脳の断面

上丘を通る断面の模式図 (Iに対する面)

by 船戸和弥

片山正輝

funalogo.gif (2604 バイト)

更新日:12/04/20

 

Anat Rec (New Anat) 269:99-106 2002に従いMRIとオリエンテーションを合わせる措置をとった。

 中脳の上丘を通る横断面は下丘での横断面と次の点で非常に異なる。すなわち、①扁平な上丘が中脳蓋を形成する。②動眼神経核が中心灰白質の腹側でV字型の核群をなし、その根線維が脚間窩から脳の外に出る。③上小脳脚線維に囲まれた赤核が被蓋の中央を占める。④黒質の大きさが被蓋の腹側、大脳脚の背側で最大となる。下丘腕の線維は被蓋の外表面に位置する。内側毛帯は黒質の背側および赤核の外側で弯曲した神経束として認められる。脊髄視床路および脊髄視蓋路は共に内側毛帯の最も背側部の内側を通る。

上丘を通る断面の模式図 (Iに対する面)


1. Colliculus superior(上丘)Superior colliculus

 →上丘は中脳蓋の前半を形成するあまり高くない隆起であり、大脳皮質と同様に層構造を示す。上丘の層は灰白質と白質とが表面から内部に向かって次のごとく交互に配列する。①帯層(主として線維よりなる)、②灰白層(浅灰白質)、③視神経層(浅白質層)、および④毛帯層で、これは中間部と深部の灰白質および白質を形成する。上丘浅層は主に網膜および皮質視覚野からの線維を受け、視野における物体の動きの探知に関係する。上丘深層は多様な入力(つまり、体性感覚系および聴覚系、運動活動に関わるニューロン、網様体の各領域)を受け、脳幹網様体と同様の解剖学的、生理学的特質を持つ。上丘の浅層と深層は、形態学的にも線維連絡の上からも、さらに生化学的にも線維連絡の上からも異なるが、空間的な整合性に関しては互いに密接に関連する。浅層からの投射線維は主に視覚関連核に至る。一方、中間層及び深層からの線維は頭部、眼球運動に関わる広い領域に投射される。上丘を反射中枢とする定位反射(指向反射)とは、視野に入った興味を引く対象物が視野の中心に来るように、頭と眼球を動かす反射である。

 

2. Brachium colliculi superioris(上丘腕)Brachium of superior colliculus

 →上丘腕は上丘と外側膝状体の連絡する。

 

3. Fasciculus anterolateralis(前外側束、前外束)Anterolateral fascicle

 →前外側束は前外側索系の表層部にあたる。前外側は脳幹では網様体よりも外方に位置する。

 

4. Tractus tectospinalis(視蓋脊髄路)Tectospinal tract

 →視蓋脊髄路は主として中脳の上丘(第4および第6層)および一部は下丘から出て、すぐに背側被蓋交叉で交叉し、反対側の脳幹の正中部の知覚で内側縦束の腹側を下り(背側前束)、脊髄では前索の前正中裂に近い部分を加工し、頚髄、ことに上位頚髄の前角の腹内側部から灰白質に入り、中間質外側部およびその付近に分布するが、直悦に前角細胞に終わるものはない。これは視覚、一部は聴覚刺激に応じた頭部、上肢の反射的姿勢運動による。

 

5. Tractus mesencephalicus nervi trigemini(三叉神経中脳路)Mesencephalic tract of trigeminal nerve

 →三叉神経中脳路核の細胞体からの主な突起は鎌状をした三叉神経中脳路を作り、これは三叉神経運動核の高さまで下行し、側副枝を運動核に送るが、大部分は運動根の一部として脳外に出る。 5a. Nucleus mesencephalicus nervi trigeminalis(三叉神経中脳核、三叉神経中脳路核)Mesencephalic nucleus of trigeminal nerve

 →三叉神経中脳路核は三叉神経運動核の下端より少し下方の高さから中脳上端部に至る。非常に細長く延びた核で、橋の高さでは第四脳室の腹外側核の近くにあり、中脳では中心灰白質の外側縁にある。これは脊髄神経節の細胞に似た、少数の大きい偽単極細胞からなる。その突起は三叉神経中脳路を作りつつ下行し、三叉神経運動核に突起を出したのち運動根に加わり、主として咀嚼筋に分布し、その固有知覚を伝え、咬む力の調節に関与している。また中脳路核上部には外眼筋などからの固有知覚が伝えられるという。中脳路核から高次の中枢への連絡については不明である。

 

6. Fasciculus longitudinalis posterior; Fasciculus longitudinalis dorsalis(後縦束、背側縦束)Posterior longitudinal fasciulus; Dorsal longitudinal fasciculus

