一般解剖学

系統解剖学



最終更新日: 12/07/05

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Juncturae; Systema articulare(連結、関節系)Joints

 これまでの解剖学用語では連結、関節系(Juncturae; Systema articulare)に相当するのものを靱帯学(Syndesmolgia)、関節学(Arthrologia)とよんでいる。骨は結合織の特殊なものであって、線維性結合組織(またはその原型の間葉組織)から、多くの軟骨性の原基を経て、一部は直接に、形成される。いずれにせよ、完成された骨格では、その表面を骨格膜ともいうべき膜状のつよい線維性結合が連続的に被っていて、骨の表面では骨膜、軟骨の表面では軟骨膜、関節の表面では関節包をつくる。骨の連結部では、骨の間にも結合組織性の構造がいろいろな形で残りうる。すなわち、強い結合組織であったり、軟骨であったりする。また骨間組織が消失して関節腔となることもある。このような介在組織の種類と状態によって、骨の連結の可動性は大きく作用され、以前はそれに従って骨の連結を不動関節(結合)Synarthrosis(軟骨結合、靱帯結合、縫合を含む)と可動関節(分離連結)Diarthrosis(関節腔を有する関節)に訳、線維軟骨結合を両者の中間的なものと考えて半関節Amphiarthrosisと呼んでいた。

Juncturae thoracis(胸郭の連結)Thoracic joints きょうかくのれんけつ [ A03.3.00.001] Feneis: 058 09

胸郭の連結は胸椎、肋骨、肋軟骨および胸骨の間の連結であり、肋椎関節、胸肋関節、胸骨軟骨結合、肋軟骨間関節、肋骨肋軟骨結合がある。

Syndesmoses thoracis(胸郭の靱帯結合)Syndesmoses of thorax きょうかくのじんたいけつごう [A03.3.01.001]

 胸郭の靱帯結合とは肋間膜のことで肋間隙の肋間筋を欠く部にある靱帯性の膜で、外肋間膜、内肋間膜の2種がある。

Membrana intercostalis externa(外肋間膜)External intercostal membrane がいろくかんまく [A03.3.01.002] Feneis: 058 25

 外肋間膜は外肋間筋の前端のつづきで、肋軟骨間を結び、外肋間筋と同じ走行を示す。

Membrana intercostalis interna(内肋間膜)Internal intercostal membrane ないろくかんまく [A03.3.01.003] Feneis: 058 26

 内肋間膜は内肋間筋の後端と脊柱の間にあり、内肋間筋と同じ走行の線維からなる薄い膜で、その内側は上肋横突靱帯の前部のものにつづく。

Synchondroses thoracis(胸郭の軟骨結合)Synchondroses of thorax きょうかくのなんこつけつごう [A03.3.02.001] 

Synchondrosis costosternalis(肋胸骨関節)Costosternal joint ろくきょうこつかんせつ [A03.3.02.002]

Synchondrosis costae primae(第一肋骨関節)Synchondrosis of first rib だいいちろくこつかんせつ [A03.3.02.003] Feneis: 058 26a

Synchondroses sternales(胸骨結合)Sternal synchondroses きょうこつけつごう [A03.3.02.004] Feneis: 006 28

 胸骨結合は胸骨を構成する3部分の間の二つの結合(胸骨柄結合、胸骨剣結合)である。

Symphysis xiphosternalis(胸骨剣軟骨結合、胸骨剣結合)Xiphisternal joint きょうこつけんなんこつけつごう、きょうこつけんけつごう [A03.3.02.005] Feneis: 006 30

 胸骨剣結合は胸骨体と剣状突起の結合で、小さな線維軟骨板が介在し、前後面は靱帯状の線維で包まれる。年令の増加により骨化する傾向がある。

Symphysis manubriosternalis(胸骨柄軟骨結合)Manubriosternal joint きょうこつえなんこつけつごう [A03.3.02.006] Feneis: 006 29

 胸骨柄軟骨結合は、はじめは軟骨結合であるが成人になり線維軟骨結合になったものを胸骨柄軟骨結合と呼ぶ。

(Synchondrosis manubriosternalis)((胸骨柄結合))(Manubriosternal synchondrosis) きょうこつえけつごう [A03.3.02.007] Feneis: 006 29

 胸骨柄結合は胸骨柄と胸骨体の連結。初めは軟骨結合であるが、成人では線維軟骨結合になる。対向する骨の面は薄い硝子軟骨の層で被われ、それが線維軟骨板で結合される。線維軟骨板に小腔をふくむことがある。また、骨化してこの結合が不動になることもある。

Juncturae membri superioris(上肢の連結)Joints of upper limb じょうしのれんけつ [A03.5.00.001]

 上肢の連結は上肢帯(肩甲帯)、自由上肢の連結に分類できる。

JUNCTURAE CINGULI PECTORALIS(上肢帯の連結)Joints of pectoral girdle じょうしたいのれんけつ [A03.5.00.002] Feneis: 060 12

 上肢帯の連結は上肢帯の靱帯結合、滑液結合に分類できる。

Syndesmoses cinguli pectoralis; Syndesmoses cinguli membri superioris(上肢帯の靱帯結合)Syndesmoses of pectoral girdle; Syndesmoses of shoulder girdle じょうしたいのじんたいけつごう [A03.5.01.001]

