一般解剖学

系統解剖学



最終更新日: 12/05/22

funalogo.gif (2604 バイト)








funalogo.gif (2604 バイト)

Genital systems; Reproductive system(生殖器系)Systemata genitalia せいしょくきけい

Perineum(会陰)Perineum えいん Feneis: 174 01

[A09_5_00_001] →(会陰は骨盤下壁(骨盤底)をつくる骨盤隔膜の下方にある部、すなわち隔膜を被う表層で、左右の大腿と臀部との間である。大腿を左右にひらいて下方からみると会陰は恥骨結合(前)・尾骨(後)と左右両側の坐骨結節とを結ぶ線で囲まれる菱形部である。さらに左右の坐骨結節を結ぶ線(肛門の約1cm前方を横走する線)をひくと、会陰は前・後2つの三角に分けられる。前の三角部を尿生殖三角(尿生殖部)といい、後ろの三角部を肛門三角(肛門部)という。皮膚節において第二仙骨神経、第三仙骨神経、第四仙骨神経のレベル。)

男の会陰,骨盤出口の筋I(9/10)

男の会陰,骨盤出口の筋II(9/10)

男の会陰,骨盤出口の筋III(9/10)

女の会陰,骨盤出口の筋(4/5)

男の骨盤の前方部を前額断したもの 片がわ. 1 外尿生殖隔膜筋膜;2 内尿生殖隔膜筋膜;3 内骨盤隔膜筋膜;4 外骨盤隔膜筋膜;5 閉鎖膜;6 内閉鎖筋;7肛門挙筋;8 深会陰横筋;9 坐骨海綿体筋と陰茎脚;10球海綿体筋と尿道海綿 体球;11 膀胱;12 前立腺;J 坐骨枝の恥骨部,その右には陰茎背神経,陰部静脈,陰茎動脈がある.

被っているものを全部とり除いた外骨盤隔膜筋膜の様子  3 尿道;4 海綿体球の付着する面.

男の骨盤の出口外方からみる.尿生殖隔膜は尿道の隔膜部とともに取り除いてある.外面の筋膜を除去したので骨盤隔膜が露出している.  1 仙尾骨;2 仙棘靱帯;3 坐骨結節;4 恥骨結合;5 内閉鎖筋;6 内閉鎖筋膜;7 肛門尾骨中隔;8 尾骨筋;9 肛門挙筋;10外肛門括約筋;11肛門裂;粘膜によって囲まれている;12両側の肛門挙筋のあいだにある正中部め隙間,すなわち“挙筋門Levatortor”;この隙間には前立腺の尖端が尿道の隔膜部(これは取り除いてある)に移行するところがみえる.

Perineal raphe; Perineal tendinous raphe(会陰縫線;会陰腱縫線)Raphe perinei えいんほうせん;ほうせん Feneis: 174 02

[A09_5_00_002] →(会陰縫線は陰嚢放線、陰茎縫線のつづきとして会陰の正中にある皮膚縫合線で、発生学的にきまる。)

Perineal muscles(会陰筋)Musculi perinei えいんきん Feneis: 174 03

[A04_5_05_001] →(骨盤下口を閉ざし肛門および尿生殖洞をを開閉する筋群であり、肛門筋群(1~3)と尿生殖筋群(4~8)とに分けられる。(1)肛門挙筋:小骨盤の内壁からおこり主として肛門につく。閉鎖筋膜からおこる部分は肛門挙筋腱弓をなす。起始と停止の鎖により、腸骨尾骨筋、恥骨尾骨筋、恥骨直腸筋に区分され、また前tなんぶは尿生殖洞にも付着して前立腺挙筋または恥骨腟筋とよばれる。(2)尾骨筋:肛門挙筋の後方で仙棘靱帯の内面にある小筋。(3)外肛門括約筋:肛門挙筋より下方で肛門管を取り囲む輪状の横紋筋である。皮下部、浅部および深部の3部に分けられているが、その境界は不明確である。筋後端と尾骨尖端を結ぶ靱帯を肛門尾骨靱帯という。(4)深会陰横筋:尿生殖三角をふさぐ三角形の筋で、尿道球腺または大膳提瞻をいれている。(5)尿道括約筋:男では尿道隔膜部、女では尿道と腟とをかこむ輪状の筋。(6)浅会陰横筋:深会陰横筋の浅部でその後縁を横走する小筋。(7)坐骨海綿体筋:坐骨枝からおこり、陰茎(陰核)海綿体を包む。(8)球海綿体筋:尿道球または腟前庭を包む筋で、外肛門括約筋とは会陰腱中心を介して連なる。(1)と(2)は陰部神経叢の枝により、また(3)~(8)は陰部神経によりそれぞれ支配される。)