 →中脳から延髄にかけて中心灰白質の腹内側部にみれれる小さい神経線維束で、細い有髄線維を含む。上行性および下行性の比較的短い神経線維の連鎖であり、吻側では視床下部の室周線維に連絡する。自律性または内臓性情報の中枢伝導系の一つとされる。

 

7. Brachium colliculi inferioris(下丘腕)Brachium of inferior colliculus

 →下丘腕は内側膝状体と下丘とをむすぶ。

 

8. Corpus geniculatum mediale(内側膝状体)Medial geniculate body

 →内側膝状体は、視床の尾方腹側面で、外側膝状体の内側方、大脳脚の背方に位置する。この核は、視床における聴覚の中継核であって、聴放線を出す。下位脳幹にある聴覚の中継核群とは違って、両側の内側膝状体の間には交連線維による連絡がない。内側膝状体は、明瞭な細胞構築と連絡から更に幾つかの部分にに分けられる。内側膝状体は内側部、背側部および腹側部と呼ばれる三つの主要な部分から構成される。内側膝状体のこれらの細区分域は、普通の組織学的標本では区別するのが容易ではないが、Golgi標本では明らかである。内側膝状体腹側核は、内側膝状体の吻尾方向の全長にわたって広がり、内方が、下丘腕によって境されている。内側膝状体の他の大きな部分とは違って、腹側核には、明確な層板構造がある。腹側部の細胞の大きさと形は、かなり一定しており、房状の樹状突起をもつ。房状細胞の樹状突起と下丘腕の神経線維によってできた層状構造は、らせん形、または、弯曲した垂直の板状を示す。下丘からの求心性繊維は特定の層板にはいり、そのまま同じ層と連絡しつづける。内側膝状体のふくそくぶにある層板構造は、外側膝状体のそれに類似しているが、細胞の層が有髄神経線維帯によって区切られることがない。内側膝状体の腹側部に生理学的な性質によって地図をつくると、この細胞層は音の高低に一致した局在と関係しており、高い周波数の音は内側に、低い周波数の音は外側に復元される。内側膝状体の腹側部のニューロンから聴放線が起こり、一次聴覚野に終わるが、ここでは、音の周波数が空間的に配置されている。一次聴覚野からは内側膝状体の腹側部に終わる両方向性皮質視床線維が起こる。膝状体皮質線維と皮質膝状体線維は、両者とも同側性である。ヒトでは、内側膝状体の主な皮質投射は、膝状体側頭葉放線、あるいは聴放線を経て、側頭葉上面の隆起部(横側頭回)に達する。皮質のこの投射野(41野)は、音の高低に一致した局在をもっている、すなわち、高音は内側方に、また低音は前外側方に復元される。内側膝状体の背側部には、幾つかの核が含まれ、それらの中には、膝状体上核と背側核がある。背側核は、内側膝状体の尾方の高さでは顕著であり、外側被蓋野からの投射を受ける。この外側被蓋野は上丘の深い層から、外側毛帯に隣接する領域へと広がった領域である。内側膝状体の内側部の大細胞性部は、下丘、外側被蓋および脊髄からの入力を受ける。内側膝状体の中の層構造を示さない部分はすべて一次聴覚野を取り囲む皮質の帯状部に同側性の線維を送っている。

 

8. Nuclei corporis geniculati medialis(内側膝状体核)Medial geniculate nuclei

 →内側膝状体は腹側核、背側核、巨大細胞内側核に区分される。 8a. Nucleus ventralis(腹側核、主腹側核) Ventral principal nucleus

 →内側膝状体腹側核は聴覚系「核部」の中継核であり、下丘中心核から入力線維を受け、側頭弁蓋にある一次聴覚皮質投射線維を送る。内側膝状体腹側核と一次聴覚皮質には音の周波数対応配列(tonotopic representation)がみられ、形態的には入力線維と中継ニューロンが層的構成をとって配列する。 8b. Nucleus dorsalis(背側核)Dorsal nucleus

 →内側膝状体背側核は下丘中心周囲核(pericentral nucleus)から起こる投射線維をうける。内側膝状体背側核は側頭平面と上側頭回にある聴覚連合皮質と連絡する。内側膝状体大細胞部は内層毛帯、脊髄視床路などからの側枝を受ける。内側膝状体核大細胞部は聴覚系「殻部」の中継核であるとともに体性感覚性入力などをも受けており、その他の視床非特殊核と同様、大脳皮質Ⅰ層に投射線維を送る。 8c. Nucleus medialis magnocellularis(巨大細胞内側核、大細胞部)Medial magnocellular nucleus  →内側膝状体核の大細胞部は内側膝状体の内側部を占め、腹側核と内側毛帯の間に位置する。

 

