一般解剖学

系統解剖学



最終更新日: 12/05/16

funalogo.gif (2604 バイト)







funalogo.gif (2604 バイト)

Respiratory system(呼吸器系)Systema respiratorium こきゅうきけい Feneis: 134 17

[A06_0_00_000] →(呼吸器系は空気中から酸素をとるとともに身体の中に発生した炭酸ガスを空気中に放出する器官系である。呼吸器で摂取した酸素は消化器から吸収した栄養分を燃焼させて身体活動のエネルギーを発生させるために使われるものであり、放出される炭酸ガスはこの燃焼の結果生じた分解産物の一つにほかならない。呼吸器の主体は「肺」であるが、これに「気道」すなわち空気の通路として鼻腔・咽頭・喉頭・気管・気管支などが所属している。)

Lungs(肺)Pulmones はい Feneis: 148 06

[A06_5_01_001] →(肺は胸腔をみたす1対の半円錐形の実質臓器で、呼吸器系の主部をなす。肺においてガス交換が呼吸気と血液の間で行われる。右肺(1200cc, 600g)は左肺(1100cc, 500g)よりやや大きい。肺尖・肺底・肋骨面を区別する。肺尖は鎖骨の2~3cm上方に達する。肺底は横隔面に相当し、横隔膜の円蓋にしたがって陥凹する。肋骨面は胸郭の形にしたがって膨隆する。内側面は左右の胸膜腔を隔てる縦隔に向かう面であって、全体としてややくぼむが心臓に接する部分は深いくぼみをなす。このくぼみを心圧痕といい、とくに左肺に著しい。内側面のうち後方の胸椎に接する部分を椎骨部といい、椎骨部と前述の心圧痕以外の内側面の部分を狭い意味で縦隔部という。縦隔部のうち、ほぼ中央部の肺胸膜におおわれない部分を肺門といい、肺門に出入りする気管支、肺動静脈などは結合織により束ねられて肺根をなし、肺胸膜から縦隔胸膜へ移行する胸膜におおわれるため滑沢であるが、後上方から前下方に走る深い切れ込み(斜裂)がある。右肺ではそのほかに、肋骨面の腋窩腺で斜裂から分かれ、第4肋骨に沿ってほとんど水平に走る切れ込み(水平裂)があり、上葉と中葉が分けられる。各葉の相接する面を葉間面という。左肺を前から見ると上葉に心臓の存在による切れ込みをみる。これを左肺心切痕といい、その下方の上葉前下端の小さい突出部を左肺小舌という。幼児の肺は淡紅色を呈するが、年とともに吸入された塵埃、煙の炭疽粒子などにより、暗赤色に変わる。肺は複合胞状腺の形態を示し、喉頭・気管・気管支およびその枝が導管、肺胞が腺胞に相当する。気管支は葉気管支、区気管支、区気管支枝、細気管支と何回も分支する。細気管支の直径は1mm以下になり、この部にいたると粘膜上皮は多列繊毛円柱上皮から単層の円柱上皮となり、軟骨輪輪は不規則な軟骨小片となる。細気管支はさらに枝分かれして呼吸細気管支になると、気管軟骨はなくなり、上皮は単層立方上皮となる。壁のところどころから肺胞もふくらみ出ている。気道の末端は肺胞管で、多数の肺胞がこの管からふくらみ出ている。その行きどまりを肺胞嚢とよぶ。肺の栄養血管は気管支動静脈で、気管分岐部付近で胸大動脈から直接デル。栄養血管は細葉を最小単位として取り囲む。機能血管である肺動脈は右三室から出て気管支系とともに肺実質内に分布する。胎生期には肺動脈と大動脈弓との間に連絡(動脈管)があるが、出生後閉塞して動脈幹索となる。ガス交換を行った後の血液は肺静脈に集められ左心房に還る。)

左肺の内側面(7/10) 肺間膜は切断してある.

右肺の内側面(4/5)肺間膜は切断してある.

上下の気管支樹Bronchalbaum,およびリンパ節(Sukiennikowによる. Corningから引用)  p, p 肺動脈;d1-d4第1ないし第4の後気管支枝;v1-v4第1ないし第4の前気管支枝.