Perineal body; Central tendon of perineum; Central perineal tendon(会陰腱中心;会陰体;中心会陰腱)Corpus perineale; Centrum perinei; Centrum tendineum perinei えいんけんちゅうしん;えいんたい Feneis: 174 04

[A09_5_00_005] →(会陰体(会陰腱中心)は直腸と尿生殖隔膜の間にある小さな組織板であり、平滑筋の被い丈夫な線維網を含む。筋結合組織の会陰体は構築上重要な結合であり、そこでは肛門挙筋、深会陰横筋、球海綿体筋、外肛門括約筋などの筋膜や腱が互いに骨盤器官の平滑筋や男性の前立腺の結合組織性被膜また女性の腟後壁とつながっている。会陰体は筋膜に支持されている筋の張力により、ほとんど両側でしっかりした薄い板に支えられている。会陰体の筋構築は2つの挙筋脚の間に広がる横走する平滑筋束を形成し、挙筋裂孔を前方の“尿生殖裂孔”と後方の“肛門裂孔”とに分けている。それらは男性では前立腺挙筋、女性では恥骨腟筋(旧名:腟挙筋)といわれている。肛門挙筋の前直腸線維は会陰体へ放散する。女性では腟がその外側と後方とを取り囲む会陰体を貫いている。)

Pelvic diaphragm; Pelvic floor(骨盤隔膜)Diaphragma pelvis こつばんかくまく Feneis: 174 05

[A09_5_00_005_1] →(骨盤隔膜は骨盤下底を漏斗状に閉鎖する。その先端を直腸が貫き、主に肛門挙筋、尾骨筋、筋膜から成る。前方は、左右の恥骨と坐骨との間において、尿生殖隔膜に連続する。)

Levator ani muscle(肛門挙筋)Musculus levator ani こうもんきょきん Feneis: 174 06

[A09_5_00_005_2] →(肛門挙筋の丈夫な前部(恥骨尾骨筋)は分界線直下の恥骨の内面から起こり、薄い後部(腸骨尾骨筋)は腸骨から起こる。その貴試験は内閉鎖筋筋膜に接して移行し、閉鎖筋膜から発する腱束を受ける。これらの線維の起始部では腱性の係留物(肛門挙筋腱弓)により強化されている。左右両側で恥骨尾骨筋の内側線維束は挙筋脚を形成している。それらの線維束は背方と尾方、また直腸の前では外側を通り、それぞれ会陰の中心腱へ放散する薄い前直腸線維束や前立腺挙筋として前立腺筋膜(あるいは恥骨腟筋として腟壁)へと分かれる。それより鼻側にある肛門挙筋の線維束は恥骨直腸筋として直腸の背側を取り囲み、反対側の線維と共にループを形成する。恥骨尾骨筋の外側束は尾骨と仙骨の背側に広がる。腸骨尾骨筋の筋線維は尾骨と仙骨に付き、また肛門と尾骨の間では強靱な線維束である肛門尾骨靱帯に付いている。)

Pubococcygeus muscle(恥骨尾骨筋)Musculus pubococcygeus ちこつびこつきん Feneis: 174 07

[A09_5_00_005_3] →(恥骨尾骨筋は恥骨および閉鎖筋膜より起こり、肛門管の両側を通って直腸後方で合流し、尾骨や前仙尾靱帯に付着する。)