9. Lemniscus medialis(内側毛帯)Medial lemniscus

 →内側毛帯(旧名は内側絨帯)の線維束は、延髄の薄束と楔状束核に存在する神経細胞の神経突起からなり、延髄から薄束と楔状束を経て触覚や深部感覚などを伝える上行性伝導路の第1ニューロンである。すなわちこれらを構成する線維は、脊髄神経節の中の偽単極性知覚細胞の視床突起である。薄束核ないし楔状束核でシナプスを行った第2ニューロンは、内側毛帯(延髄視床路bulbothalamic tract)となる。視床を出た第3ニューロンの線維は、上行して大脳皮質におもむく。

 

10. Tractus trigeminothalamicus posterior(後三叉神経視床路、背側三叉神経視床路)Posterior trigeminothalamic tract; Dorsal trigeminothalamic tract

 →三叉神経主知覚核からの二次線維には交叉性のもとの非交叉性のものとがある。核の背内側の細胞からは細い非交叉性線維束が出て、中脳の中心灰白質の近くを上行し、同側視床の後内側腹側核に終わる。これらの線維束を背側三叉神経視床路といい、下顎神経のみに関係した特有な経路と思われる。

 

11. Nuclei accessorii nervi olulomotorii(動眼神経副核)Accessory nuclei of oculomotor nerve

 →『エディンガー・ウェストファール核』ともよばれる。動眼神経核のうちの副交感性の部で縮瞳に関与する。動眼神経副核として分類されるのは動眼神経核に密接な関係をもつ3つの核である。これはCajal間質核、後交連核(Darkschewitsch核)および後交連核群である。間質核は中脳上部で内側縦束の線維の間およびその外側にある多極細胞の小集団である。この核は前庭神経上核および内側核、視蓋前域、前頭眼野、室頂核からの線維を受ける。この間質核からの線維は後交連の腹側で交叉し、動眼神経核群のうち腹側細胞柱を除くすべての体制細胞柱に分布する。間質核はさらに両側の滑車神経核、同側の前庭神経内側核および脊髄(間質核脊髄路)に投射する。この核は遅い眼球の回転と垂直運動および追跡眼球運動に関係する。この核はまた頭部の働きと姿勢の制御にも関わっている。Darkschewitsch核は動眼神経核群の体性核の背外側で中心灰白質の腹外側縁の内部にある小型細胞からなる。この核からの線維は後交連核に投射するが、動眼新計画群や下位脳幹部には投射しない。後交連核は後交連線維と密接に関与する細胞集団である。この核は中心灰白質の背外側および背側に位置し、視蓋前域および視床後部の核群と連絡する。サルにおける実験から、後交連線維を正中で切断しても瞳孔の対光反射はそこなわれないが、Cajal間質核からの交連線維および後交連核を傷つけると両眼眼瞼の抗体や眼球の垂直方向への運動障害が引き起こされることが示されている。  ドイツのLudwig Edinger (1855-1918)と、オーストラリアのAlexander Karl Otto Westphal (1833-1890)という2人の神経学者の名前を冠している。

 

12. Nucleus nervi oculomotorii(動眼神経核)Nucleus of oculomotor nerve

 →第三脳神経、すなわち、動眼神経の起始核であり、動眼神経運動神経細胞の集合である。①外眼筋のうちの上直筋、下直筋、内側直筋、下斜筋を支配し、②上眼瞼挙筋に分布し、③副交感神経節前線維を毛様体神経節に送る。中脳被蓋の正中線背側部の両側に存在し、中脳中心灰白質の腹方に位置する。動眼神経核の尾側端は滑車神経核の吻側端とほとんど連続しており、動眼神経核の吻側端は中脳の最吻側レベルに達する。動眼神経運動神経細胞はそれぞれの筋支配に対応して局在配列する。すなわち、下直筋支配細胞は核の背側部、内直筋支配細胞は核の腹側部、下斜筋支配細胞は前2者の中間部、上直筋支配細胞は内側部に位置し、それぞれ脳幹の長軸に平行な左右一対の細胞柱を形成する。これらのうち、上直筋支配細胞柱だけは反対側の筋を支配するが、その他は同側の筋を支配する。また、上眼瞼挙筋を支配する細胞柱は正中部に位置し、不対であって、動眼神経核の尾側1/3のレベルにのみ存在する(尾側正中核)以上のほか、副核(Edinger-Westphal核)および正中核(Perlia核)を含めて動眼神経核群とされることがおおい。機能的には一般体性遠心性(GSE)線維および一般内臓遠心性(GVE)線維よりなる。この核群は滑車神経核の上端から中脳の上端までの間にあり、中心灰白質の腹側で左右の内側縦束線維が正中線で作るV字型のくぼみの中に位置する。この核群は外側の体性細胞柱、正中および背側内臓性核そして中心核と呼ばれる体性の正中背側の細胞集団から成る。

 