 肩甲骨の各部間の靱帯は上肢帯の靱帯結合である。

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Lig. coracoacromiale(烏口肩峰靱帯)Coraco-acromial ligament うこうけんぽうじんたい [A03.5.01.002] Feneis: 060 13

 烏口肩峰靱帯は肩甲骨烏口突起の水平部から広く起こり、やや上方に集まって肩峰の尖端で肩鎖関節の外側ととの間に張る比較的強い靱帯である。肩関節を上から被うが、両者の間に肩甲下筋と棘上筋の腱および肩峰下包が介在するため、関節包とは直接しない。肩関節を保護すると共に、上腕骨が水平より上方にあがることを抑制する。機能的には肩関節と関係が深い。烏口突起、肩峰とともに、いわゆるcoracoacromial arch, Shoulter-dachをつくり、肩関節の運動に際して上腕骨頭の働きを上方から制限する。このため肩関節だけの運動では、上肢の外転は水平位(90°)までで、それ以上の上肢の挙上には胸鎖関節や肩鎖関節の働きを必要とする。

Lig. transversum scapulae superius(上肩甲横靱帯)Superior transverse scapular ligament じょうけんこうおうじんたい [A03.5.01.003] Feneis: 060 14

 上肩甲横靱帯は肩甲切痕の上に張る扁平な小靱帯で、その一部または前部が骨化することがある。この靱帯の上を肩甲上動脈が越え、その下を肩甲上神経が通る。

(Lig. transversum scapulae inferius)((下肩甲横靱帯))(Inferior transverse scapular ligament) かけんこうおうじんたい [A03.5.01.004] Feneis: 060 15

 下肩甲横靱帯は棘上筋と棘下筋の筋膜が合してつくる線維束で、肩甲棘基部の外側縁と関節窩の縁の間の切痕に張る。この靱帯の下を棘上窩から棘下窩へめぐる肩甲上動脈、同神経が通る。

Articulationes cinguli pectoralis; Articulationes cinguli membri superioris(上肢帯の滑液結合)Synovial joints of pectoral girdle; Synovial joints of shoulder girdle じょうしたいのかつえきけつごう [A03.5.02.001]

Articulatio acromioclavicularis(肩鎖関節)Acromioclavicular joint けんさかんせつ [A03.5.03.001] Feneis: 060 16

 肩鎖関節は肩峰関節面と鎖骨肩峰端にある関節面との間の平面関節である。関節の長軸の方位は矢状に近いが、前端がやや外方に偏する。同時に鎖骨の関節面はやや下を、肩峰の関節面はやや上を向くような斜位をとる。関節面の大きさなどに個人差が著しい。しばしば関節円板があるが、多くは部位による厚みが平等でなく、あるいは不完全で関節腔を完全には2分しない。関節包はゆるく、その前側がやや強いほか、前面は厚く強くなって肩鎖靱帯をつくる。胸鎖関節と共同して働き、肩甲骨が肩関節の運動に伴って動くことを可能にする。この関節の近くに肩甲骨と鎖骨を結ぶ靱帯(烏口鎖骨靱帯、菱形靱帯、円錐靱帯)がある。

Lig. acromioclaviculare(肩鎖靱帯)Acromioclavicular ligament けんさじんたい [A03.5.03.002] Feneis: 060 17

 肩鎖関節の関節包はゆるく、その前側がやや強いほか、前面は厚く強くなって肩鎖靱帯をつくる。運動の範囲は狭いが、肩甲骨の外側角が上方に向くような動きがあるほか、肩甲骨の少し回旋が行われる。たとえば、外側角が上を向く運動に際して、下角が前方へ移動し、上角が下降するような回旋運動が起こる。

(Discus articularis)((肩鎖靱帯の関節円板))(Articular disc of acromioclavicular joint) けんさじんたいのかんせつえんばん [A03.5.03.003] Feneis: 060 18

 肩鎖関節の関節面の大きさなどに個人差が著しい。しばしば関節円板があるが、多くは部位による厚みが平等でなく、あるいは不完全で関節腔を完全には2分しない。

Lig. coracoclaviculare(烏口鎖骨靱帯)Coracoclavicular ligament うこうさこつじんたい [A03.5.03.004] Feneis: 060 19

 烏口鎖骨靱帯は肩甲骨烏口突起の上面と鎖骨外側端の下面とを結ぶ強い靱帯で菱形靱帯と円錐靱帯の2部分よりなる。

Lig. trapezoideum(菱形靱帯)Trapezoid ligament りょうけいじんたい [A03.5.03.005] Feneis: 060 20

 菱形靱帯は烏口鎖骨靱帯の前外側の部である。烏口突起の内側縁と一部上面から起こり、前部の線維は垂直に近く前上方および上方へ、後部の線維は斜めに外上方へ走って鎖骨の菱形靱帯線に着く。関節面が斜位を取る肩鎖関節の脱臼を防ぐことに与かり、また肩甲骨が前方、内方に動くのを制限する。

Lig. conoideum(円錐靱帯)Conoid ligament えんすいじんたい [A03.5.03.006] Feneis: 060 21

 円錐靱帯は烏口鎖骨靱帯の後内側の部である。烏口突起の屈折部附近の内側縁から起こり、上方に拡がりながら後の線維は外上方に走るようにひねった三角形をつくり、鎖骨の円錐靱帯結節に着く。肩甲骨が後方に動くのを制限する。菱形靱帯と円錐靱帯の間に鎖骨下筋の外側部がはさまれる。