Puboprostaticus; Puboprostaticus muscle♂(前立腺挙筋;恥骨前立腺筋)Musculus puboprostaticus♂ ぜんりつせんきょきん;ちこつぜんりつせんきん Feneis: 174 08

[A09_5_00_005_4] →(恥骨尾骨筋の最前方の内縁の部分は男では前立腺の両側を通って会陰腱中心に付着し、前立腺挙筋という。)

Pubovaginalis muscle♀(恥骨腟筋)Musculus pubovaginalis♀ ちこつちつきん Feneis: 174 08

[A09_5_00_005_5] →(恥骨尾骨筋の最前方の内縁の部分は女では腟の両側を通って恥骨腟筋とよぶ。)

Puborectalis; Puborectalis muscle(恥骨直腸筋)Musculus puborectalis ちこつちょうくちょうきん Feneis: 174 09

[A09_5_00_005_6] →(恥骨直腸筋は恥骨結合下面や恥骨などから起こり、腸骨の後方で両側のものが合してループをつくるが、一部は肛門管壁に沿って下り連合縦走筋の一部となる。恥骨直腸筋は肛門挙筋中最もよく発達する。)

Iliococcygeus muscle(腸骨尾骨筋)Musculus iliococcygeus ちょうこつびこつきん Feneis: 174 10

[A09_5_00_005_7] →(腸骨尾骨筋は坐骨棘と腱弓から起こり尾骨、肛門尾骨靱帯に終わる。退行的でときに結合組織性の膜となる。)

Tendinous arch of levator ani; Tendinous arch of levator ani muscle(肛門挙筋腱弓)Arcus tendineus musculi levatoris ani こうもんきょきんけんきゅう Feneis: 174 11

[A04_5_04_009] →(上骨盤隔膜筋膜は閉鎖筋膜と合する線において肛門挙筋腱弓をなして肛門挙筋の起点をつくり、また下骨盤隔膜筋膜と内外相応じて肛門挙筋と尾骨筋とを包み骨盤出口の大部分を閉ざすロート上の骨盤隔膜を形成する。)

Ischiococcygeus muscle; Coccygeus muscle(尾骨筋;坐骨尾骨筋)Musculus ischiococcygeus; Musculus coccygeus びこつきん;ざこつびこつきん Feneis: 088 02, 174 13

[A04_5_04_009_1] →(仙骨下端と尾骨を結ぶ筋で、ヒトでは退化的に(坐骨)棘尾骨筋に相当し、その浅(外)部が仙棘靱帯になり、深(内)部が尾骨筋に変化し、肛門挙筋とともに尾骨隔膜を形成する。前後の仙尾筋は、それぞれ腹側と背側の尾筋に相当する。後仙尾筋は固有背筋の最下部である。)

External anal sphincter muscle(外肛門括約筋)Musculus sphincter ani externus がいこうもんかつやくきん Feneis: 174 14, 126 31

[A04_5_04_012] →(外肛門括約筋は内肛門括約筋の衿のように張り付いている。外口門括約筋のほぼ矢状面に位置する筋束が腸間終端を両側から閉鎖する。この筋束は後方では尾骨から張る靱帯(肛門尾骨靱帯)に付着し、前方では会陰中心に付いている。)

Subcutaneous part of external anal sphincter(皮下部(外肛門括約筋の))Pars superficialis (Musculus sphincter ani externus)  Feneis: 174 14, 126 31

[A04_5_04_012_1] →(外肛門括約筋の皮下部は肛門の前後で真皮と皮下結合組織中に放散している。)

Superficial part of external anal sphincter(浅部(外肛門括約筋の))Pars superficialis m. sphincteris ani externus せんぶ(がいこうもんかつやくきんの) Feneis: 174 16

[A04_5_04_012_2] →(外肛門括約筋の浅部は直腸の後方ではおもに肛門尾骨靱帯へと移行して結局尾骨へつく。)

Deep part of external anal sphincter(深部(外肛門括約筋の))Pars profunda m. sphincteris ani externus しんぶ(がいこうもんかつやくきんの) Feneis: 174 17