13. Fasciculus longitudinalis medialis(内側縦束)Medial longitudinal fasciculus

 →前索の後部には脳幹のいろいろなレベルにある種々な神経核からでる複雑な下行線維束がある。この複雑な神経線維束は内側縦束として知られている。この神経束の脊髄部は同じ名称で呼ばれる脳幹にある伝導路の一部にすぎない。内側縦束の上行線維は主として前庭神経内側核および上核から起こり、同側性および対側性に主として外眼筋支配の神経核(外転、滑車、動眼神経核)に投射する。内側核からの上行線維は主に交叉をし、両側の外転神経核と左右の動眼神経核に非対称性に終わるが、滑車神経核へは対側性に投射する。上核の中心部にある大形細胞は非交叉性上行線維を内側縦束に出し、これは滑車神経核および動眼神経核に終わる。同核の周辺部にある周辺部にある小型細胞は交叉性の腹側被蓋束(内側縦束の外側にある)を経て動眼神経核に投射するが、これは主として対側の上直筋を支配する細胞に作用する。生理学的には、前庭神経核から外眼筋支配核から外眼筋支配核への上行性投射のうち、交叉性線維は促進的に働くが、肥厚性線維は抑制的に働く。内側縦束にはこのほかに、左右の外転神経核の間にある神経細胞から起こり、交叉して上行し、動眼神経核の内側直筋支配部に終わる明瞭な線維が含まれる。この経路は一方の外転神経核の活動を対側の動眼神経核内側直筋支配部へ連絡する物で、外側視の場合に、外側直筋が収縮すると同時に対側の内側直筋が共同して収縮するための神経機構を形成している。内側縦束の上行線維の一部は、動眼神経核を回ってCajal間質核に終わる。これは内側縦束内にうまっている小さい神経細胞群である。前庭神経内側核は対側性に間質核へ投射するが、上核は同側性に終わる。前庭神経二次線維は両側性に視床の中継核へ投射し、その数は中等度で、後外側腹側核に終止する。前庭からの入力を受ける視床の細胞は体性感覚情報にも対応するが、これは視床には特定の前庭感覚中継核がないことを示唆している。

 

14. Tractus tegmentalis centralis(中心被蓋路)Central tegmental tract

 →赤核尾端からオリーブ核頭端にかけて網様体のほぼ中央部を縦走する線維束である。大部分の線維は小細胞性赤核におこり、同側の主オリーブ核におわる、とされている。線維束をその形状や位置で命名する場合には一般にfasciculusを用い、起始と終止で命名する場合にはtractusを用いることが多い。Tractus rubroolivarisはFasciculus tegmentalis centralisの主要な構成要素であるが、おそらく上行性の線維も含まれていると考えられる。小細胞性赤核を破壊してナウタ法でみると、大細胞性網様体にも終止性変性線維が認められる。これを赤核網様体路と呼ぶこともある。

 

15. Nucleus ruber(赤核)Red nucleus

 →赤核は中脳被蓋では最も明瞭な部分で、網様体のほぼ中央にあり、桃黄色を呈し、周囲を上小脳脚線維で囲まれている。赤核全体として卵円形で、横断面は円形を呈し、上丘の下端から間脳の下部まで広がる。細胞学的には後方の大細胞部と前方の小細胞部によりなる。赤核の細胞の間には主として上小脳脚からの有髄線維の細い束が存在する。動眼神経根の一部が脚間窩に至る途中で赤核を貫く。赤核の求心性線維は主として小脳核および大脳皮質からくる。これらの線維は体部的局在性をもって赤核に終止する。上小脳脚の線維は中脳下部で完全に交叉し、対側の赤核およびその周囲に至る。小脳歯状核からの側枝は対側赤核の上1/3部に終止し、一方、栓状核(前中位核)および球状核(後中位核)からの線維は赤核の下2/3部に体部位的局在性をもって終わる。この連絡は小脳の傍虫部皮質と赤核大細胞部をつなぎ、さらに赤核から脊髄へ体部位的局在性に投射する。これには上小脳脚交叉および赤核脊髄路の交叉の2つの交叉が含まれる。赤核の大細胞部からの体部位的局在投射は主に頚髄と腰髄に終わる。皮質赤核線維は中心前回や前運動野から起こり、ともに両側の赤核小細胞部に体部位的局在性をもって終止する。大脳皮質6野の内側部(補足運動野)からの投射線維は対側の赤核大細胞部に終わる。中心前回の運動野から赤核大細胞部に終止する線維は同側性で、赤核運動路の体部位的局在性をもつ起始に対応する。これらの皮質赤核線維は体部位的局在性をもち、赤核脊髄路(交叉性)と共に運動野皮質から脊髄へインパルスを伝える経路の一部をなす。赤核からの下行性遠心路は腹側被蓋交叉で交叉し、①小脳の中位核、②三叉神経主知覚核および脊髄路核、③顔面神経核の一部、④いくつかの延髄の中継核および⑤脊髄に投射する。また赤核の小細胞部からの非交叉性の線維束が中心被蓋路に入り、オリーブ核主核の背側板に終わる。これを赤核オリーブ路といい、小脳へのフィードバック系の一部をなす。赤核からの視床への投射はない。