ネコの肺胞壁の呼吸上皮と毛細管の模型図 (Elenzによる) ×350

生体の肺 レントゲン像,血管が明かにみえる.

 

呼吸上皮 (ネコの肺) 細胞の境は鍍銀法であらわされている.

肺(コウシ)概観像

Left lung(右肺)Pulmo dexter うはい

[A06_5_01_002] →(右肺は上・中・下の3葉からなる。各葉の境界には裂け目があって、肺胸膜はこの裂け目の中まで入り込んでいる。右肺の上葉と中葉の裂け目はほぼ水平であるが、他の裂け目はいずれも斜めに走っている。)

Right lung(左肺)Pulmo sinister さはい

[A06_5_01_003] →(左肺は上・下の2葉から成っている。左肺の上葉の前内側縁には心切痕とう切れ込みがあり、その下の部分は下のような形をしているので小舌と呼ばれる。)

Base of lung(肺底(横隔面))Basis pulmonis (Facies diaphragmatica) はいてい Feneis: 148 08

[A06_5_01_004] →(横隔膜に接する下肺部分。 (Feneis))

Apex of lung(肺尖)Apex pulmonis はいせん Feneis: 148 09

[A06_5_01_005] →(一部胸郭上口に位置している。 (Feneis))

Costal surface of lung(肋骨面(肺の))Facies costalis pulmonis ろっこつめん(はいの) Feneis: 148 10 [A06_5_01_006]

Mediastinal surface of lung; Mediastinal part of inferior lobe(縦隔面;内側面(肺の))Facies mediastinalis; Facies medialis じゅうかくぶ;じゅうかくめん;ないそくめん(はいの) Feneis: 148 13

[A06_5_01_008] →(椎骨部の前方にあり、縦隔に接する面。 (Feneis))

Vertebral part of costal surface of lung(椎骨部(肺の肋骨面の))Pars vertebralis faciei costalis pulmonis ついこつぶ(はいのろっこつめんの) Feneis: 148 12 [A06_5_01_007]

Mediastinal part(縦隔部)Pars mediastinalis じゅうかくぶ  [A06_5_01_007_1]

Cardiac impression on lung(心圧痕(肺の))Impressio cardiaca pulmonis しんあっこん(はいの) Feneis: 148 14

[A06_5_01_009] →(両肺の内側面にある心臓による凹み。 (Feneis))

Diaphragmatic surface of lung; Diaphragmatic surface of inferior lobe(横隔面(肺の))Facies diaphragmatica (pulmonis) おうかくめん(はいの) Feneis: 148 15 [A06_5_01_010]

Interlobar surface of lung(葉間面(肺の))Facies interlobaris pulmonis ようかんめん(はいの) Feneis: 148 16

[A06_5_01_011]

Anterior border of lung; Anterior margin of lung(前縁(肺の))Margo anterior pulmonis ぜんえん(はいの) Feneis: 148 17

[A06_5_01_012] →(縦隔面と肋骨面が前方で合うところにある鋭い縁。 (Feneis))

Inferior border of lung; Inferior margin of lung(下縁(肺の))Margo inferior pulmonis かえん(はいの) Feneis: 148 19

[A06_5_01_014] →(肋骨面と横隔面が合うところにある鋭い縁。横隔面が内側面へ移行する縁はそれほど鋭くない。 (Feneis))

Cardiac notch of left lung; Cardiac notch of anterior margin(心切痕[左肺の])Incisura cardiaca pulmonis sinistri しんせつこん[さはいの] Feneis: 148 18

[A06_5_01_013] →(心圧痕による左肺前縁の弯入。 (Feneis))

Lingula of left lung; Lingula of superior lobe of left lung(小舌;左肺の小舌)Lingula pulmonis sinistri しょうぜつ;さいはいのしょうぜつ Feneis: 148 22

[A06_5_01_018] →(左上葉の心切痕と下縁との間にある角。 (Feneis))

Hilum of lung; Hilus of lung(肺門)Hilum pulmonis はいもん Feneis: 148 20

[A06_5_01_015] →(気管支、肺動・静脈、リンパ管などが肺に出入りする部分。内側面の中央で、およそ第6胸椎の高さにある。なお、出入りする血管などをまとめて肺根root of the lungという。また、肺門周辺にはリンパ節(気管支肺リンパ節)が発達し、肺内からのリンパを集める。(イラスト解剖学))

Root of lung; Lung root(肺根)Radix pulmonis はいこん Feneis: 148 21

[A06_5_01_016] →(肺根は肺門部出入りするすべての構造をさし、胸膜に包まれて脚状をなす。気管支、肺動静脈、気管支動静脈、リンパ管、神経を含む。)

肺根 前方から剖出したもの.