JUNCTURAE MEMBRI SUPERIORIS LIBERI(自由上肢の連結)Joints of free upper limb じゆうじょうしのれんけつ [A03.5.05.001] Feneis: 060 28 A03.5.05.001

Syndesmosis radioulnaris(橈尺靱帯結合)Radio-ulnar syndesmosis とうしゃくじんたいけつごう [A03.5.06.001] Feneis: 062 09

 橈骨と尺骨は上・下両端で関節をつくり、その中間すなわち骨体は密性結合組織からなる前腕骨間膜を介して線維性に連結される。

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Membrana interossea antebrachii(前腕骨間膜)Interosseous membrane of forearm ぜんわんこつかんまく [A03.5.06.002] Feneis: 062 10

 前腕骨間膜は橈骨粗面以下において橈骨と尺骨との骨間縁を互いに結合する(橈尺靱帯結合)。その線維は主として橈骨粗面より下方で橈骨から尺骨に向かって斜めに下がるが、下端では反対に橈骨から尺骨へ斜めに上る線維を見る。

Chorda obliqua(前腕骨間膜の斜索)Oblique cord of interosseous membrane of forearm ぜんわんこつかんまくのしゃさく [A03.5.06.003] Feneis: 062 11

 前腕骨間膜より上には尺骨粗面から外下方へ斜めに走って橈骨粗面の少し下方に至る斜索があり、これと前腕骨間膜との間の骨間裂孔は背側骨間動脈の通路である。

Articulationes membri superioris liberi(自由上肢の関節)Synovial joints of free upper limb じゆうじょうしのかんんせつ [A03.5.07.001]

Articulatio humeri; Articulatio glenohumeralis(肩関節、関節窩上腕関節)Glenohumeral joint; Shoulder joint かたかんせつ、かんせつかじょうわんかんせつ [A03.5.08.001] Feneis: 060 29A03.5.06.001

 肩関節は肩甲骨関節窩と上腕骨頭との間の典型的な球関節。関節窩は小さく、関節頭としての上腕骨頭の関節面の約1/3の広さにすぎない。関節窩の周縁は、線維軟骨性の関節唇によって補われる。関節包の外側にはこれを補強するとくに強い靱帯がないから、両者の結合はゆるく、関節の自由な運動を可能にする。補強靱帯の代わりをするのは、肩甲骨から起始して上腕骨近位部に停止する肩甲筋群である。関節包は、上方には関節窩の周縁につき、ここで関節唇の外側と癒着し、下方には上腕骨の解剖頚につく。また内側は関節の下方でゆるみがあるから、これが上肢の回転を可能にするが、同時に下方への脱臼をおこしやすい原因となる。関節腔内は上腕二頭筋長頭の腱によって貫かれる。この腱は下方から上腕骨の結節間溝を通って関節腔に入り、上腕骨頭の前面を通って肩甲骨の関節上結節につく。全身の関節のうち最も大きい運動範囲をもち、その運dの右派屈曲(前方挙上)、伸展(後方挙上)、内転、外転、描円および回旋に分析鎖される。これらの運動は上肢帯の関節(胸鎖関節と肩鎖関節)との共同運動により範囲が増大される。肩甲骨関節窩は、前頭面(左右方向)に向いているのではなく、これより前外方に約30°の角をなす面にあるから(この面を肩甲骨面という)、肩関節の運動もこの面において最も運動範囲が広い。日常、物を書くときや、箸を取るときの上腕骨の位置にもこの面にある。これに属する靱帯として次のものがある。関節上腕靱帯は、関節唇の上前縁よりおこり解剖頚へつく。烏口上腕靱帯は、烏口突起の外側面よりおこり、上腕骨結節間溝の近位端にのび、ここで上腕二頭筋長頭の腱をおおう。

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Labrum glenoidale(肩甲骨の関節唇)Glenoid labrum of scapula けんこうこつのかんせつしん [A03.5.08.002] Feneis: 060 30

 上腕骨頭は球の約1/3にあたるが、卵円形の関節窩は小さく、関節頭としての上腕骨頭の関節面の約1/3の広さにすぎない。関節窩の周縁は、線維軟骨性の関節唇によって補われる。

Ligg. glenohumeralia(関節上腕靱帯)Glenohumeral ligaments かんせつじょうわんじんたい [A03.5.08.003] Feneis: 060 32

 関節上腕靱帯は関節包が周囲の筋の腱で補強されている以外の所で、主に深層の線維の集団で肥厚する部である。特に前壁を内面から見るときに他の部と判別できる。関節唇の上、前、および下部から出て不明瞭な線維束となり、解剖頚に着く。上にあるもの(上束)と前壁を斜めに外下方に走るもの(前束)との間の前壁外上部は関節包の弱いところとなる。ここが肩甲下筋腱下包と交通しているとき、その孔はWeitbrechtの卵円孔と呼ばれることがある。上腕を外転すると下束と前束が緊張し、回外すると上束、前束、下束が緊張する。

Lig. coracohumerale(烏口上腕靱帯)Coracohumeral ligament うこうじょうわんじんたい [A03.5.08.004] Feneis: 060 31

