロトニン性線維は後角で痛覚上方の抑制にかかわっている。)

Solitariospinal tract(孤束核脊髄路)Tractus solitariospinalis こそくかくせきずいろ

[A14_1_02_235] →(孤束核脊髄路は孤束核からおこり両側性に下行して主に側索の背部に終わる線維束。)

Spinocervical tract(脊髄頚髄路)Tractus spinocervicalis せきずいけいずいろ

[A14_1_02_236] →(脊髄頚神経路は脊髄後柱に起始して外側頚髄核に終わる神経路。後柱に分布する起始ニューロンの軸索は非交差性に側索背部を上行する。)

Spinovestibular tract(脊髄前庭路;脊髄前庭神経核路)Tractus spinovestibularis せきずいぜんていろ;せきずいぜんていしんけいかくろ

[A14_1_02_237] →(脊髄前庭線維は、主として脊髄尾側レベルより起こり、同側を上行して、前庭神経外側核、および前庭神経外側核、および前庭神経内側核と前庭神経下核の尾側部に終止する。)

Trigeminospinal tract(三叉神経脊髄路)Tractus trigeminospinalis さんさしんけいせきずいろ

[A14_1_02_238] →(三叉神経脊髄路は延髄から橋の横断面上にコンマ状に明確に認められる線維束。脊髄路核の各部の第Ⅰ層と第Ⅲ層細胞から起こる。これらのうち、下部と中間部からの線維は同側性であるが、上部からのものは両側性に下行し、後柱に入る感覚性上方を調節し、種々の反射に関係し、さらに三叉神経支配の受容器と脊髄の体性および内臓性効果器を連絡している。)

三叉神経脊髄路の横断図 その延髄にある部分(H. Heldによる). 1 三叉神経脊髄路の外側縁;2 三叉神経脊髄路の線維団の横断;3 三叉神経脊髄路の凹をなす内側縁;4 三叉神経脊髄路核;5 三叉神経脊髄路の線維の側枝と終末枝とがその凹をなす縁から分離して,脊髄路核の細胞のまわりに終末分枝をなしていて,さらに後者の神経突起(6)が上方にすすむ.

 

Posterior funiculus of spinal cord; Dorsal funiculus of spinal cord; Dorsal column of spinal cord; Dorsal white column; Posterior white column of spinal cord;; Posterior column of spinal cord white(後索;背側索(脊髄の))Funiculus posterior (Medullae spinalis) こうさく;はいそくさく(せきずいの) Feneis: 274 08

[A14_1_02_239] →(脊髄の後正中溝と後角との間にある白質をいう。後索はさらに内側部の薄束と外側部の楔状束とに分けられる。いずれもその主体をなすのは後根神経節細胞の上行性軸索で薄束は下半身(T6以下)に由来し、楔状束は上半身(T5以上)に由来する。すなわち楔状束は胸髄上部より吻側に、胸髄下部以下では薄束のみが存在する。後索の線維の配列には身体部位局在があり、下位からのものは内側に、上位からのものは外側を上行する。これらの線維は内層毛帯を出す延髄の後索核におわる。T5以上では外楔状束核におわる線維が走る。その他、後索核に投射する脊髄後角の細胞の軸索も上行する。後索の線維は皮膚、関節、筋に由来し、識別性のある触覚覚、運動覚、振動覚、2点弁別を伝える。後索における後根線維の下行枝はいろいろの離れた所へ投射する。この線維は胸髄核の一部やⅥ層の内側に細胞に終わる。頚髄および上部胸髄で下行する線維束は束間束を作り、腰髄では中隔縁束を作る。後索核の細胞もまた同側の後索に下行性線維を送る。これらは第Ⅳ、Ⅴ層と多分第1層にも終止し、感覚性情報の上への伝達を調節していると思われる。)

Posterior fasciculus proprius; Dorsal fasciculus proprius(後索固有束;後固有束;背側固有束)Fasciculus proprius posterior こうさくこゆうそく;こうこゆうそく;はいそくこゆうそく Feneis: 274 09

[A14_1_02_240] →(後固有束は灰白質に接す。脊髄節間を連絡し協調運動に役立つ。後柱にコンマ束、中隔縁束、角交連束などとよばれる固有脊髄系に数えられる線維束が存在する。そのため後固有束とこれらの線維束との関係について研究者の見解が分かれる。多くの研究者が後固有束を角交連束と同じとみなし、両者を区別していない。固有束線維は前索でも、側索でもその全域に散在性にひろがって存在している。後固有束を後索の固有線維の総称名として用いている。)

Septomarginal fasciculus(中隔縁束)Fasciculus septomarginalis ちゅうかくえんそくFlechsig, Oval bundle of Feneis: 274 10

[A14_1_02_241] →(中隔縁束は卵円野ともよぶ。これは胸髄下部から腰髄の高さで、後索に入った後根線維内側群の下行枝が薄束の内側部、すなわち後正中中隔に接して集まってできた線維束である。後根を通過っして後索に親友する一次求心性感覚線維は、分岐して下行性に向かう側副枝を出す。下半身から脊髄に到達した感覚線維は薄束を形成し、その下行枝が中隔縁束をつくる。中隔縁束はコンマ束(束間束)と部位によって癒合することが認められ、また他方卵円野より腹側の正中域に中隔縁束と別の神経束として前中隔線維の存在も報告されている。)