 

16. Pedunculus cerebellaris superior(上小脳脚、結合腕)Superior cerebellar peduncle

 →上小脳脚(結合腕Brachium conjunctivum)これは主として小脳を出る線維からなる。その主体をなす線維は小脳視床路と小脳赤核路である。これらは主として歯状核から出て、腹内側方に進んで深部に入り、中脳下半で大部分交叉し、上小脳脚交叉(結合腕交叉)を作り、反対側の中脳被蓋を上行し、一部は赤核に終わるが(小脳赤核路)、一部はsらに視床の前外側腹側核に至る(小脳視床路)。なお上小脳脚の表面を前脊髄小脳路が逆行して小脳に入り、主としてその前葉に分布する。また鈎状束は室頂核から出て大部分交叉し、上小脳脚の背外側をへて鈎状に曲がり、下小脳脚内側部の上部来て前庭神経各核にならびに橋、延髄の網様体内側部に分布する。

 

17. Tractus pallidoreticularis; Fibrae pallidotegmentalis(淡蒼球網様体路、淡蒼球被蓋線維)Pallidoreticular tract; Pallidotegmental fibres

 →淡蒼球被蓋線維はForelのH野から下行し、脚橋(被蓋)核(PPN)の緻密部に終わる。この核の一部の細胞は上小脳脚の線維間に散在する。サルでの研究により、淡蒼球内節の細胞は軸索が2分岐し、同一の信号を視床核と脚橋被蓋核に送ることがわかった。脚橋被蓋核の投射線維は淡蒼球内節、視床下核、黒質および視床核群に終止する。この核の大型細胞は強いコリン作働性である。ラットでは、脚橋被蓋核のコリン含有細胞は主に視床の外側腹側核へ投射すると考えられている。脚橋被蓋核およびその近傍の非コリン作動性細胞は線条体とその関連核へ投射すると記載されている。サルでは脚橋被蓋核は主に同側の黒質に投射する。この領域は、電気的に刺激すると歩行運動が生じるので、特に興味がもたれる。

 

18. Fibrae strionigales(線条体黒質線維)Striatonigral fibres

 →線条体黒質線維は線条体の有棘ニューロンから起こり、主に黒質網様部の細胞に局在性投射をする。尾状核頭から出る線維は黒質の吻側部に投射する。被殻黒質線維は黒質のさらに尾側部に投射し、被殻の背側部は黒質の外側部へ、被殻の背側部は黒質の内側部へそれぞれ投射する。線条体黒質線維は線条体淡蒼球線維とはことなる線条体有棘ニューロン群から起こるが、同種の神経伝達物質、すなわちGABA、P物質およびエンケファリンを含有している。線条体黒質線維の大多数が黒質網様部に終止するが、黒質網様部と黒質緻密部のニューロンは、樹状突起が無棘であり吻尾方向に放射状に広がっている。ラットでは黒質網様部の細胞はほとんどGABA作働性であるが、サルではGABA免疫反応陽性のニューロンは黒質網様部の全域に存在し、線条体黒質線維のシナプスは対称性のタイプである。尾状核を電気刺激すると、刺激側の黒質の[3H]GABAの放出が著しく増加する。黒質網様部のGABA作働性ニューロンは黒質視床路を出し、この投射線維は多くの軸索側枝を上丘の中間層や中脳被蓋に出している。黒質視床路は視床の前腹側核、外側腹側核の一部および背側内側核の一部に終止する。これらの視床核は線条体のどの領域からも入力を受けない。

 