 烏口上腕靱帯は烏口突起の外側縁の全長と基部から起こって関節包の上部を被い、やがて関節包に癒合して上腕骨の大・小結節に着く。関節包の上面を補強する強い靱帯である。

Lig. transversum humeri(上腕骨横靱帯)Transverse humeral ligament じょうわんこつおうじんたい [A03.5.08.005]

 上腕骨の小結節と大結節の間にある靱帯でる。

Articulatio cubiti(肘関節)Elbow joint ちゅうかんせつ [A03.5.09.001] Feneis: 062 01

 肘関節は上腕骨と橈骨、尺骨の3骨の間に生じた複関節で、肘の屈伸を行う。したがって分類状は1軸性の蝶番関節とみることができる。上腕骨滑車と尺骨の滑車切痕との間の腕尺関節、上腕骨小頭と橈骨頭との間の腕橈切痕との間の上頭尺関節が共通の関節包におおわれる。しかし後者は機能的には下橈尺関節とともに前腕の回旋に関係するので、前2者とは別に記載するのが通例である。上腕骨の内側および外側上顆は関節包におおわれない。関節包の内側と外側はそれぞれ内側側副靱帯および外側側副靱帯によって補強される。橈骨輪状靱帯は、関節包の内面が肥厚した幅約1cmの靱帯で、尺骨の橈骨切痕の前縁からおこり、橈骨の関節環状面を輪状にとりまいたのち、再び尺骨の橈骨切痕の後縁につく。この靱帯の関節腔に面した部分は軟骨性となり、尺骨の橈骨切痕とともに上橈尺関節における関節窩を形成する。肘関節における屈伸運動の役割を演ずるのは腕尺関節である。しかし上腕骨滑車の内側部の直径が外側部のそれよりやや大きいため、肘を伸ばすと、その時の尺骨の長軸は、上腕骨長軸よりも外方へ約10~20°の傾きを示す。この角をcarrying angleという。しかし肘を曲げたときは、両骨の長軸は重なり合う。

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Articulatio humeroulnaris(腕尺関節)Humero-ulnar joint わんしゃくかんせつ [A03.5.09.002] Feneis: 062 02

 腕尺関節は上腕骨滑車と尺骨の滑車切痕との間にある蝶番関節で、肘関節のおもなる作用である屈伸運動をする。

Articulatio humeroradialis(腕橈関節)Humeroradial joint わんとうかんせつ [A03.5.09.003] Feneis: 062 03

 腕橈関節は肘関節の腕橈骨部で、上腕骨小頭と橈骨頭の上面の関節窩との間にある球関節である。肘関節の屈伸運動をあずかるとともに、肘関節を構成する残りの腕尺関節、上橈尺関節との共同作業によって、どんな屈曲または伸展位にあっても同期して橈骨が尺骨の周りを回旋することができる。

Articulatio radioulnaris proximalis(上橈尺関節)Proximal radio-ulnar joint じょうとうしゃくかんせつ [A03.5.09.004] Feneis: 062 04

 上橈尺関節は橈骨頭の関節環状面と尺骨の橈骨切痕との間にある車軸関節で、橈骨と尺骨の下端の間にある下橈尺関節と共同して前腕の回旋(回内および回外)をする。

Lig. collaterale ulnare(肘関節の内側側副靱帯)Ulnar collateral ligament of elbow joint しつかんせつのないそくそくふくじんたい [A03.5.09.005] Feneis: 062 05

 内側側副靱帯は上腕骨内側上顆から起こり、三角形に拡がる。前方の部は尺骨の鈎状突起へ、後方の部は肘頭の内側縁に着く。中央の部は扇状に拡がりながら滑車切痕の内側縁に至り、少し薄いが、前方部と広報部の付着部を結ぶ横の線維(Cooperの靱帯ともいう)で強められる。

Lig. collaterale radiale(肘関節の外側側副靱帯)Radial collateral ligament of elbow joint ちゅうかんせつのがいそくそくふくじんたい [A03.5.09.006] Feneis: 062 06

 外側側副靱帯は上腕骨外側顆から起こる三角形の強い線維束で、前後2部に分けられる。前方の部は橈骨頭の前面に出て橈骨輪状靱帯と癒着し、尺骨の橈骨切痕前縁から鈎状突起下縁に達する。後方の部は尺骨の橈骨切痕後縁から回外筋稜につく。この強い靱帯のいずれの部も橈骨に直接的な強い結合を作らない。内側・外側側副靱帯は肘の屈伸を通じて、すべての関節位で同じ緊張度を保っている。これらは屈伸の運動時区の両側の支点となり、同時に、運動軸に平行に筋が動揺するのを阻止している。

Lig. anulare radii(橈骨輪状靱帯)Anular ligament of radius とうこつりんじょうじんたい [A03.5.09.007] Feneis: 062 07

 橈骨輪状靱帯は橈骨の関節環状面を輪状に取りまく強い靱帯で、尺骨の橈骨切痕前縁から出てその後縁に着く。関節包の内層の特殊かともみることが出来るが、関節腔に向かう内面は軟骨性となり、上頭尺関節の関節窩の一部となる。外面は関節包と固く着き、関節包の前面や外面の靱帯の線維が混入する。