Interfascicular fasciculus(束間束;半月束;コンマ束;半円束;下行部;コンマ状部(後索の))Fasciculus interfascicularis; Fasciculus semilunaris; Pars descendens funiculus posterior そくかんそく;はんげつそく;こんまそく;はんえんそく;かこうぶ;こんまじょうぶ(こうさくの)Hoche, Bundle of, Tract of; Phillippe-Gombault, Triangle of; Schultze's comma tract Feneis: 274 11

[A14_1_02_242] →(後索の主体を構成する薄束と楔状束の間に存在するコンマ形の領域をコンマ野comma fieldとよび、この部を形成する線維群をコンマ束comma tractという。この神経束の存在はWestphal (1880)によって最初に記載されたが、Schultze(1883)がコンマ束の名称を使ったことから後年Schultzesches Kommaの用語が広く使われるようになった。かれはC4とC5のレベル後根を横断したとき、手術巣から約2.5cm尾側でコンマ上の領域に変性繊維の集団を出現することを記載した。コンマ束はその位置から束間束または半月束ともよばれる。典型的なコンマ状を呈する変性線維の束は、頚髄に侵入する後根を切断したとき、胸髄上部の後索で観察することができる。しかしその時もコンマ束の形状と出現位置は正確には一致しない。コンマ状を尾方にに辿るとその形が変化し、コンマの頭の部分だけになり、尾の部分がなくなる。胸髄下半分以下で後根を切断しても、腰仙髄への後索でコンマ束を認めることはできない。これらのことを総称して、この固有束は頚神経と第1~7胸神経の後根由来の付帯的な下行枝によって構成される神経束とであると考えられる。胸髄下半分とそれ以下の後根から進入する線維の下行枝は後索内では分散して走行し、コンマ束となってまとまることはない。コンマ束は頚髄および胸部上半部に親友する後根線維の下行性分枝からなり、胸髄中央部以下に入る後根線維の下行枝はコンマ野に入らず、分散して下行枝、まとまりを示さないと考えられる。内在性の介在ニューロンの軸索の参加は完全には否定できないが、たとえあってもその数は少ない。T7以下で後根を切断してもコンマ束線維の変性は起こらない。後根線維の下行性分枝はコンマ区束、または中隔縁束、とくに卵円野領域を主として下行するとみられる。人ではC5からC6後根線維の下行枝はT12レベルまで追跡でき、C8の切断でもT12までたどれる。T4での切断では仙髄まで変性線維を追うことができる。これらの線維は後柱および後交連の領域に進入し、終末する。)

Gracile fasciculus(薄束;ゴル索;内側部(後索の))Fasciculus gracilis; Pars medialis funiculus posterior はくそく;ないそくぶ;ごるそく(こうさくの)Goll's tract Feneis: 274 12

[A14_1_02_243] →(薄束はゴル束ともよばれる。楔状束(ブルダッハ束)とともに脊髄後索をなす。両側の後索は胸髄上部と頚髄において後中間中隔によって2分される。この中隔はおよそ第六胸髄の高さで認められ、薄束(内側)と楔状束(外側)を分ける。薄束は脊髄全長にわたって存在し、仙髄部、腰髄部、下位6胸髄部の後根由来の長い上行枝を含む。薄束は後索の内側部にある。体の下半分から線維を含む。触覚と深部知覚を伝える。Goll, Frindrich (1829-1903)スイスの解剖学者、チューリヒ大学の教授。脊髄後索の内側部(薄束)について1860年に記述(「Beitrage zur feineren Anatomie・・・」;, Denk. Medchir. Ges. Kanton Zurich, 1860, 130-171).)

Cuneate fasciculus(楔状束;外側部;ブルダッハ索(後索の))Fasciculus cuneatus; Pars lateralis funiculus posterior けつじょうそく;がいそくぶ;ぶるだっはさく(こうさくの)Burdach's tract Feneis: 274 13

[A14_1_02_244] →(楔状束はブルダッハ束ともよばれる。楔状束は最初、およそ第六胸髄の高さで出現し、上位の6胸神経と前頚神経の後根の長い上行枝を含む。薄束と楔状束の神経線維は同側を上行し、後索の延髄中継核、すなわち薄束核と楔状束核に終わる。後索系には2部があり、薄束(Goll束)および楔状束(Burdach束)として脊髄の後索を上行する。これらの線維束は太い後根線維の直接の続きであって、延髄の後索核にまで達してシナプス結合する。後索系は主として四肢から起こる線維からなり、系統発生的に新しくて、ヒトでもっとも発達している。ヒトではこの線維の長さは長いもので約150cmである。楔状束は後索の外側部。身体の上半分から起こる線維を含む。ドイツの解剖・生理学者Karl Friedrich Burdach (1776-1847)の名を冠する。以前に同部についての報告はあったが、ブルダッハの正確な報告で知られるようになった。)