[A04_5_04_012_3] →(外肛門括約筋の深部は腱中心から起こり三角布状に肛門管を後方から包み上方で肛門挙筋と結合している。筋性のワナ、高径3-4cm、会陰体から会陰体まで肛門管を取り巻いており上縁で肛門挙筋と繋がる。)

Anococcygeal body; Anococcygeal ligament(肛門尾骨靱帯;肛門尾骨体)Corpus anococcygeum; Ligamentum anococcygeum こうもんびこつじんたい;こうもんびこつたい Feneis: 174 12

[A04_5_04_016] →(肛門尾骨靱帯は外肛門括約筋の筋後端と尾骨尖との間の強靱な結合組織索。)

Pelvic fascia(骨盤部の筋膜;骨盤筋膜)Fascia pelvis; Fascia pelvica こつばんぶのきんまく;こつばんきんまく Feneis: 174 18

[A04_5_04_016_1] →(骨盤筋膜は骨盤腔中の諸構造を被う結合組織の膜で、壁側骨盤筋膜と臓側骨盤筋膜とを分かち、前者は上方は骨盤入口の分界線から下方は仙結節靱帯、坐骨結節、坐骨枝、恥骨の下枝に至り、その前方部は男で恥骨前立腺靱帯、女で恥骨膀胱靱帯などをつくり、その両側のものの間に陰茎背動脈または陰核背動脈を通ずる。壁側骨盤筋膜の上部は内閉鎖筋の内面を被って閉鎖筋膜という。)

骨盤筋膜の後部 骨盤後壁の前面,23才の少女.(H. Luschka)  a 内腸骨動脈; b 内腸骨静脈; c 仙骨神経叢,前2者とともに少しく前方に引っぱってある.** 骨盤筋膜;d 大坐骨切痕の高さにおける骨盤筋膜の凹縁;I~V腱性の起始尖頭,これらはたがいにつながっている.穴のなかには交感神経の仙骨神経節演ある;e 第1の起始尖頭の分れで,これは静脈の外膜に移行している.下方ではこの筋膜は前仙尾靱帯(f)と合している.そこでは筋膜が靱帯から趣きはがしてある.靱帯のそばには前仙尾筋(g, g)がある; h 中仙骨静脈; i 尾動脈; k 尾動脈糸球,尾骨の尖端の後方には前方を開いた尾骨筋嚢(I)がある.  (Sitz.-Ber. d. k. Akad. d. W., math. naturw. Kl., Bd, 35,1859. )

 

骨盤筋膜 前部(1/2)骨盤の壁を示す. 膀胱は後方に折り返してある(Henleによる).

男の骨盤筋膜(9/20) 内側からみたところ.

Parietal pelvic fascia; Endopelvic fascia(壁側骨盤筋膜;骨盤内筋膜)Fascia pelvis parietalis; Fascia endopelvina へきそくこつばんきんまく;こつばんないきんまく;こつばんのへきそくきんまく Feneis: 174 19

[A04_5_04_016_2] →(壁側骨盤筋膜は上方は骨盤入口の分界線から下方は仙結節靱帯、坐骨結節、坐骨枝、恥骨の下枝に至り、その前方部は男で恥骨前立腺靱帯、音亜出恥骨膀胱靱帯などをつくる。)

Obturator fascia(閉鎖筋膜)Fascia obturatoria へいさきんまく Feneis: 174 20

[A04_5_04_016_3] →(壁側骨盤筋膜の上部は内閉鎖筋の内面を被って閉鎖筋膜という。)

Visceral pelvic fascia(臓側骨盤筋膜)Fascia pelvis visceralis ぞうそくこつばんきんまく Feneis: 174 21

[A04_5_04_016_4] →(臓側骨盤筋膜には肛門挙筋および尾骨筋の上面を被う上骨盤隔膜筋膜があり、このうち恥骨結合から坐骨棘へ走る弓状筋性の肥厚を骨盤筋膜腱弓(古くは白板と呼んだ)という。)

Prostatic fascia(前立腺筋膜)Fascia prostatae ぜんりつせんきんまく Feneis: 174 22

[A04_5_04_016_5] →(周囲と癒着している前立腺の筋膜。(Feneis))