Lig. quadratum(方形靱帯)Quadrate ligament ほうけいじんたい [A03.5.09.008] Feneis: 062 08

 方形靱帯は尺骨の橈骨切痕の下縁と橈骨頚とを結ぶ線維束をいい、上橈尺関節の下界をつくる滑膜を下から支える。

Recessus sacciformis(肘関節の嚢状陥凹)Sacciformis recess of elbow joint ちゅうかんせつののうじょうかんおう [A03.5.09.009] Feneis: 062 14

 橈骨輪状靱帯の下包の関節包が薄くなり、少しふくれ出している部を嚢状陥凹と呼ぶ。

Articulatio radioulnaris distalis(下橈尺関節)Distal radio-ulnar joint かとうしゃくかんせつ [A03.5.10.001] Feneis: 062 12

 尺骨下端にある尺骨頭と、橈骨下端の尺骨切痕との間の関節で、上頭尺関節とともに前腕の回内と回外を行う1軸性の車軸関節である。関節腔の遠位面は、橈骨手根関節の関節円板の上面にあたる。この関節円板は三角形で、底辺は橈骨につき、先端は尺骨の茎状突起にのびる。関節腔の一部は上方にのびて橈骨と尺骨の間に少しひろがる。この部を嚢状陥凹という。そのため関節腔はL字型をなす。関節円板は、この関節と 橈骨手根間節を隔てている。上および下橈尺関節は共同に働いて前腕を回外および回内させる。運動の軸は橈骨頭と尺骨の茎状突起とを結ぶ線で、尺骨は不動のまま、橈骨がこの軸を中心として回転し、その運動範囲は橈骨下端で約180°である。(ただし、上肢を延ばした状態では上腕の回旋を伴う。橈尺関節のみによる前腕の回外・回内は肘関節をほぼ90°に屈した状態でみる。)前腕骨間膜と斜索との線維の方向は手関節に加わる力を前腕から上腕の方へ伝えるのに必要なものであるとともに、過度の回旋に際しては強く牽引され、それを制限する。

Discus articularis(下橈尺関節の関節円板)Articular disc of distal radio-ulnar joint かとうしゃくかんせつのかんせつえんばん [A03.5.10.002] Feneis: 062 13

 下橈尺関節は車軸関節で、その関節腔の下壁は橈骨の尺骨切痕の下端から尺骨の茎状突起に向かって突出して両骨を結ぶ三角形の関節円板(その形から三角靱帯ともいう。)であり、これによって橈骨手根関節腔と隔てられる。

Recessus sacciformis(下橈尺関節の嚢状陥凹)Sacciformis recess of distal radio-ulnar joint かとうしゃくかんせつののうじょうかんおう [A03.5.10.003] Feneis: 062 14

 下橈尺関節の関節包は広くゆるいが前・後面で橈骨と尺骨を横に結ぶ線維で強まれれる。尺骨頭と橈骨の尺骨切痕との間を上方に向かう殆ど滑膜のみからなる薄い嚢状陥凹を出す。

Articulationes manus(手の関節)Joints of hand てのかんせつ [A03.5.11.001] Feneis: 064 01

 橈骨手根関節をも含めて、手の手根骨、中手骨、指節骨の間にあるすべての関節を総称して手の関節という。ドイツ語で手関節というと、通常は橈骨手根関節と手根中央関節のことをさし、前者をproximales handgelenk、後者をdistales Handgelenkという。英語ではwrist jointというと橈骨手根関節のみを指す。手の関節には①手根の関節(橈骨手根関節、手根間関節、手根中央関節、豆状骨関節)、②中手の関節(手根中手関節、母指の手根中手関節、中手間関節)、③指の関節(中手指節関節、手の指節間関節)が含まれる。

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Articulatio radiocarpalis(橈骨手根関節)Wrist joint とうこつしゅこんかんせつ [A03.5.11.002] Feneis: 062 15

 橈骨手根関節は手根関節の主な部分で橈骨下端の手根関節面と関節円板よりよりより関節窩と、近位列の手根骨すなわち舟状骨、月状骨、三角骨の近位面が作る関節頭によって生じた楕円関節。豆状骨および尺骨は関係しない。2軸性の運動を行い、手を尺側に背側にまげ(屈曲・伸展)、また母指側と小指側へまげる(側屈)。そのほか、これらの運動を連続して行う描円運動ができる。屈曲伸展の範囲は約170°である。また小指側への側屈は約40°で、母指側への側屈(約15°)より大きいが、これは関節面の傾きによる。関節包は薄く、関節腔の形には個人差が多く、下橈尺関節、手根間関節、豆状骨関節などの関節腔と連絡することがある。

Lig. radiocarpale dorsale(背側橈骨手根靱帯)Dorsal radiocarpal ligament はいそくとうこつしゅこんじんたい [A03.5.11.003] Feneis: 062 18 

 背側橈骨手根靱帯は橈骨下端および茎状突起の背側縁から出て下方に放散する関節包表層の線維束である。舟状骨に向かう部分、有頭骨に向かう部分、月状骨に向かい、さらにそれを越えて三角骨に向かう部分に分けられるが、最後の線維束が最も強い。

Lig. radiocarpale palmare(掌側橈骨手根靱帯)Palmar radiocarpal ligament しょうそくとうこつしゅこんじんたい [A03.5.11.004] Feneis: 062 19