Cuneospinal fibres(楔状束核脊髄線維;楔状束脊髄線維)Fibrae cuneospinales けつじょうそくかくせきずいせんい;けつじょうそくせきずいせんい

[A14_1_02_245] →(楔状束脊髄線維は延髄の楔状束から起こり、同側の楔状束を下行して頚部および上胸部の脊髄後角に終わる線維。)

Gracilespinal fibres(薄束脊髄線維;薄束脊髄線維)Fibrae gracilispinales はくそくせきずいせんい;はくそくせきずいせんい

[A14_1_02_246] →(薄束脊髄線維は延髄の薄束核から起こり、同側の薄束を下行して下胸部および腰仙骨部の脊髄後角に終わる線維。)

Spinocuneate fibres(脊髄楔状束核線維;脊髄楔状束線維)Fibrae spinocuneatae せきずいけつじょうそくかくせんい;せきずいけつじょうそくせんい

[A14_1_02_247] →(脊髄楔状束線維は頚部・上胸部脊髄の後角細胞から起こり、同側の楔状束を上行して楔状束核に終わる神経線維。シナプス後後柱システムの一部をなす。)

Spinogracile fibres(脊髄薄束核線維;脊髄薄束線維)Fibrae spinograciles せきずいはくそくかくしんけい;せきずいはくそくしんけい

[A14_1_02_248] →(脊髄薄束線維は下胸部・腰仙骨部脊髄の後角細胞から起こり、同側の薄束を上行して薄束核に終わる神経線維。シナプス後後柱システムの一部をなす。)

Central cord structures(脊髄中心灰白質の構造)Structurae centrales medullae spinalis せきずいちゅうしんかいはくしつのこうぞう [A14_1_02_301]

Spinal area X; Spinal lamina X(第X脊髄野;脊髄第X層)Area spinalis X; Lamina spinalis X だい10せきずいや;せきずいだい10そう

[A14_1_02_302] →(第Ⅹ層は脊髄中心管を囲む領域であり介在ニューロン、神経膠細胞、交叉性軸索がそこに含まれている。中心管を取り囲む灰白質は、Rexedによって第10領域10th areaまたはregionとして位置づけられた。これは後索と前白交連の間をなす部位で、中心管によって背側の後灰白交連と、腹側の前科白交連に分けられる。とくに中心管近傍は中心膠様質substantia gelatinosa centralisともよばれる。そこはこの部がグリアと無髄線維を主体に構成され、ゼラチン状に見えるからである(weigert1880)。Bok(1928)は、後柱と前柱の灰白質が中心灰白質に移行する部位に出現する細胞群を後および前角交連核nucleus cornucommissuralis posteriorとよんだ。)

Anterior grey commissure of spinal cord; Ventral grey commissure of spinal cord; Anterior gray commissure of spinal cord; Ventarl gray commissure of spinal cord(前灰白交連;腹側灰白交連(脊髄の))Commissura grisea anaterior (Medullae spinalis) せきずいのぜんかいはくこうれん;せきずいのふくそくかいはくこうれん Feneis: 272 16a

[A14_1_02_303] →(灰白交連の前方には、灰白質の神経細胞に由来する交叉線維の束である前白質交連がある。)

Posterior grey commissure of spinal cord; Dorsal grey commissure; Posterior gray commissure of spinal cord; Dorsa gray commissure(後灰白交連;背側灰白交連(脊髄の))Commissura grisea posterior (Medullae spinalis) こうかいはくこうれん;はいそくかいはくこうれん(せきずいの) Feneis: 272 16a

[A14_1_02_304] →(灰白交連の背方には、灰白質の神経細胞に由来する交叉線維の束である後白質交連がある。)

Anterior white commissure of spinal cord; Ventral white commissure of spinal cord(前白交連;腹側白交連(脊髄の))Commissura alba anterior (Medullae spinalis) ぜんはくこうれん;ふくそくはくこうれん(せきずいの) Feneis: 272 18

[A14_1_02_305] →(学名を直訳すると前白交連となるが、英語訳の白前交連が一般的なので採用した。中心管の腹側を通り、一側の脊髄前索内側部から対側の灰白質に向かって、あるいはそれと反対方向に走る線維を指す。これは脊髄からおこり交叉性に上行する上行路、前索を下行し対側の灰白質に交叉性に終止する下行路および交叉性の上行または下行性脊髄固有束の軸索からなっている。)

Posterior white commissure of spinal cord ; Dorsal white commissure of spinal cord(後白交連;背側白交連(脊髄の))Commissura alba posterior (Medullae spinalis) せきずいのこうはくこうれん;せきずいのはいそくはくこうれん Feneis: 272 18a [A14_1_02_306]

Central canal of spinal cord(中心管(脊髄の))Canalis centralis (Medullae spinalis) ちゅうしんかん(せきずいの) Feneis: 270 12

[A14_1_02_019] →(腔壁は上衣によって裏打ちされた神経管の管腔で、その脳部は残存して脳室を形成する。腔所は脳脊髄液でみがされる。脊髄全長を貫いて、脊髄円錐の尾端で終室となっておわる、きわめて細長い管腔をいう。成人脊髄では中心管は所々でつぶれていることが多い。)

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