肺根 後方から剖出したもの.

Superior lobe of lung; Upper lobe of lung(上葉(肺の))Lobus superior pulmonis じょうよう(はいの) Feneis: 148 23

[A06_5_01_017] →(後方では第四肋骨まで達する。右側では、その下端は第四肋骨にほぼ沿って、前方へいたる。左側では、第六肋骨の骨軟骨境界まで達する。 (Feneis))

Middle lobe of right lung(中葉[右肺の])Lobus medius (Pulmo dexter) ちゅうよう[うはいの] Feneis: 148 24

[A06_5_01_019] →(右側のみにある。第四肋骨と第六肋骨の間、腋窩中間線より前に位置する。 (Feneis))

Inferior lobe; Lower lobe of lung(下葉(肺の))Lobus inferior pulmonis かよう(はいの) Feneis: 148 25

[A06_5_01_020] →(後側に主な拡がりをもつ。その上限界上後方から下前方へ斜めに走り、第四肋骨から脊柱側方で鎖骨中間線を第六肋骨が切る線までいたる。 (Feneis))

Oblique fissure of lung(斜裂;葉間裂;葉間切痕(肺の))Fissura obliqua; Fissura interlobaris; Incisura interlobaris しゃれつ;ようかんれつ;ようかんせっこん(はいの) Feneis: 148 26

[A06_5_01_021] →(肺の斜裂は左右両肺にみられ、後上方から前下方に向かって斜めに走る。斜裂は肺後面において、肺尖の約6cm下方(第3胸椎の棘突起の高さ)で始まり、前下方に斜走し、下縁の内側部に達する。肺の内側面でみると、斜裂は後上方から前下方に肺門を斜めに横切る。左肺では下葉と上葉の間、右肺では下葉と中葉の間にある斜めの裂隙。したがって、斜裂は、脊柱側方で第四肋骨から前下方へ下り、鎖骨中間線で第6肋骨までいたる。)

Horizontal fissure of right lung(水平裂[右肺の];右肺副裂)Fissura horizontalis pulmonis dextri すいへいれつ[うはいの];うはいふくれつ Feneis: 148 27

[A06_5_01_022] →(水平裂は右肺のみにみられる。水平裂は肺の前面で第4肋骨に沿ってほぼ水平に横走する。斜裂、水平裂のほかにも、副裂accessory fissureがみられ、これによって副葉accesory lobeが生じることもある。たとえば、右肺上葉の内側面に接して、奇静脈が前方に向かって弓状に走り上大静脈にそそぐが、奇静脈が肺に深く入り込み、奇静脈葉azygos lobeをつくることがある。)

Intrapulmonary blood vessels(肺内血管)Vasa sanguinea intrapulmonalia はいないけっかん  [A06_5_01_023]

 

Bronchopulmonary segments; Segmentation of lungs(肺区域)Segmenta brochopulmonalia はいくいき Feneis: 150 01

[A06_5_02_001] →(肺は臨床的な必要性から気管分岐の様式にしたがって一定の区域に分けられる。右肺は上葉3区域、中葉2区域、下葉5区域、計10区域に分けられ、左肺は4区域、下葉は5区域、計9区域に分けられる。Segmentの頭文字にちなんでS1~S10と表記する。これに分布する区[域]気管支はBronchusの頭文字にちなんでB1~B10と表記する。左肺上葉の上部への区気管支は共通管をなすので、S1+2、B1+2と表される。下葉の上枝下-下葉区(S*)はS6の下に見られ、左右とも欠如することが多い。左のS7も欠如することが多い。区域気管支は肺区域に入ると区気管支枝に分かれる。それぞれ日本用語a,bまたはa,b,cの区気管支枝に分かれるが、国際用語ではその一つ一つが命名されていない。区域動・静脈も、区気管支の分岐に準じて分岐・集合する。区域動脈は区気管支とともに肺区域の中心部を進むが、区域静脈はガス交換後の血液を集めて区域の辺縁部を進む。区域動・静脈はA1~A10、V1~V10とそれぞれ略記する。)