 掌側橈骨手根靱帯はと骨下端から茎状突起の掌側縁から起こり、内下方に放散する関節包内面を強める厚い靱帯である。特に、三角骨と月状骨に向かって拡がる線維束が強い。深部には舟状骨に至る線維束もある(J.K. Mayfield, R.P. Johnson and R.F. Kilcoyne: Anat. Rec. 186, 417, 1976)。一部の線維は有頭骨頭にも至り、尺側に放散する線維は掌側尺骨手根靱帯とまじり合う。

Lig. ulnocarpale dorsale(背側尺骨手根靱帯)Dorsal ulnocarpal ligament はいそくしゃくこつしゅこんじんたい [A03.5.11.005]

Lig. ulnocarpale palmare(掌側尺骨手根靱帯)Palmar ulnocarpal ligament しょうそくしゃくこつしゅこんじんたい [A03.5.11.006] Feneis: 062 20

 掌側尺骨手根靱帯は関節円板の掌側縁から出て、三角骨および月状骨に向かう深層の線維束である。

Lig. collaterale carpi ulnare(橈骨手根関節の内側手根側副靱帯)Ulnar collateral ligament of wrist joint とうこつしゅこんかんせつのないそくしゅこんそくふくじんたい [A03.5.11.007] Feneis: 062 22

 内側手根側副靱帯は尺骨の茎状突起から豆状骨に至る線維束である。

Lig. collaterale carpi radiale(橈骨手根関節の外側手根側副靱帯)Radial collateral ligament of wrist joint とうこつしゅこんかんせつのがいそくしゅこんそくふくじんたい [A03.5.11.008] Feneis: 062 23

 外側手根側副靱帯は橈骨茎状突起から舟状骨および大菱形骨の側面に至る表層の線維束である。

Articulationes carpi; Articulationes intercarpales(手根関節、手根間関節)Carpal joints しゅこんかんせつ、しゅこんかんかんせつ [A03.5.11.101] Feneis: 062 15a, 062 16

 すべての手根骨の相互間の関節を総称していう。したがって、このなかに豆状骨関節、手根中央関節と同義語に用いられることもある。

Articulatio mediocarpalis(手根中央関節)Midcarpal joint しゅこんちゅうおうかんせつ [A03.5.11.102] Feneis: 062 17

 橈骨手根関節のproximales Handgelenkに対して、distales Handgelenkともいう。豆状骨を除く近位列の手根骨、すなわち三角骨、月状骨、舟状骨と、遠位列の手根骨、すなわち有鈎骨、有頭骨、小菱形骨、大菱形骨との間にみられる複関節で、全体としてS字状に横にうねった関節腔を示す。有頭骨と有鈎骨が大きく近位に向けて突出した関節頭をつくり、これに対する三角骨、月状骨、舟状骨が凹んだ関節窩をつくる。関節腔は手根中手関節の関節腔と交通している。橈骨手根関節と協同して、手の屈伸と側屈を行う楕円関節。

Lig. carpi radiatum(放射状手根靱帯)Radiate carpal ligament ほうしゃじょうしゅこんじんたい [A03.5.11.103] Feneis: 062 21

 放射状手根靱帯は掌側面の関節包深層で、有頭骨を中心として周囲の手根骨に向かう深層の線維束である。

Ligg. intercarpalia dorsalia(背側手根間靱帯)Dorsal intercarpal ligaments はいそくしゅこんかんじんたい [A03.5.11.104] Feneis: 062 24

 背側手根間靱帯は関節包深層にあり、手根骨の背面を連結する小靱帯である。しかし、舟状骨から大・小菱形骨に行く線維束、舟状骨から有頭骨頭を越えて三角骨に行く線維束(背側手根弓状靱帯[JNA])は長い。

Ligg. intercarpalia palmaria(掌側手根間靱帯)Palmar intercarpal ligaments しょうそくしゅこんかんじんたい [A03.5.11.105] Feneis: 062 25

 掌側手根間靱帯は隣り合う手根骨の掌側面を結ぶ短い靱帯である。しかし、有頭骨から有鈎骨の近位端を越えて三角骨に至る長い線維束もある。

Ligg. intercarpalia interossea(骨間手根間靱帯)Interosseous intercarpal ligaments こつかんしゅこんかんじんたい [A03.5.11.106] Feneis: 064 02

 骨間手根間靱帯は近位列の手根骨相互および近位列の手根骨相互を結ぶ関節腔内の小靱帯である。近位列ののものは関節腔の近位端にあって、手根骨の近位面と共通の軟骨に被われ、橈骨手根関節の関節頭の一部になる。

Articulatio ossis pisiformis(豆状骨関節)Pisiform joint とうじょうこつかんせつ [A03.5.11.107] Feneis: 064 03

 豆状骨関節は豆状骨と三角骨の手掌面を結ぶ平面関節で、多少の可動性がある。関節包はゆるく、関節腔は多くは独立するが、ときに橈骨手根関節腔と連なる。

Lig. pisohamatum(豆鈎靱帯)Pisohamate ligament とうこうじんたい [A03.5.11.108] Feneis: 064 04

 豆鈎靱帯は豆状骨から有鈎骨鈎へのび、豆中手靱帯は同じく第5中手骨底へつく。稜靱帯は、尺側手根屈筋の腱の延長とみなされる。

Lig. pisometacarpale(豆中手靱帯)Pisometacarpal ligament とうちゅうしゅじんたい [A03.5.11.109] Feneis: 064 05 