19. Corpus geniculatum laterale(外側膝状体)Lateral geniculate body

 →外側膝状体は、視覚系における視床の中継核であり、内側膝状体の吻側外側方、大脳脚の外側方で、視床枕の副側方にある。この核には、細胞が層状に配列した構造があり、横断切片では、門を腹内側方に向けた馬蹄形をしている。視索の視交叉および非交叉性線維は、この門を通ってはいり、一定の正確な様式に従って分布する。ヒトと霊長類では、外側膝状体を構成するものは、6つの細胞層であり、これらは2つに大別される。同心円状に並んだ6つの細胞層は、介在する線維帯によって区切られ、寒冷では、腹内側方の門の領域から始めて、1から6まで番号が付けられている。外側膝状体の背側核を区分すると、大細胞性部(1と2層)および小細胞性部(3~6層)となる。外側膝状核の背側部の2つの領域は網膜の神経節細胞から求心線維を受ける。外側膝状体の小細胞性の層を構成するのは、腹背の方向に順に3,4,5および6層であり、容易に区別される。これらの諸層を外側方にたどると、4層が6層と、また、3層が5層というように対をなす2層が1組になって癒合する。網膜から外側膝状体への投射は正確で、視索の交叉性線維と非交叉性線維とはそれぞれ、別々の層に終わる。すなわち、交叉性線維は1,4および6層に終わり、一方、非交叉性線維は2,3および5層に終わる。交叉性網膜膝状体線維関係のある2つの特殊な性状が構造に反映されている。単眼性の視野は半月形であるが、これは反対側の網膜の内側半の最も内部にある受容要素によって受け取られる。網膜のこの部分にある神経節細胞は、反対側の外側膝状体の二重層の部分に交叉性に線維を送る。この二重層は、4層と6層の部分が外側方で癒合して出来ている。網膜の内側半の中にあって、視神経線維が通っている視神経円板(乳頭)には光受容器がなく、[周辺]視野測定[法]で見つけることができる盲点の原因となる。視神経円板(乳頭)は反対側の外側膝状体の中で、4層と6層の中の細胞層が不連続である部位に対応する。ヒトの外側膝状体を通る切断切片のニッスル標本によって、細胞の直線的配列が明らかにされており、細胞の長軸の方向は、各細胞層の軸に垂直である。小細胞性の諸層にある各周囲部は、“投射の方向線”に平行であり、これらの視野中の各店点が同じように復元されていることを示している。外側膝状体の中における網膜表面との局所的対応関係は、高度に組織化され、しかも正確である。両眼視による視野の反対側半は、交叉性線維と非交叉性線維とが異なる層に終わってはいるが、外側膝状体のすべての層に投影される。6つの層における投射の場所は、完全にきまっているので、両眼視における反対側の眼の視野の中のどんなに小さな領域でも、6つの層全体を通して、“投射の方向線”に平行して放射状に延びる背腹方向の細胞柱に一致するkとを示すことができる。外側膝状体を構成するものは、馬蹄形に曲がった6つの薄い細胞層である。しかし、そこに投射してくる場所は正確にきまっている。それゆえ、“投射の方向線”の中の細胞柱は、両眼視の視野のうち反対側の視野に関係する各眼の網膜の中の対応する点からの入力を受ける。両眼視の像の融合は、外側膝状体の中では起こらない。それは、網膜膝状体線維が外側膝状体の異なった層に終わっているからである。(術後長期間生存させた例の)視神経の切片を追って調べると、順応性の変性、またはニューロン越えの変性は、各側の外側膝状体の3つの層に起こる。神経線維、または細胞の変性が起こる層は、網膜からの交叉性線維(1,4および6層)と非交叉性線維(2,3および5層)の配列に従って異なる。網膜の小さい傷によって、同側、対側の3つの違った層の中に“投射の方向線”に従って、一列に並んで配列した細胞集団に、ニューロン越えの変性が起こる。反対側の単眼視野(単眼性の半月形の視野)は、網膜の内側半のもっとも内側の部分における受容器要素と関係しており、これからは、2層性の部分に終止する交叉性の神経線維のみが出ている。外側膝状体における“投射の方向線”は、有線野に加えた傷害によって外側膝状体の中に現れる逆行性細胞変性の研究からも、明らかにすることができる。視野の半分は、局在性をもってそれぞれの側の半球の有線野に部位局在的に投射しているので、外側膝状体の中に逆行性細胞変性が現れる帯状の部分は、それぞれの側で、投射の方向線によって境される。外側膝状体では視野の中心を通る水平線が背腹方向に入る斜めの面に対応し、この面により内側部と外側部が分けられる。両眼の網膜の上半部からの神経線維は、外側膝状体の内側半部に投射し、下半分は、本核の外側半部に線維を送る。網膜の黄斑からの投射は、外側膝状体尾側部のうち視野の中心を水平子午線に相当する面の両側にある。幅の広いクサビ形の部分として示される。黄斑に相当する部分は、外側膝状体の全容積のおよそ12%ヲ占める。視野の中心を通る垂直の子午線に一致し、本核の尾側縁に沿って、内側の境界からの外側境界に及んでいる。外側膝状体は、視索の主要な終止場所である。ここから膝状体鳥距路、あるいは視放線を経て、鳥距周囲皮質(17野)に投射があり、また外側膝状体は、この皮質野から皮質膝状体線維を受ける。本核は、視床枕と核間結合をしている。

 

20. Decussatio tegmentalis posterior(背側被蓋交叉、後被蓋交叉)Posterior tegmental decussation; Dorsal tegmental decussation

 →上丘の深部にある細胞から起こる視蓋脊髄路が、中心灰白質のまわりを前内側方へ走り背側被蓋交叉で交叉する。

 

21. Decussatio tegmentalis anterior(前被蓋交叉、腹側被蓋交叉)Anterior tegmental decussation; Ventral tegmental decussation

 →赤核脊髄路の繊維は腹側被蓋交叉で完全に交叉し、脊髄各髄節を側索の皮質脊髄路の前側および一部とそれと混在して下行する。

 