Right lung, superior lobe; Superior lobe of right lung(右肺、上葉)Pulmo dexter, lobus superior うはい、じょうよう Feneis: 150 02

[A06_5_02_002] →(右肺の上葉のことである。右肺、上葉は3区域に分けられる(肺尖区(S1)、後上葉区(S2)、前上葉区(S3))。)

Apical segment of right lung [S I](肺尖区(S1);尖区(S1)(右肺の))Segmentum apicale pulmonis dextri [S I] はいせんく(S1);せんく(S1)(うはいの) Feneis: 150 03

[A06_5_02_003] →(右肺の肺尖区(S1)は良い名称だがここでは直訳も採用した。)

Posterior segment of right lung [S II](後上葉区(S2)(右肺の);右肺、上葉の後区(S2))Segmentum posterius pulmonis dextri [S II] こうじょうようく(S2)(うはいの);うはい、じょうようのこうく(S2) Feneis: 150 04

[A06_5_02_004] →(後上葉区(S2)は良い名称だが、ここでは直訳も採用した。)

Anterior segment of right lung [S III](前上葉区(S3)(右肺の);右肺、上葉の前区(S3))Segmentum anterius pulmonis dextri[S III] ぜんじょうようく(うはいの);うはい、じょうようぜんく(S2) Feneis: 150 05

[A06_5_02_005] →(前上葉区(S3)は左肺でも存在するので、右肺の前上葉区(S3)としなければ混乱する。)

Right lung, middle lobe(右肺、中葉)Pulmo dexter, lobus medius うはい、ちゅうよう Feneis: 150 06

[A06_5_02_006] →(右肺の中葉のことである。右肺、中葉は2区域に分けられる(外側中葉区(S4)、内側中葉区(S5))。)

Lateral segment of right lung [S IV](外側中葉区(S4);外側区(S4)(右肺、中葉の))Segmentum laterale pulmonis dextri [S IV] がいそくちゅうようく;がいそくく(S4)(うはい、ちゅうよう) Feneis: 150 07

[A06_5_02_007] →(右肺の外側中葉区(S4)はよい名称であるが、ここでは直訳も採用した。)

Medial segment of right lung [S V](内側中葉区(S5)(右肺の);右肺、中葉の内側区(S5))Segmentum mediale pulmonis dextri [S V] ないそくちゅうようく(S5)(うはいの);うはい、ちゅうようのないそくく(S5) Feneis: 150 08

[A06_5_02_008] →(右肺の内側中葉区(S5)はよい名称であるが、ここでは直訳も採用した。)

Right lung, inferior lobe; Inferior lobe of right lung(右肺、下葉)Pulmo dexter, lobus inferior うはい、かよう Feneis: 150 09

[A06_5_02_009] →(右肺の下葉のことである。右肺、下葉は5区域に分けられる(上-下葉区(S6)、内側肺底区(S7)、前肺底区(S8)、外側肺底区(S9)、後肺底区(S10))。)

Superior segment of right lung; Apical segment of right lung[S VI](上-下葉区(S6)(右肺の);右肺、下葉の上区(S6))Segmentum superius; segmentum apicale (Pulmo dexter) [S VI] じょう-かようく(S6)(うはいの);うはい、かようのじょうく(S6) Feneis: 150 10

[A06_5_02_010] →(右肺の上-下葉区(S6)は右肺の下葉の上区のことである。)

Medial basal segment of right lung [S VII](内側肺底区(S7)(右肺の);右肺、下葉の内側底区(S7);右肺、下葉の心臓区(S7))Segmentum basale mediale; Segmentum cardiacum (Pulmo dexter) [S VII] ないそくはいていく(S7)(うはいの);うはい、かようのないそくていく(S7);うはい、かようしんぞうく(S7) Feneis: 150 12

[A06_5_02_011] →(内側肺底区(S7)は左肺にも存在するので右肺の内側肺底区(S7)としなければ混乱する。)

