一般解剖学

系統解剖学



最終更新日: 12/05/16

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Juncturae; Systema articulare(連結、関節系)Joints

 これまでの解剖学用語では連結、関節系(Juncturae; Systema articulare)に相当するのものを靱帯学(Syndesmolgia)、関節学(Arthrologia)とよんでいる。骨は結合織の特殊なものであって、線維性結合組織(またはその原型の間葉組織)から、多くの軟骨性の原基を経て、一部は直接に、形成される。いずれにせよ、完成された骨格では、その表面を骨格膜ともいうべき膜状のつよい線維性結合が連続的に被っていて、骨の表面では骨膜、軟骨の表面では軟骨膜、関節の表面では関節包をつくる。骨の連結部では、骨の間にも結合組織性の構造がいろいろな形で残りうる。すなわち、強い結合組織であったり、軟骨であったりする。また骨間組織が消失して関節腔となることもある。このような介在組織の種類と状態によって、骨の連結の可動性は大きく作用され、以前はそれに従って骨の連結を不動関節(結合)Synarthrosis(軟骨結合、靱帯結合、縫合を含む)と可動関節(分離連結)Diarthrosis(関節腔を有する関節)に訳、線維軟骨結合を両者の中間的なものと考えて半関節Amphiarthrosisと呼んでいた。

Juncturae thoracis(胸郭の連結)Thoracic joints きょうかくのれんけつ [A03.3.00.001] Feneis: 058 09

 胸郭の連結は胸椎、肋骨、肋軟骨および胸骨の間の連結であり、肋椎関節、胸肋関節、胸骨軟骨結合、肋軟骨間関節、肋骨肋軟骨結合がある。

Syndesmoses thoracis(胸郭の靱帯結合)Syndesmoses of thorax きょうかくのじんたいけつごう [A03.3.01.001]

 胸郭の靱帯結合とは肋間膜のことで肋間隙の肋間筋を欠く部にある靱帯性の膜で、外肋間膜、内肋間膜の2種がある。

Membrana intercostalis externa(外肋間膜)External intercostal membrane がいろくかんまく [A03.3.01.002] Feneis: 058 25

 外肋間膜は外肋間筋の前端のつづきで、肋軟骨間を結び、外肋間筋と同じ走行を示す。

Membrana intercostalis interna(内肋間膜)Internal intercostal membrane ないろくかんまく [A03.3.01.003] Feneis: 058 26

 内肋間膜は内肋間筋の後端と脊柱の間にあり、内肋間筋と同じ走行の線維からなる薄い膜で、その内側は上肋横突靱帯の前部のものにつづく。

Synchondroses thoracis(胸郭の軟骨結合)Synchondroses of thorax きょうかくのなんこつけつごう [A03.3.02.001] 

Synchondrosis costosternalis(肋胸骨関節)Costosternal joint ろくきょうこつかんせつ [A03.3.02.002]

Synchondrosis costae primae(第一肋骨関節)Synchondrosis of first rib だいいちろくこつかんせつ [A03.3.02.003] Feneis: 058 26a

Synchondroses sternales(胸骨結合)Sternal synchondroses きょうこつけつごう [A03.3.02.004] Feneis: 006 28

 胸骨結合は胸骨を構成する3部分の間の二つの結合(胸骨柄結合、胸骨剣結合)である。

Symphysis xiphosternalis(胸骨剣軟骨結合、胸骨剣結合)Xiphisternal joint きょうこつけんなんこつけつごう、きょうこつけんけつごう [A03.3.02.005] Feneis: 006 30

 胸骨剣結合は胸骨体と剣状突起の結合で、小さな線維軟骨板が介在し、前後面は靱帯状の線維で包まれる。年令の増加により骨化する傾向がある。

Symphysis manubriosternalis(胸骨柄軟骨結合)Manubriosternal joint きょうこつえなんこつけつごう [A03.3.02.006] Feneis: 006 29

 胸骨柄軟骨結合は、はじめは軟骨結合であるが成人になり線維軟骨結合になったものを胸骨柄軟骨結合と呼ぶ。

(Synchondrosis manubriosternalis)((胸骨柄結合))(Manubriosternal synchondrosis) きょうこつえけつごう [A03.3.02.007] Feneis: 006 29

 胸骨柄結合は胸骨柄と胸骨体の連結。初めは軟骨結合であるが、成人では線維軟骨結合になる。対向する骨の面は薄い硝子軟骨の層で被われ、それが線維軟骨板で結合される。線維軟骨板に小腔をふくむことがある。また、骨化してこの結合が不動になることもある。

Articulationes thoracis(胸郭の関節)Synovial joints of thorax きょうかくのかんせつ [A03.3.03.001] Feneis: 058 09