22. Tractus habenolointerpeduncularis; Fasciculus retroflexus(手綱脚間核路、反屈束)Habenulo-interpeduncular tract; Fasciculus retroflexus

 →手綱三角の内部には内側および外側手綱核がある。内側核は小細胞性で、外側核は大小の細胞を含む。これらの核は手綱の線維を受け、主として脚間核に向かう反屈束または手綱脚間路を出す。

 

23. Tractus rubrospinalis(赤核脊髄路)Rubrospinal tract

 →『モナコフ束』ともよばれる。この伝導路の線維は、中脳被蓋の中心部にある卵円形の細胞集団である赤核からおこる。赤核は普通、吻側の小細胞群と尾側の大細胞群に分けられ、それらは動物によって大きさに差がある。赤核脊髄路は赤核の大細胞部から起こる。赤核脊髄路の線維は腹側被蓋交叉で完全に交叉し、脊髄各髄節を側索の皮質脊髄路の前側および一部それと混在して下行する。赤核脊髄路の線維は体部位局在性に構成されており、核の特定の部分の細胞はきめられた脊髄のレベルに選択的に投射する。頚髄へ投射する線維は赤核の背側および背内側部からおこり、一方腰仙髄に投射する線維は赤核の腹側および腹外側から起こる。胸髄は赤核の中間部から起こる線維を受ける。赤核脊髄路は①脊髄全長を下行する、②第Ⅴ層の外側半分、第Ⅵ層、および第Ⅶ層の背側部および中央部に終止する。赤核は大脳皮質と小脳から線維を受ける。“運動野”皮質からの皮質赤核路線維は赤核の小細胞部には両側性に、大細胞部には同側性に投射する。これらの投射線維はその起始終止とも体部位局在性に配列する。このシナプス結合を通して、皮質赤核路と赤核脊髄路とは共同して体部位局在性に配列した非錐体外路系伝導路として大脳皮質運動領と特定の脊髄レベルの間に存在する。赤核のあらゆる部分が上小脳脚を経てくる交叉性の小脳遠心線維を受ける。歯状核からの線維は赤核の前1/3に投射し、中位核(ヒトの球状核と栓状核に相当する)からの線維は体部位局在的に小脳皮質の部分と赤核の大細胞部とを関係づけている。赤核の細胞を刺激すると対側の屈筋のα運動ニューロンに興奮性シナプス後電位が発生し、また、伸筋のα運動ニューロンに抑制的シナプス後電位が発生する。赤核脊髄路の最も重要な機能は屈筋群の筋緊張の制御に関与することである。 Monakow, Constantin von (1853-1930) スイスの神経学者。大脳皮質の機能局在を明示し(Die Lolcalisation in Grosshirn u. der Abbau der Funktion durch kortical Herde, 1914)、モナコフ束(赤核脊髄路)を記述(Der rote Kern, die Haube u. die Regio hypothalamica bei einigen Saeugetieren und beim Menschen, Arb. Hirnanat. Inst. Zuerich, 1909, 3, 51-267; 1910, 4, 103-225)。

 

24. Substantia nigra(黒質)Substantia nigra

 →中脳被蓋腹側部の核で大脳脚の背側に接して存在する。ヒトの黒質の神経細胞は顆粒状のメラニン色素を豊富に含有するため、黒質は全体として肉眼的に黒くみえる。黒質には背側の緻密部と腹側の網様部が区分される。緻密部が神経細胞に富むのに対し、網様部では神経細胞の密度は粗で、細い神経線維に富む。したがて、前者は黒色部、後者は赤色部とよばれることがある。黒質からおこる遠心性神経線維としては、緻密部からおこり線条体に分布する黒質線条体線維、網様部から起こり視床のとくに内側腹側核(VM)に分布する黒質視床線維、および網様部からおこり上丘の中間灰白質に分布する黒質上丘線維などが主なものである。また、黒質に分布する求心性神経線維の起始としては、線条体・淡蒼球・視床下核(Luys体)が主なものである。これらのほか、前頭葉皮質・背側縫線核・扁桃体中心核・外側手綱核なども報告されているが不確実である。黒質は中枢神経系のうちでドーパミンとGABAの含有量が高い部位として知られる。ドーパミンは線条体に神経線維を送る黒質緻密部の神経細胞に主として含まれ、またGABAは線条体よりおこり黒質網様体に至る神経線維の軸索終末に主として含まれる。黒質に見られる線維はまたは11個のアミノ酸が連絡したペプチドとしてのP物質(SP)も含む。黒質は脳において最も高濃度にP物質を有する部位で、この物質は黒質の緻密部および緻密部内の神経終末に凝集している。網様部はまたエンケファリン作働性線維および終末も有する。尾状核および被殻の樹状突起の棘突起に含むニューロンから起こる線条体黒質線維はGABA、P物質、エンケファリンを含む。これらの線維は同様の伝達物質を有する線条体淡蒼球線維を出すニューロンとは異なる細胞集団から起こる。黒質はパーキンソン病(振戦麻痺)の原因となっている代謝障害に緻密に関係しており、Huntington舞踏病および異常な不随意運動や筋緊張の変化を特徴とする他のタイプの運動障害にも関与しているようである。パーキンソン病では黒質から線条体へのドーパミンの輸送および合成が極度に傷害される。Huntington舞踏病では線条体のドーパミンは星状であるがGABAは著明に減少している。