Anterior basal segment of right lung [S VIII](前肺底区(S8)(右肺の);右肺、下葉の前底区(S8))Segmentum basale anterius; Segmentum anterobasale (Pulmo dexter) [S VIII] うはいのぜんはいていく(S8);うはい、かようのぜんていく(S8) Feneis: 150 13

[A06_5_02_012] →(前肺底区(S8)は左肺にも存在するので右肺の前肺底区(S8)としなければ混乱する。)

Lateral basal segment of right lung [S IX](外側肺底区(S9)(右肺の))Segmentum basale laterale; Segmentum laterobasale (Pulmo dexter) [S IX] がいそくはいていく(S9)(うはいの) Feneis: 150 14

[A06_5_02_013] →(外側肺底区(S9)は左肺にも存在するので右肺の外側肺底区(S9)としなければ混乱する。)

Posterior basal segment of right lung [S X](後肺底区(S10)(右肺の);右肺、下葉の後底区(S10))Segmentum basale posterius; Segmentum posterobasale (Pulmo dexter) [S X] こうはいていく(S10)(うはいの);うはい、かようのこうていく(S10) Feneis: 150 15

[A06_5_02_014] →(後肺底区(S10)は左肺にも存在するので右肺の後肺底区(S10)としなければ混乱する。)

Left lung, superior lobe; Superior lobe of left lung(左肺、上葉)Pulmo sinister, lobus superior; Lobus superior pulmonis sinistri さはい、じょうよう Feneis: 150 16

[A06_5_02_015] →(左肺の上葉のことである。左肺、上葉には4区域に分けられている(肺尖後区(S1+2)、前上葉区(S3)、上舌区(S4)、下舌区(S5))。)

Apicoposterior segment of left lung [S I+II](肺尖後区(S1+2)(左肺の);左肺、上葉の尖後区(S1+2))Segmentum apicoposterius (Pulmo sinister) [S I+II] はいせんこうく(S1+2)(さはいの);さはい、じょうようのせんこうく(S1+2) Feneis: 150 17

[A06_5_02_016] →(肺尖後区(S1+2)はよい名称であるが、ここでは直訳も採用した。)

Anterior segment of left lung [S III](前上葉区(S3)(左肺の);左肺、上葉の前区(S3))Segmentum anterius (Pulmo sinister) [S III] ぜんじょうようく(S3)(さはいの);さはい、じょうようのぜんく(S3) Feneis: 150 18

[A06_5_02_017] →(前上葉区(S3)はよい名称であるが、ここでは直訳も採用した。)

Superior lingular segment of left lung [S IV](上舌区(S4)(左肺の))Segmentum lingulare superius (Pulmo sinister) [S IV] じょうぜつく(S4)(さはいの) Feneis: 150 19 [A06_5_02_018]

Inferior lingular segment of left lung [S V](下舌区(S5)(左肺の))Segmentum lingulare inferius (Pulmo sinister) [S V] かぜつく(S5)(さはいの) Feneis: 150 20 [A06_5_02_019]

Left lung, inferior lobe; Inferior lobe of left lung(左肺、下葉)Pulmo sinister, lobus inferior さはい、かよう Feneis: 150 21

[A06_5_02_020] →(左肺の下葉のことである。左肺、下葉は5区域に分けられている(上-下葉区(S6)、内側肺底区(S7)、前肺底区(S8)、外側肺底区(S9)、後肺底区(S10))。)

Superior segment of left lung [S VI](上-下葉区(S6)(左肺の);左肺、下葉の上区(S6))Segmentum superius (Pulmo sinister) [SVI] じょう-かようく(S6)(さはいの);さはい、かようのうじょうく(S6) Feneis: 150 22

[A06_5_02_021] →(上-下葉区(S6)は右肺にも存在するので、左肺の上-下葉区(S6)としなければ混乱する。)

Medial basal segment of left lung [S VII](内側肺底区(S7)(左肺の);左肺、下葉の内側底区(S7);左肺、下葉の心臓区(S7))Segmentum basale mediale; Segmentum cardiacum (Pulmo sinister) [S VII] ないそくはいていく(S7)(さはいの);さはい、かようのないそくていく(S7);さはい、かようのしんぞうく(S7) Feneis: 150 24