 胸郭の骨格にある関節性連結で肋椎関節、胸肋関節、胸骨軟骨結合、肋軟骨間関節、肋骨肋軟骨結合がある。

Articulationes costovertebrales(肋椎関節)Costovertebral joints ろくついかんせつ [A03.3.04.001] Feneis: 058 10

 肋椎関節は胸椎と肋骨との間の関節で、椎体と肋骨頭の間の肋骨頭関節並びに横突起と肋骨結節の間の肋横突関節の2種類の関節からなる。

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Articulationes capitis costae(肋骨頭関節)Joint of head of rib ろくこつとうかんせつ [A03.3.04.002] Feneis: 058 11

 肋骨頭関節は胸椎体の肋骨窩と肋骨頭の間の関節で、第2~第9肋骨は同番号の胸椎の上肋骨窩と隣接上位椎の下肋骨窩に対応し、肋骨頭稜からおこって椎間円板に着く関節内肋骨頭靱帯によって関節腔が完全に二分される。一般に、関節腔の上半よりも下半の方が広い。第1、11,12肋骨は同番号胸椎の上肋骨窩だけに対応し、したがって、ここには関節内肋骨頭腎他はなく、関節腔も単一である。関節包の前面は放射状肋骨頭靱帯によって補強される。この靱帯は肋骨頭の前部と椎体側面を結び、通常3足からなり、下束は同番号の椎体に着き、上束は隣接上位椎体に着き、中束は2椎の間の椎間円板に着く。したがって、肋骨頭前部から放射状に脊柱に広がるようにみえる。

Lig. capitis costae radiatum(放射状肋骨頭靱帯)Radiate ligament of head of rib ほうしゃじょうろくこつとうじんたい [A03.3.04.003] Feneis: 058 12

 肋骨頭関節の関節包は薄いがあまり余裕がなく、下面の線維がいくらか長いだけである。前面は厚く、肋骨頭から放射して上下の錐体と椎間円板に向かう線維は放射状肋骨頭靱帯をつくる。

Lig. capitis costae intraarticulare(関節内肋骨頭靱帯)Intra-articular ligament of head of rib かんせつないろつこつとうじんたい [A03.3.04.004] Feneis: 058 13

 第2~9肋骨は同番号の胸椎の上肋骨窩と、その上の胸椎の下肋骨窩とにかけてはまり、その関節腔は肋骨頭稜から起こって椎間円板に着く関節内肋骨頭靱帯によって完全に2分される。

Articulatio costotransversaria(肋横突関節)Costotransverse joint ろくおうとつかんせつ [A03.3.04.005] Feneis: 058 14

 肋横突関節は肋骨結節の関節部と同番号胸椎の横突起先端部との関節で、第(10)、11,12肋骨においては関節腔がなくて、靱帯結合となっている。矢状面に対してほぼ45°の傾きをしめす。ただし、胸椎の横突起は下位になるにしたがい、矢状面に近い走行を取るから、下位の肋横突関節面の方位は次第に矢状面と鋭角をなすようになる。関節包は薄いが、次のような靱帯によって補強されている。(1)肋横突靱帯:肋骨頚後面と横突起前面を結ぶ短い強い靱帯である。(2)外側肋横突靱帯:横突起先端後面と肋骨結節を結ぶ、短い強い靱帯である。(3)上肋横突靱帯:肋骨頚上縁(肋骨頚稜)からおこり、斜め外側に上行して、隣接上位対の横突起下縁に着く靱帯である。胸神経後枝はこの靱帯の後方を通り、同前枝(肋間神経)は前方を通過する。(4)腰肋靱帯:第12肋骨と第1,2腰椎肋骨突起の間に張る膜状の靱帯である。

Lig. costotransversarium(肋横突靱帯)Costotransverse ligament ろくおうとつじんたい [A03.3.04.006] Feneis: 058 15

 肋横突靱帯は横突起と肋骨頚の狭い間隙に水平に張る強い短い線維から成る靱帯であるが、小さな肋横突孔を残す。この孔は頚椎の横突孔に相当する。

Lig. costotransversarium superius(上肋横突靱帯)Superior costotransverse ligament じょうろくおうとつじんたい [A03.3.04.007] Feneis: 058 16

 上肋横突靱帯は外肋間筋の後部の線維によって前後2部に分けられる。前部は肋骨頚稜と一つ上の横突起下縁を結ぶ菱形の靱帯で、その外側縁は内肋間膜につづく。内側縁は遊離して終わり、椎体との間に脊髄神経前枝を通す孔を残す。第11肋骨では肋間隙全体にわたる腱様の膜となる。後部は肋骨頚の後面と一つ上の横突起根部から棘突起に至る後面を結び、椎体との間に脊髄神経後枝を通す孔を残す。第1肋骨には対応する上肋横突靱帯を欠く。

Lig. costotransversarium laterale(外側肋横突靱帯)Lateral costotransverse ligament がいそくろくおうとつじんたい [A03.3.04.008] Feneis: 058 17