 豆中手靱帯は尺側手根屈筋腱から分かれて外側へのつづきで、第五中手骨底へつく。

Canalis carpi(手根管)Carpal tunnel しゅこんかん [A03.5.11.201] Feneis: 064 06

 手根骨の掌側面における深い溝(手根溝)が、橈側手根隆起と尺側手根隆起の間に張る屈筋支帯との間につくる管で、この管の中を正中神経のほか、前腕から指にのびる浅および深指屈筋、および個々の手根骨間の関節が福間得る。また手根中央関節と同義語に用いられることもある。

Canalis ulnaris(尺骨管)Ulnar canal しゃくこつかん [A03.5.11.202]

 手関節掌側で豆状骨の橈側に接して短掌筋の舌を通り手掌にでる部分。

Articulationes carpometacarpales(手根中手関節)Carpometacarpal joints しゅこんちゅうおうかんせつ [A03.5.11.301] Feneis: 064 07

 手根中手関節は遠位手根骨と第2ないし第5中手骨底との間にできる複関節で、いずれも鞍関節が変化して運動範囲の狭い平面関節状になったと見るべきものである。第2中手骨は大・小菱形骨および有頭骨と、第3中手骨は有頭骨と、第4中手骨は有頭骨および有鈎骨と、第5中手骨は有鈎骨のみと連なる。関節包は共通で関節腔は互いに通じている。

Ligg. carpometacarpalia dorsalia(背側手根中手靱帯)Dorsal carpometacarpal ligaments はいそくしゅこんちゅうしゅじんたい [A03.5.11.302] Feneis: 064 08

 手根中手関節の補強靱帯として背側面に背側手根中手靱帯があり、遠位手根骨と中手骨底を結ぶ。関節は殆ど動かない。

Ligg. carpometacarpalia palmaria(掌側手根中手靱帯)Palmar carpometacarpal ligaments しょうそくしゅこんちゅうしゅじんたい [A03.5.11.303] Feneis: 064 09

 手根中手関節の補強靱帯として掌側面に掌側手根中手靱帯があり、遠位手根骨と中手骨底を結ぶ。関節は殆ど動かない。

Articulatio carpometacarpalis pollicis(母指の手根中手関節)Carpometacarpal joint of thumb ぼしのしゅこんちゅうしゅかんせつ [A03.5.11.304] Feneis: 064 10

 母指の手根中手関節は第1中手骨底と大菱形骨との間にある典型的な鞍関節である。大菱形骨の関節面は掌背方向に凸で内外方向に凹、かつ凸の曲面の方が半径が小さい。第1中手骨の関節面は掌背に凹、左右に凸の曲面をもつ。関節包は他の手根中手関節とは独立し、広く緩い。関節包靱帯は掌側より背側が強く、特に大菱形骨の外背部から第1中手骨中央部へ向かって扇状に張る線維束(背側手根中手靱帯の一部とみてよい)は母指の対立運動に多少制限的に働く。互いに直交する2つの軸を中心として屈伸と内転(母指を第2指に近付ける)、外転(母指を第2指から離す)を行う。また屈伸と内外転の組合せに少しの回旋を伴った描円運動も行う。

Articulationes intermetacarpales(中手間関節)Intermetacarpal joints ちゅうしゅかんかんせつ [A03.5.11.401] Feneis: 064 11

 中手間関節は手根中手関節とその関節腔が共通し関節包も共同のもので、第2,3,4,5中手骨底の向かい合った隣接面の間の平面関節で、関節腔はせまく、また手根中手関節と交通する。ただし第3~4中手骨底間では関節面が掌背2部に分離している。そのうち、背側の物のみが手根中手関節に続いている。可動性はない。次の靱帯が付随している。(1)背側中手靱帯(2)掌側中手靱帯 両者はそれぞれ背側と掌側にあって中手骨底の間を横走して連結する。(3)骨間中手靱帯は、中手間関節の関節腔の遠位端において各中手骨底を結ぶ。

Ligg. metacarpalia dorsalia(背側中手靱帯)Dorsal metacarpal ligaments はいそくちゅうしゅじんたい [A03.5.11.402] Feneis: 064 12

 背側中手靱帯は隣接する中手骨底間を結ぶ。

Ligg. metacarpalia palmaria(掌側中手靱帯)Palmar metacarpal ligaments しょうそくちゅうしゅじんたい [A03.5.11.403] Feneis: 064 13

 掌側中手靱帯は隣接する中手骨底間、または間を1つ越えた中手骨底間を結ぶ。掌側手根中手靱帯とも癒合する。

Ligg. metacarpalia interossea(骨間中手靱帯)Interosseous metacarpal ligaments こつかんちゅうしゅじんたい [A03.5.11.404] Feneis: 064 14

 骨間中手靱帯は関節腔より末梢で中手骨間を横または斜めに結ぶ。第1~2中手骨間のものは第1中手骨底から起こり、第2中手骨底の掌側寄りと背側寄りに着くY字形の靱帯で、背側に向かう線維束が強く、母指の外転に際して緊張する。

Spatia interossea metacarpi(中手骨間隙)Interosseous metacarpal spaces ちゅうしゅこつかんげき [A03.5.11.405] Feneis: 064 15

 隣接する中手骨体の間の間隙で、背側および掌側骨間筋によってみたされる。

Articulationes metacarpophalangeae(中手指節関節)Metacarpophalangeal joints ちゅうしゅしせつかんせつ [A03.5.11.501] Feneis: 064 16