[A06_5_02_022] →(内側肺底区(S7)は右肺にも存在するので、左肺の内側肺底区(S7)としなければ混乱する。)

Anterior basal segment of left lung [S VIII](前肺底区(S8)(左肺の);左肺、下葉の前底区(S8))Segmentum basale anterius (Pulmo sinister) [S VIII] さはいのぜんはいていく(S8);さはい、かようのぜんていく(S8) Feneis: 150 25

[A06_5_02_023] →(前肺底区(S8)は右肺にも存在するので、左肺の前肺底区(S8)としなければ混乱する。)

Lateral basal segment of left lung [S IX](外側肺底区(S9)(左肺の))Segmentum basale laterale (Pulmo sinister) [S IX] がいそくはいていく(S9)(さはいの) Feneis: 150 26

[A06_5_02_024] →(外側肺底区(S9)は右肺にも存在するので左肺の外側肺底区(S9)しなければ混乱する。)

Posterior basal segment of left lung [S X](後肺底区(S10)(左肺の);左肺、下葉の後底区(S10))Segmentum basale posterius (Pulmo sinister) [S X] こうはいていく(S10)(さはいの);さはい、かようのこうていく(S10) Feneis: 150 27

[A06_5_02_025] →(後肺底区(S10)は右肺にも存在するので左肺の後肺底区(S10)としなければ混乱する。)

Bronchioles(細気管支)Bronchioli さいきかんし Feneis: 152 01 [A06_5_02_026]

Lobule of lung; Pulmonary lobule(小葉;肺小葉(肺の))Lobulus pulmonis はいのしょうよう;はいしょうよう

[A06_5_02_027] →(1本の呼吸細気管支に属する肺胞の集合、ないしその程度の単位。肺の表面は多角形の紋理を示す。この紋理は不完全に境界されており、一縁が0.5~3cmで、しばしば色素沈着によってとくに目立っている。これらの紋理は基底部で肺小葉の境界をなしており、胸膜を剥離すると不完全ながら肺小葉を互いに分離することができる。これは各小葉がまた小葉境界膜で包まれているからである。この小葉間疎線維性結合組織があるために小葉は互いにずれることができる。小葉の形成は肺の辺縁部で著明であり(このため肺は強く変形することができる)、中心部ではほとんどみられない。小葉は必ずしも等価値の構成要素を包んでいるのではないが、模式的にいうことが許されるならば、一つ小葉にはだいたい1本の細気管支から出る終末細気管支と呼吸細気管支および肺胞が存在している。終末細気管支より末梢の部分はまたAcinus(腺房、細葉)ともいわれる。細葉は中隔によって境界されているわけではない(小葉と細葉の命名法は統一されていない)。気道はここに気管支と細気管支の境界で強固に肺実質の結合組織と結合するため、その内腔が保たれるのである。)

Terminal bronchiole(終末細気管支)Bronchiolus terminalis しゅうまつさいきかんし  [A06_5_02_027_1]

肺小葉気管支と動脈および静脈 上下の肺(27才の男)褐色は弾性組織

Respiratory bronchiole(呼吸細気管支;呼吸性細気管支)Bronchiolus respiratorius こきゅうさいきかんし;こきゅうせいさいきかんし Feneis: 152 02

[A06_5_02_027_2] →(終末細気管支の末端になると、上皮の連続性が失われ、ところどころに肺胞の形成がみえられる。肺胞においてガス交換、すなわち機械的呼吸が行われる故、呼吸細気管支の名がある。①粘膜上皮:呼吸細気管支の上皮は単層線毛立方上皮であるが、線毛細胞は少なく、末梢になると単層無線毛立方上皮になる。線毛細胞の方がクララ細胞より丈が低い。粘膜ヒダは軽度になる。②結合組織:粘膜固有層は薄い結合組織だけになりラセン筋が接し、膠原線維、弾性線維が分布する。粘膜下組織は肺胞域の間質と接し、外膜はない。間質には貪食顆粒をもつ大食細胞macrophageが多数みられることが多い。)

呼吸細気管支が肺胞管へ移行するところの模型図

 a細気管支;b, c 肺胞管;i 肺胞,その間に肺胞間中隔がある;e胸膜の被い.