 外側肋横突靱帯は横突起の尖端から殆ど水平に外方に拡がって肋骨結節に至る靱帯で、関節包の後外方を被う。

Lig. lumbocostale(腰肋靱帯)Lumbocostal ligament ようろくじんたい [A03.3.04.009] Feneis: 058 18

 腰肋靱帯は第12肋骨と第1,2腰椎肋骨突起の間の膜状の靱帯で、内肋間膜のつづきともみられる。多くは腹横筋の起始腱膜(腰背腱膜の深葉)と結合する。

Foramen costotransversarium(肋横突孔)Costotransverse foramen ろくおうとつこう [A03.3.04.010] Feneis: 058 19

 上肋横突靱帯と肋骨頚との間の小さな孔で、この孔は頚椎の横突孔に相当する。肋間神経が通る。

Articulationes sternocostales(胸肋関節、胸肋滑膜性関節)Sternocostal joints きょうろくかんせつ、きょうろくかつまくせいかんせつ [A03.3.05.001] Feneis: 058 20

 胸肋関節は上位7対の肋軟骨と頬骨の肋骨切痕の間の関節である。ただし、第1肋軟骨は頬骨に直接結合するので、胸肋軟骨結合という。関節腔は本来関節内胸肋靱帯によって二分されるが、この状態は第2肋軟骨の関節にのみ存続する。それより下方の関節は、加齢に伴い関越腔が消失する傾向にある。補強靱帯として次のものがあげられる。(1)放射状胸肋靱帯:前後両面で、肋軟骨の胸骨端からおこり、放射状にひろがって胸骨に着く線維束である。前面では、対側の線維とともに胸骨の骨膜と連なって膜状をなし、胸骨膜とよばれる。(2)肋剣靱帯:第7肋軟骨と剣状突起を結ぶ扁平な小靱帯である。

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Lig. sternocostale intraarticulae(関節内胸肋靱帯)Intra-articular sternocostal ligament かんせつないきょうろくじんたい [A03.3.05.002] Feneis: 058 21

 第2~7肋軟骨と胸骨との胸肋関節は固い関節包につつまれ、原則として関節内胸肋靱帯があって関節腔を上下に2分する。しかし、この状態は第2関節にのみ終生存続し、下位ほどまれになる。すなわち、年令の増加に伴い、下位のもの、特に第6,7関節では関節腔も消失することが多い。

Ligg. sternocostalia radiata(放射状胸肋靱帯)Radiate sternocostal ligaments ほうしゃじょうきょうろくじんたい [A03.3.05.003] Feneis: 058 22

 放射状胸肋靱帯は胸肋関節の前方にある放射線状の線維群で、肋軟骨端から胸骨へ張る。各胸肋関節包の前後面を強める。

Membrana sterni(胸骨膜)Sternal membrane きょうこつまく [A03.3.05.004] Feneis: 058 23

 胸骨膜は両側の胸肋関節包の前面の放射状胸肋靱帯の線維が胸骨の前面で交錯してつくる厚い線維膜である。骨膜ともつながり、大胸筋の起始腱線維も合流する。

Ligg. costoxiphoidea(肋剣靱帯)Costoxiphoid ligaments ろくけんじんたい [A03.3.05.005] Feneis: 058 24

 肋剣靱帯は第6~第7肋軟骨前端から剣状突起に至る扁平な小靱帯である。

Articulationes costochondrales(肋骨肋軟骨連結)Costochondral joints ろくこつろくなんこつれんけつ [A03.3.06.001] Feneis: 058 28

 肋骨肋軟骨連結は各肋骨と肋軟骨の連結で、肋骨の胸骨端くぼみに肋軟骨後端がはまっている連結。周囲は肋骨膜ないし肋軟骨膜で包まれて固定されている。

Articulationes interchondrales(軟骨間関節)Interchondral joints なんこつかんかんせつ [A03.3.07.001] Feneis: 058 27

 軟骨間関節は第5~第9肋軟骨の互いに向き合う隆起部の間に認められる平面状の関節で、関節面は小さな滑らかな楕円形で、骨膜を有し、第8~第9肋軟骨の前端が上位の肋軟骨に着くところは靱帯(軟骨間靱帯)で補強されている。第5・第6・第8・第9・第10肋軟骨間の連結は純靱帯性である。

Juncturae cinguli pelvici(下肢帯の連結)Joints of pelvic girdle かしたいのれんけつ [A03.4.00.001] Feneis: 066 01

 左右の間骨は、仙骨とその下につづく尾骨とともに強固な骨板を作る。骨板は腹腔の底と骨盤腔を着くって内臓をほぼするとともに、体幹と上肢の重みを支え、またこれを両側の下肢に分散させる骨格で、これを作る骨間の連結は固く、可動性は著しく制限されている。

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