2,脳幹の内景

 脳幹も灰白質と白質からできている。白質は主として神経線維束である。灰白質は主として各種の神経核を作って存在する。脳幹の神経核を大別すると、脳神経所属のものと、脳幹を通る各種の伝導路の中継核とである。脳幹の中の白質と灰白質との分布状態は各部によって一様でないから、その構造は脊髄においてみられるよりは複雑である。
 脳神経所属の核:これは知覚神経の終止核(知覚核)と運動神経および自律神経の起始核とに分けられ、前者は脊髄の後柱に後者は前柱と側柱に、相当する。これらの核は正中線の両側に、終止核は起始核の外側に座を占めているが、それは脊髄が後正中溝のところで割れて左右に開いたと考えるとよく説明がつく。
 第III~XII対脳神経の所属する核は6種類がある。運動性の核は3種類に分けられる。体性運動核は体節より分化された横紋筋を支配し、特殊内臓運動核は鰓弓より分化された横紋筋を支配し、一般内臓運動核は平滑筋、心筋、腺などを支配する。知覚性の核も3種類に分けられる。内臓知覚核は内臓、血管などの知覚と味覚を伝え、一般体性知覚核は頭部の皮膚および粘膜からの知覚を伝え、特殊体性知覚核は内耳からの聴覚と平衡覚を伝える。各種の核は脳幹における位置はつぎの表で示している。

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 伝導路の中継核:これらは脳幹ではじめて現われるもので、脊髄にはこれに相当するものはない。この種の核は多数あるが、ここには重要なものだけを挙げよう:
 延髄:薄束核と楔状核、オリ-ブ核、網様体
 橋 :橋核、網様体
 中脳:赤核、黒質、上丘と下丘。
 脳幹の白質:上に述べたように、白質は若干の線維束を作って走る。そのうちでとくに重要なものはつぎの通りである。
 a,錐体路
 b,内側毛帯
 c,脊髄視床路
 d,外側毛帯
 e,上、中、下小脳脚
 各種の神経核や線維束が延髄、橋、中脳の中で錯綜しているから、脳幹の内部構造はきわめて複雑である。脳幹を種種の方向に切断して、その断面を観察すればよい。

最終更新日:2012年06月04日

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