呼吸細気管支の上皮 ヒト,細気管支の縦断向かって左が肺胞管につづく.

Alveolar ducts(肺胞管)Ductuli alveolares はいほうかん Feneis: 152 03

[A06_5_02_027_3] →(呼吸細気管支1本から数本の肺胞管が分岐する。肺胞管壁には1本の肺胞管当たり20~60個の肺胞が出現し、肺胞管壁の縦断面における上皮の連絡性は消失する。隣り合う肺胞管の境界部分には肺胞管粘膜が島状またはコブ状に残る(立体面ではラセン状)。この部分の上皮は未分化な立方細胞(分化の移行型を示すと思われる)であるが、末梢の肺胞嚢に近づくと肺胞でみられるような立方細胞(パラフィン切片のHE染色では泡末状細胞質を有す)と扁平細胞が出現する。上皮下にはラセン筋(平滑筋)と膠原線維、弾性線維が支持層を形成する。肺胞管には肺動脈の伴行はなくなり、毛細血管blood capillaryのみが付随する。肺胞管の末端で、1本の肺胞管から2~5個の肺胞嚢が房状に形成される。この肺胞管から肺胞嚢への連絡の部分を房または前房という。各肺胞嚢の入口には、平滑筋と膠原線維、弾性線維が輪状にとりまく。)

Alveolar sacs(肺胞嚢)Sacculi alveolares はいほうのう Feneis: 152 04

[A06_5_02_027_4] →(肺胞嚢は肺胞管の先端にある袋状の行き止まりになった部分で数個の小室に分かれる。この小室が肺胞である。肺胞と他の肺胞との間は肺胞中隔alveolar septumと呼ばれる壁になっている。各肺胞の開口部は円形をしており、この部分の中隔の自由縁の間質には弾性線維、膠原線維、少しの平滑筋線維が輪状にとりまき、肺胞輪alveolar ringを形成する。)