 

25. Fibrae parietopontinae(頭頂橋線維、頭頂橋路)Parietopontine fibres

 →頭頂、後頭および側頭橋線維で、頭頂葉、後頭葉および側頭葉をなどから出て内方を通って下行し、大脳脚をへて同側の橋核に終わる。

 

26. Tractus opticus(視索)Optic tract

 →左右の視索は視床下部と大脳脚の吻側部一部を巡る。これらの線維の多くは外側膝状体の中に終止するが、小部分は下丘腕となって上丘および視蓋前域にまで続く。外側膝状体からは膝状体鳥距路が起こり、これが視覚路の最後の中継路をなす。視索前域は対光反射と関係し、上丘は眼と頭の反射運動よよち視覚刺激を追跡することと関係している。網膜視床下部線維は、両側性に視床下部の視神経交叉上核に終止する。この網膜からの直接の投射は、機能的には神経内分泌調節と関連している。

 

27. Tractus pyramidalis(錐体路、錐体束)Pyramidal tract

 →複雑でしかもバランスのよい動作の背景には、多くの領域(大脳皮質、基底核群、視床下核、黒質、赤核、脳幹網様体、前庭神経核群、小脳、視床など)の関与がある。したがって、動作を実現させたり調節したりするための神経経路は非常に複雑なものになる。錐体路本来の定義に従えば、起始領域、終枝部位に関係なく延髄の錐体(pyramis)を通るすべての神経線維群をいう。鳥類以下には見られず、哺乳類とくにヒトでよく発達しており意識的運動を司る。これらの大部分の線維は大脳皮質からおこり脊髄におわる皮質脊髄線維(または路)からなるが、若干の線維は錐体の経過中またはそれよりも前方のレベルでの神経路から離れて脳幹にある反対側の運動性の脳神経核および付近の網様体(皮質網様体線維)におわる。これらの皮質核線維とよばれるものは厳密には錐体路に含まれないが、しばしば両者(皮質脊髄線維と皮質核線維)を一緒にして錐体路とよばれる。

 

28. Fibrae frontopontinae(前頭橋線維、前頭橋核線維)Frontopontine fibres

 →前頭橋核線維は大脳脚の内側1/6のところにある。前頭葉と橋をむすぶ線維。

 

29. Nervus oculomotorius [III](動眼神経[Ⅲ])Oculomotor nerve [III]

 →この神経の主成分は動眼神経主核から出る体性運動性のもので外側直筋および上斜筋以外の眼筋を支配するが、このほかさらに副交感性の動眼神経副核[Edinger-Westphal核]から出る線維が加わる。以上の2核から出る線維は多数の根をつくって大脳脚内側溝から出て1神経幹となり、滑車神経、外転神経および眼神経とともに、蝶形骨体の両側にある海綿静脈洞の上壁に沿ってすすみ、上眼窩裂を通って眼窩内に入り、上下の2枝に分かれる。上枝は上瞼拳筋および上直筋に、下枝は内側直筋、下直筋および下斜筋に分布する。また下枝からはきわめて短い動眼神経からの根が出て、毛様体神経節に入るが、これは動眼神経副核から出て、下枝を通って毛様体神経節に入る副交感線維にほかならない。動眼神経が損傷すると動眼神経を完全に損傷すると、その支配を受ける同側の筋に下部神経麻痺が生じる。すなわち、眼瞼拳筋麻酔によって眼瞼は完全に下垂する(伏し目になる)。支配外眼筋の麻痺と外側に転位(外斜視)する。瞳孔は完全に散大し(散瞳)、瞳孔対光反射およびレンズの調節も消失する。後2者は症状は内臓性遠心線維の切断によって起こる。動眼神経と中脳腹側部の皮質脊髄路の線維を損傷すると、同側の動眼神経麻痺と対側の片麻痺を起こすが、これを臨床的にWeber症候群という。この症候群はまた上追う胎生片麻痺として知られ、外転神経と皮質脊髄路を含む橋の障害(中交代性片麻痺)および舌下神経と錐体を巻き込んだ延髄の障害(下交代性片麻痺)の際に起こる症候群と同様である。

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