Rectoprostatic fascia; Rectovesical septum♂(直腸前立腺筋膜;直腸膀胱中隔;直腸膀胱筋膜;直腸前立腺中隔)Fascia rectoprostatica; Septum rectovesicale♂ ちょくちょうぜんりつせんきんまく;ちょくちょうぼうこうちゅうかく;ちょくちょうぼうこうきんまく;ちょくちょうぜんりつせんちゅうかく Feneis: 174 24

[A04_5_04_016_6] →(直腸と膀胱の間の結合組織性隔壁。骨盤筋膜と前立腺筋膜の一部。)

Rectovaginal fascia; Rectovaginal septum♀(直腸腟筋膜;直腸腟中隔(♀))Fascia rectovaginalis; Septum rectovaginale♀ ちょうくちょうちつきんまく;ちょくちょうちつちゅうかく(♀) Feneis: 174 25

[A04_5_04_016_7] →(直腸と腟の間の結合組織性隔壁。骨盤筋膜の一部。)

Superior fascia of pelvic diaphragm(上骨盤横隔膜筋膜)Fascia diapharagmatis pelvis superior じょうこつばんおうかくまくきんまく Feneis: 174 26 [A04_5_04_016_8]

Pubopstatoc ligament; Pubovesical ligament(恥骨前立腺靱帯;恥骨膀胱靱帯)Lig.puboprostaticum ; Lig.pubovesicale ちこつぜんりつせんじんたい;ちこつぼうこうじんたい Feneis: 174 28 [A04_5_04_016_9]

Inferior fascia of pelvic diaphragm(下骨盤隔膜筋膜)Fascia inferior diapharagmatis pelvis かこつばんかくまくきんまくWaldeyer's fascia Feneis: 174 29

[A04_5_04_016_9_1] →(下骨盤隔膜筋膜は薄弱な筋膜として、肛門挙筋の下面(坐骨直腸窩側)を被う。)

Subcutaneous tissue of perineum(会陰皮下層;会陰皮下組織)Tela subcutanea perinei えいんひかそう;えいんひかそしき  [A09_5_00_006]

Membranous layer of perineum(膜状層(会陰の))Stratum membranosum telae subcutaneae perinei まくじょうそう(えいんの)Colles' fascia (perineum)  [A09_5_00_007]

Subcutaneous perineal pouch(会陰皮下嚢)Saccus subcutaneus perinei えいんひかのう  [A09_5_01_001]

Urogenital diaphragm(尿生殖隔膜)Diaphragma urogenitale にょうせいしょくかくまく Feneis: 176 01

[A09_5_01_001_1] →(尿生殖隔膜は骨盤隔膜の前部の下側(浅側)にあり、恥骨弓の間に張っている三角形の線維性膜である。尿生殖膜は上・下2枚の筋膜からなる。この筋膜を、それぞれ、上・下尿生殖隔膜筋膜という。とくに下尿生殖隔膜筋膜は比較的厚く強靱で、会陰膜ともいわれる。上生殖隔膜筋膜は明瞭でないことも多い。上尿生殖隔膜筋膜と下尿生殖隔膜筋膜とは後縁では癒合し、会陰腱中心に付着する。上下の隔膜筋膜は前上縁でも癒合し肥厚して、恥骨結合のすぐ下で会陰横靱帯をつくる。尿生殖隔膜は、男性では尿道によって、女性では尿道と腟とで貫かれる。)

Deep perineal pouch; Deep perineal space(深会陰隙;会陰深嚢;会陰深隙)Saccus profundus perinei; Spatium profundum perinei しんえいんげき;えいんしんのう;えいんしんげき Feneis: 176 02