Pulmonary alveoli(肺胞)Alveoli pulmonis はいほう Feneis: 152 05

[A06_5_02_027_5] →(肺胞は呼吸器系の機能の中心であり、肺の実質として最も重要な部分である。肺胞は、呼吸細気管支、肺胞管、肺胞嚢にある薄壁の袋状拡張部で、そこを通して肺胞内の空気と肺毛細血管の間でガス交換が営まれる。基底膜basal laminaとその上をおおう上皮と、上皮の表面をさらにおおう被覆層と、気道部分の肺胞腔alveolar lumenとから成る。肺胞の外側には毛細血管網がとりまき、肺胞との間でガス交換の場を作っている。肺胞同士は非常に接近しており隣り合う2つの肺胞は、肺胞中隔内の1つの毛細血管網を、その接する面で両方から共有する。①肺胞上皮alveolar epithelium:肺胞の表面をおおう上皮をいい、3種類の上皮細胞で構成される。体重70kgの成人男子では2.6~3億個の肺胞がある。1個の肺胞の表面積は平均270,000μm2であるので、1人当たり全体で70~80m2の表面積を有することになり、広い面績で空気と接触するのである。肺胞上皮細胞はⅠ型細胞、Ⅱ型細胞、Ⅲ型細胞の3種類で、その構成はそれぞれ、39%、60%、1%以下、である。しかしⅠ型細胞の表面積は1個当たり2,290μm2で、Ⅱ型細胞のそれは63μm2である。したがって1個の肺胞の表面積の95.8%はⅠ型細胞が占めている(259,000m2)。Ⅰ型細胞Type I cellは、Ⅰ型肺胞上皮細胞Type I alveolar epithelial cell、扁平肺肺細胞squamous pneumocyte、A型細胞Type A cell、小肺胞細胞small alveolar cellなどの名がある。細胞質は非常に薄い扁平な細胞である。細胞質の幅は100μmにもなる。細胞は互いに閉鎖帯で接着し、間質内の毛細血管の内皮細胞endothelial cellと基底膜を介して接し、血液-空気関門blood-air barrierを形成する。この部分で、肺胞腔の呼吸から酸素分子が血液中の赤血球erythrocyteに渡されヘモグロビンhemoglobinと結合し動脈血になる。一方、静脈血中の血漿炭酸イオン(HCO3-)として溶け込んでいた二酸化炭素は、血液-空気関門から呼気中へ放出される。これがガス交換であり、血液が肺胞空へ漏れることはない。パラフィン切片上では、Ⅰ型細胞の核の部分しかみることができず、小さな細胞の印象を与えるが、実際には細胞質膜が毛細血管の上をおおっているのが電顕的に確認される。ヘマトキシリンで濃青色に染まった扁平な核が肺胞腔へ突出しているのがⅠ型細胞の核であり、肺胞中隔内へ向いているのが内皮臍傍のそれである。Ⅰ型細胞の機能は上記のガス交換以外に、血管と肺胞腔との間の蛋白質や多糖などの物質の輸送や肺胞腔内の高分子物質の取り込みendocytosisなどがある。血漿アルブミンや酵素の輸送には胞飲小胞pinocytotic vesicleが関与する。Ⅱ型細胞Type Ⅱ cellは、Ⅱ型肺胞上皮細胞Type Ⅱ alveolar epithelial cell、顆粒肺細胞granular pneumocyte、大肺胞細胞great alveolar cell、B型細胞Type B cellなどの名がある。立方細胞で細胞頂に短い微絨毛がある。細胞質内に電子密の高い層板小体lamellar bodyと呼ばれる分泌顆粒をもつ。この顆粒はリン脂質dipalmitoylphosphatidylcholineに富み、開口分泌により肺胞腔に分泌されて肺胞表面活性物質alveolar surfactantとなり肺胞被覆層の主成分になる。パラフィン切片では肺胞腔側に突出した円形の細胞であり、多くの場合泡末状の細胞質を有する細胞として認められる。Ⅱ型細胞を特徴付ける細胞小器官としてペロキシゾームが電顕的に確認される。Ⅱ型細胞は分裂能を有しており、他の細胞(Ⅰ型細胞)に分化し得るので、肺胞のリザーブ細胞reserve cellと言われている。Ⅲ型浅部Type Ⅲ cellは比較的最近(1960年代)に確認された細胞で、立方形のずんぐりした細胞の細胞頂に200nm幅の太い微絨毛(通常の微絨毛は100nm幅)を有する細胞である。光顕的に識別することは不可能である。ほとんどの場合、Ⅱ型細胞の傍らに位置する。電顕的に、細胞室内に10nmの張原細線維の束を見ることができる。胞体の基底側には求心神経終末が接しており、肺胞の化学受容器chemoreceptorと考えられている。肺胞被覆層alveolar lining layerは方法ではすべての細胞は空気に直接さらされているのではなく、肺胞被覆層によって保護されている。肺胞被覆層は通常の浸漬固定標本では溶出して観察できないが、肺動脈からの還流固定によって保存され、主に電顕的に観察できる。肺胞被覆層がよく保存された状態の時は、肺胞内腔はほぼ完全な球形を呈する。肺胞被覆層の厚さは変化に富み、血液-空気関門部のⅠ型細胞の薄膜状の細胞質上では50~100nmの薄さであるが、Ⅰ型細胞とⅡ型細胞との接着部分のくびれでは数μmの厚さに達する。電顕で観察すると、肺胞腔に面したオスミウム好性な表面薄膜osmiophilic surface filmとその下部で上皮上皮をおおう基層base layerとから成る。表面薄膜は不飽和脂肪酸を含むリン脂質の単層膜monolayerでミセルを形成し、表面活性効果を発揮して肺胞に含まれる水分の表面張力をうち消すことで、肺胞がつぶれるのを防いでいる。このような性質を有するリン脂質を肺胞表面活性物質と呼ぶ。基層の部分にはリポ蛋白質、アルブミン、リン脂質、酸性ムコ多糖、硫酸化糖蛋白質が検出される。肺胞被覆層の生成には主にⅡ型細胞が関与しているが、アルブミンや一部の硫酸化糖蛋白質、酸性ムコ多糖体の供給はⅠ型細胞が分担する。)

肺胞壁 (ヒト)肺胞の表面に沿って切ってある ×約800

肺胞の壁の毛細管網(ネコ)×100  *肺胞壁の毛細管網を表面からみたところ.

funalogo.gif (2604 バイト)

SEO [PR] !uO z[y[WJ Cu