 MP関節ともよばれる。中手指節関節は中手骨頭と基節骨底との間の関節で、関節腔は各指で独立している。中手骨頭が球面上をなすから関節面の毛板からは球関節に似るが、側副靱帯などによる運動性限をうけて、機能的には2軸性の顆状関節に属し、指の屈曲、伸展、内転、および描円を行う。関節包は比較的ゆるいが、その背側面は総指伸筋腱が膜状に拡がったものからなり、掌側面は浅および深指屈筋の腱を容れる手指に線維鞘と固く着く。また関節包靱帯として、背面の線維は側副靱帯を作り、掌側面に走る線維は掌側靱帯を作る。関節包の表面には次の補強靱帯がある。(1)側副靱帯:関節包の内外両側面にあって、やや掌側に傾いた走行をとる。(2)掌側靱帯:関節包の掌側面で、二つの側副靱帯の間にある。その表面は指にいたる屈筋腱のための溝をつくり、またその線維鞘と溝の両側で癒合している。(3)深横中手靱帯:第2指から第5指にいたる各中手骨頭の掌側面を互いに結合する横走線維束で、掌側靱帯と癒合する。またこの靱帯の表層を虫様筋が、その背側を掌側および背側骨間筋が通る。

Ligg. collateralia(中手指節関節の側副靱帯)Collateral ligaments of metacarpophalangeal joints ちゅうてしせつかんせつのそくふくじんたい [A03.5.11.502] Feneis: 064 17

 側副靱帯は各関節の橈側および尺側を強める。中手骨頭の側面にある小さな隆起とくぼみから起こり、やや掌側に向かう斜めの走行をとって基節骨底に着く。

Ligg. palmaria(中手指節関節の掌側靱帯)Palmar ligaments of metacarpophalangeal joints ちゅうしゅしせつかんせつのしょうそくじんたい [A03.5.11.503] Feneis: 064 18

 掌側靱帯は側副靱帯よりさらに掌側の方に放散する。側縁は側副靱帯とまじり、掌側面では手指の線維鞘のややへこんだ底を作る。この溝状の底の部分は線維軟骨性のかたい掌側板となり、基節骨の底とはかなり固く、中手骨とはきわめて緩く結合する。この掌側板は関節窩の掌側部を作るが、基節骨底に結合するところでは屈折が出来るので、中手指節関節の屈曲をさまたげることはない。

Lig. metacarpale transversum profundum(深横中手靱帯)Deep transverse metacarpal ligament しんおうちゅうしゅじんたい [A03.5.11.504] Feneis: 064 19

 深横中手靱帯は第2~5中手骨頭間の掌側にある帯状の強い小靱帯である。中手指節関節に着くところでは掌側靱帯の線維とまじり合い、手指の線維鞘と固く着く。骨とは直接に結合しない。この靱帯の背側に骨間筋(その筋膜とこの靱帯とは癒着している)、掌側に虫様筋が位置する。

Articulationes interphalangeae manus(手の指節間関節)Interphalangeal joints of hand てのしせつかんかんせつ [A03.5.11.601] Feneis: 064 20

 IP関節とも呼ばれる。手の指節間関節は各指の指節の骨の間の関節である。基節骨および中節骨の頭は前後に溝が走る滑車状、それに対する中節骨および末節骨の底は前後に走る稜で2分されたくぼみで、典型的な蝶番関節である。関節包の背部は中手指節関節におけると同様に、指伸筋の腱によって補われる。掌側面は指屈筋の腱鞘の底にあたり、ここでも掌側板がある。手・足とも配列や機能は同じ。母指の基節骨と末節骨、第二~第五指の基節骨と中節骨および中節骨と末節骨の間の片側で計9個の関節がある。各指において近位の指骨の頭と遠位の指骨の底が向かい合っている。最も典型的な蝶番関節で、指の屈伸を行う。関節包の両側に側副靱帯があり、掌側面に掌側靱帯があり、その配列は、中手指節関節の場合と同じ。運動は屈曲のみを行う。基節-中節間は110~130°、中節-末節間は65~90°、いずれも示指に最小で、小指に最大である。母指の指節間は90°の掌側への屈曲を行う。基節骨と中節骨との間にある指節間関節を近位指節間関節(PIP関節)proximal interpharyngeal jointといい、中節骨と末節骨との間にあるものを遠位指節間関節(DIP関節)distal interpharyngeal jointという。

Ligg. collateralia(手の指節間関節の側副靱帯)Collateral ligaments of interphalangeal joints of hand てのしせつかんかんせつのそくふくじんたい [A03.5.11.602] Feneis: 064 21

 側副靱帯は近位の篩節骨頭の指筋骨頭の側面にあるくぼみから遠位の指節骨底に至る線維束で、指節の屈指運動の支点となる。側副靱帯は中手骨頭から基節骨に向かって扇状に広がり、指を伸ばす時はゆるみ、指を曲げる時には緊張する。このため、屈曲時には内・外転は阻止される。たとえば拳を握る時には、指を外転、すなわち側方にひろげることはできない。

Ligg. palmaria(指節間関節の掌側靱帯)Palmar ligaments of interphalangeal joints of hand しせつかんかんせつのしょうそくじんたい [A03.5.11.603] Feneis: 064 22

 掌側靱帯は関節包の掌側面に放散する。

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