[A09_5_03_001] →(上下の尿生殖隔膜の間の間隙で、尿道の隔膜部、尿道球腺と尿道球へくる神経、動脈が含まれる。尿生殖隔膜は会陰の前方部、すなわち恥骨弓が囲む空隙部位を占めるような、筋肉と線維性結合組織からなる膜状構造である。この構造を作る筋肉は尿道括約筋と深会陰横筋であり、これらが上尿生殖膜筋膜および下尿生殖角隔膜筋膜という2葉の筋膜のあいだにはさまれた形となっている。下尿生殖角隔膜筋膜は単に会陰膜とよばれることもある。これらの2葉の筋膜は互いに癒合し、その前方の恥骨結合とのあいだにわずかの間隙をのこすのみとなる。後方でもこれらの2葉の筋膜が互いに癒合するとともに、その癒合部位が会陰浅筋膜の線維層、さらには会陰体とも付着する。外側方では上および下尿生殖角隔膜筋膜が恥骨弓に付着する。上・下の尿生殖隔膜によりこのようにして作られる閉じた空間を、深会陰隙と称する。)

Deep transverse perineal muscle♂(深会陰横筋)Musculus transversus perinei profundus♂ しんえいんおうきんGuthrie's muscle Feneis: 176 03

[A09_5_03_004] →(深会陰横筋は男では尿道球の上に接し、坐骨枝と恥骨の下枝との合する所から起こって横走し、正中線で両側のものがたがいに結合する。起始は坐骨枝で停止は会陰部で対向する反対側の坐骨枝。作用として浅会陰横筋とともに会陰の横走筋を形成しており(縦走筋は球海綿体筋と外肛門括約筋)、会陰ならびに骨盤筋膜を支持して腹圧に対向する。男性では尿道球をも支持する。陰部神経(陰茎背神経、陰核背神経)から支配される。この筋は臨床上重要である。)

External urethral sphincter; External urethral sphincter of male♂(外尿道括約筋)Musculus sphincter urethrae externus♂ がいにょうどうかつやくきんGuthrie's muscle Feneis: 176 04

[A09_4_02_016] →(尿道括約筋は深会陰横筋から概念的に区分される尿道膜を環状に取り巻く筋線維束である。尿道の前方で会陰膜からの表層線維束は反対側からの線維と織り合い、尿道の後方で会陰へ放散している。深層線維束は内陰部血管のまわりの結合組織から起こり、入道の膜性部を取り囲む筋性の輪を形成している。一般の形態的および機能的特徴に基づいて、深会陰横筋と尿道括約筋はともに尿道収縮筋とみなされる。男性では尿道括約筋の骨格筋線維は深会陰横筋の赤筋線維より通常やや明調ではるかに薄いが、前立腺に入り込む。一方、女性では押送する線維は腟により尿道後方でさえぎられており、その壁もまた尿道括約筋から放散する線維、すなわちいわゆる腟括約筋(尿道腟括約筋)を受けている。経産婦では、深会陰横筋の大部分が結合組織線維束によりとって代わる。平滑筋線維束は深会陰横筋と尿道括約筋の両方に埋もれているので、尿道や前立腺や腟などの平滑筋組織と明確に区別できない。深会陰横筋と尿道括約筋は尿道の前面で互いに区別されない。両筋は尿道筋壁から深会陰横筋を被う結合組織へ、女性では外側に、男性では背側に放散する平滑筋束により尿道から隔離されている。)

External urethral sphincter; External urethral sphincter of female♀(外尿道括約筋;尿道括約筋)Musculus sphincter urethrae externus♀ がいにょうどうかつやくきん;にょうどうかつやくきんGuthrie's muscle Feneis: 176 04

[A09_2_03_006] →(尿道括約筋は深会陰横筋から概念的に区分される尿道膜を環状に取り巻く筋線維束である。尿道の前方で会陰膜からの表層線維束は反対側からの線維と織り合い、尿道の後方で会陰へ放散している。深層線維束は内陰部血管のまわりの結合組織から起こり、入道の膜性部を取り囲む筋性の輪を形成している。一般の形態的および機能的特徴に基づいて、深会陰横筋と尿道括約筋はともに尿道収縮筋とみなされる。男性では尿道括約筋の骨格筋線維は深会陰横筋の赤筋線維より通常やや明調ではるかに薄いが、前立腺に入り込む。一方、女性では押送する線維は腟により尿道後方でさえぎられており、その壁もまた尿道括約筋から放散する線維、すなわちいわゆる腟括約筋(尿道腟括約筋)を受けている。経産婦では、深会陰横筋の大部分が結合組織線維束によりとって代わる。平滑筋線維束は深会陰横筋と尿道括約筋の両方に埋もれているので、尿道や前立腺や腟などの平滑筋組織と明確に区別できない。深会陰横筋と尿道括約筋は尿道の前面で互いに区別されない。両筋は尿道筋壁から深会陰横筋を被う結合組織へ、女性では外側に、男性では背側に放散する平滑筋束により尿道から隔離されている。)

