舌下神経[XII]

 

 

 舌下神経は純粋の体性運動神経で三つの筋節は舌を形成するが、その起源は後頭筋節である。舌下神経核は第四脳室底尾側端の舌下神経三角の直下にあり、髄条のみえるレベルから延髄の最下端のレベルにわたってみられる。この核のニューロンは数群にまとまっており、それぞれの群が違った舌筋「ないし舌筋群」を支配する。軸索は腹外側方に走り、網様体とオリーブ核を横切り、オリーブと錐体の間の前外側高で延髄の表面に現れる。約10~14本の神経根はやがて1本にまとまり、舌下神経管を通過して頭蓋腔を出る。

 

hypoglossus.gif (49066 バイト)

①舌下神経核への求心性線維

 舌下神経核には大脳皮質からの線維(皮質核路)が連絡する。「間接的連絡がおおい。」これらの線維によって舌の随意運動が行われる。その他、脳幹網様体、三叉神経核群、孤束核などからの求心性線維もあり、吸綴、燕下などの反射運動に関与する。

 

②舌下神経の末梢支配

 舌下神経は内舌筋とともにオトガイ舌筋、舌骨舌筋、茎突舌筋を支配する。

 「サルやネコを用いた実験よれば舌下神経はオトガイ舌骨筋をも支配する。」

 

舌下神経の臨床的側面

 舌下神経が一側で障害されると、舌のその側が麻痺する。このとき、舌を突出すると、舌は損傷側へ変異する。「舌を突出する働きのあるオトガイ舌筋が一側性に麻痺しているためである。」また、損傷側の舌筋が著明に萎縮し、ときに細動がみられる。

 

解剖学用語(舌下神経)

1. 舌下神経[XII] ラ:Nervus hypoglossus [XII] 英:Hypoglossal nerve [XII]

 →第XII脳神経。舌筋に分布するの運動神経。その起始核である舌下神経核は延髄の下部にあり、錐体とオリーブの間から多数の根線維がでる。これから出る神経は10~15の線維束に分かれて延髄の前外側溝から出て、後頭骨の舌下神経管内で一幹となってこの管をでる。初めは迷走神経および内頚静脈の後外側にあるが、ついでその後をめぐって迷走神経の外側に現れ、つぎに茎突舌骨筋および顎二腹筋後腹の内側で弓状をなして前下方にすすみ、舌骨舌筋の外側に至って多くの枝、すなわち舌筋枝に分かれて舌筋に分布する。

 

2. 舌筋枝 ラ:Rr. linguales 英:Lingual branches

 →舌骨舌筋の外側ではじまる枝。茎突舌筋、舌骨舌筋、オトガイ舌筋および舌骨筋群へ分布する。

   
SEO [PR] !uO z[y[WJ Cu