Compressor urethrae muscle♀(尿道圧迫筋)Musculus compressor urethrae♀ にょうどうあっぱくきん Feneis: 176 04a

[A09_5_03_005] →(尿道圧迫筋は左右の坐骨恥骨枝の間に尿道の前をループをなして通り抜ける細い筋帯で、収縮すると尿道前壁を後ろへ圧迫し(編み上げ靴の紐を締めるように)後壁に密着させる。男性にも存在するがTAではリストアップされていない。)

Sphincter urethrovaginalis muscle; Urethrovaginal muscle♀(尿道腟括約筋;尿道腟筋(♀))Musculus sphincter urethrovaginalis; Musculus sphincter vaginae♀ にょうどうちつかつやくきん(♀) Feneis: 176 04b

[A09_5_03_006] →(女性の尿道括約筋は尿道と腟を取り囲むので尿道腟括約筋と呼ばれる。)

Superior fascia of urogenital diaphragm(上尿生殖隔膜筋膜;内尿生殖隔膜筋膜)Fascia diaphragmatis urogenitalis superior; Fascia diaphragmatis urogenitalis interna じょうにょうせいしょくかくまくきんまく;ないにょうせいしょくかくまくきんまく Feneis: 176 05

[A09_5_03_006_1] →(深会陰横筋の坐骨直腸窩側にある筋膜。 (Feneis))

Inferior fascia of urogenital diaphragm; Perineal membrane(下尿生殖隔膜筋膜;会陰膜;外尿生殖隔膜筋膜)Membrana perinei; Fascia diaphragmatis urogenitalis inferior; Fascia diaphragmatis urogenitalis externa かにょうせいしょくかくまくきんまく;えいんまく;がいにょうせいしょくかくまくきんまく Feneis: 176 06

[A09_5_03_006_2] →(深会陰横筋の前下方にある筋膜。 (Feneis))

Transverse perineal ligament; Preurethral ligament♂(会陰横靱帯;尿道前靱帯)Ligamentum transversum perinei; Ligamentum praeurethrale♂ えいんおうじんたい Feneis: 176 07

[A09_5_03_003] →(会陰横靱帯は深会陰横筋の前上縁で上下の尿生殖隔膜筋が癒合して肥厚した恥骨結合のすぐ下の部分。)

Superficial perineal pouch; Superficial perineal compartment; Superficial perineal space(浅会陰隙;会陰浅嚢;会陰浅隙)Compartimentum superficiale perinei; Spatium superficiale perinei せんえいんげき;えいんせんのう;えいんさいげき Feneis: 176 08

[A09_5_02_001] →(浅会陰隙とは、下方を会陰浅筋膜の線維層で境され、上方を会陰浅筋膜の線維層で境され、上方を尿生殖隔膜で境されるような隙間のことである。この隙間は後方では隙間の上壁と下壁がたがいに癒着する形で閉じられ、外側方でも隙間の上壁と下壁が恥骨弓辺縁部に付着する形で閉じられている。しかし浅会陰隙はその前方部で前腹壁浅筋膜と前腹壁筋の間の隙間と自由に交通する。)

Superficial transverse perineal muscle(浅会陰横筋)Musculus transversus perinei superficialis せんえきんおうきんThiele's muscle Feneis: 176 09

[A09_5_02_003] →(浅会陰横筋は横走する浅在性の薄い筋である。この筋は坐骨結節や坐骨枝の境界域の起始部ではしばしば坐骨海綿体筋と交通し、そこから分枝する。その線維は会陰体へ連なり、外肛門括約筋と球海綿体筋に放散する。女性ではその筋は多少退化し、わずかに筋膜の被膜のみ同定できる程度である。)

Ischiocavernosus muscle(坐骨海綿体筋)Musculus ischiocavernosus ざこつかいめんたいきん Feneis: 176 10

[A09_5_02_004] →(坐骨海綿体筋は男性より女性のほうが発達が弱い。この筋は坐骨枝より起こり陰核脚を被い、その腱性線維は外下表面に付く。その筋は陰核海綿体を圧し、血液を押し付け流出を妨げ、それにより陰核の勃起成立を助ける。)

Bulbospongiosus muscle(球海綿体筋)Musculus bulbospongiosus; Musculus bulbocavernosus きゅうかいめんたいきん Feneis: 176 11

[A09_5_02_005] →(男性では球海綿体は尿道球の周辺を不体の筋として回るが、会陰の中心腱と尿道海綿体下側の正中縫線から起こる。球海綿体は前方へ放散し、海綿体のまわり下尿生殖隔膜筋膜や尿道海綿体へ向かい、また前筋線維をもって陰茎背部へ付く。この筋は随意的または反射的に尿道球を圧迫し、それにより尿道の内容を駆出する。女性では球海綿体筋は男性のように全長で1つの筋にはなっていない。2つの筋が会陰の中心腱より起こるが、各筋はそれぞれ引き続き前庭球と大前庭腺を被っている。その筋束は前庭球や陰核海綿体に停止し、陰核体後部で反対側からの筋線維と絡み合っている。この筋は大前庭腺を反射的に空にし、血液を前庭球の後方拡大部から送り出し、またオルガスムの際外腟口を収縮させる。)

Superficial perineal fascia(浅会陰筋膜)Fascia perinei superficialis せんえいんきんまく Feneis: 176 12

[A09_5_02_005_1] →(大腿筋の内側縁において、大腿筋膜から会陰に連続する。球海綿体筋、坐骨海綿体筋、浅会陰横筋の下面を被うが、外肛門括約筋の下面は、この筋膜には包まれない。)

Ischioanal fossa; Ischiorectal fossa(坐骨肛門窩;坐骨直腸窩)Fossa ischioanalis; Fossa ischiorectalis ざこつこうもんか;ざこつちょくちょうか Feneis: 176 13

[A09_5_04_001] →(坐骨直腸窩は肛門挙筋と内閉鎖筋の間の隙間つまり肛門管の両側に位置している大きなクサビ形の空隙であり、そのくさびの底部は表層にあり、前下方は尿生殖隔膜で限界される。会陰の皮膚で被われる。坐骨直腸窩の内側壁と外側壁が接合する部位がくさびの尖縁である。陰部神経および内陰部動脈、内陰部静脈が坐骨直腸窩の外側壁に作られた筋膜性の管(陰部神経管pudendal canal)の中を走行する。坐骨直腸窩には脂肪が密につめられているが、この脂肪層は肛門管の支持に役立つとともに、排便時に肛門管が拡張するのを可能にしている。)

Fat body of ischio-anal fossa(坐骨直腸窩脂肪体;坐骨肛門窩脂肪体)Corpus adiposum fossae ischioanalis ざこつこうもうかしぼうたい;ざこつちょくちょうかしぼうたい Feneis: 176 14

[A09_5_04_002] →(坐骨直腸窩には脂肪が密につめられているが、この脂肪層は肛門管の支持に役立つとともに、排便時に肛門管が拡張するのを可能にしている。)

Pudendal canal(陰部神経管)Canalis pudendalis; Canalis fascialis いんぶしんけいかんAlcock's canal Feneis: 176 15

[A09_5_04_003] →(陰部神経管はアルコック管とも呼ばれる。内閉鎖筋の内側に沿って位置するトンネル状構造で、内閉鎖筋膜にかこまれた形で存在する。内陰部動・静脈および陰部神経が通る。アイルランドの解剖学者Benjamin Alcock (1801-?)により記載された。なぜか1855年以後の彼の消息は不明である。)

funalogo.gif (2604 バイト)

SEO [PR] !uO z[y[WJ Cu