一般解剖学

系統解剖学



最終更新日: 12/05/14

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Ossa; Systema skeletale(骨、骨格系)Bones こつ、こっかくけい [ A02.0.00.000] Feneis: 398 29, 398 30

 これまでの解剖学用語(Nomina Anatomica)では骨、骨格系(Ossa; Systema skeletale)を骨学(Osterlogia)と呼んでいた。 からだの支柱をなす「骨ぐみ」である。多数の「骨」といくらかの「軟骨」がその構成単位をなす器官であり、これらが多くは関節によって可動的に連結されている。骨格には昆虫や甲殻類に見られるような外骨格と、脊柱動物にみられるような内骨格とがある。内骨格の構成単位をなすものは骨という器官で、人体では骨の数は200あまりである。しかし、頭蓋の上部をつくる骨、顔面の骨の大部分、上肢帯の鎖骨は、本来は外骨格性の皮骨が動物の発達の過程で沈下して、内骨格の一部となったものと考えられている。これらの皮骨性の骨は、その形成から見て、その主要部が結合組織からすぐ骨組織がつくられたもの(結合組織骨、膜骨)であって、内骨格性の骨が先に軟骨性の原基を経て骨になる(原始骨、置換骨)のとは区別される。骨組織や軟骨組織は身体の支柱であり、筋とともに身体各部の運動を引き起こす。この支柱を骨格系といい、骨格系と関節系、および骨格筋を合わせて運動器という。また、頭蓋や脊柱はなかに中枢神経組織(脳と脊髄)を入れて、それを保護し、胸郭や、骨盤は内蔵の一部を入れて保護する。骨格系はカルシウムやリンなどの重要な鉱質の貯蔵庫でもある。身体の多くの器官が正しく機能するためにはカルシウムが必要で、血液と骨組織の間で絶えずカルシウムの交換が行われている。また、骨の内部は血液細胞の産生の場である。

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Textus osseus(骨組織)Bone tissue; Osseous tissue こつそしき

 骨組織は骨細胞osteocytes、基質、膠原細線維、接合質および種々の塩からなっている。特殊な分化を遂げた結合組織の一種で、その特徴は豊富な細胞間質(骨基礎質という)にカルシウム塩類を主とする無機塩類が沈着し、固有の硬さをもっていることである。基質成分の大部分は結合性のハイドロキシアパタイトで、ここの結晶は厚さ1.5~3nm、長さ10nmの板状ないし長杆状で、線維の長軸に沿って配列する。その他かなりの量のクエン酸イオン、炭酸イオンを含む。またカルシウムのほかにマグネシウム、ナトリウムも含まれる。基質に含まれる線維性分(骨線維)は膠原線維で、直径約50~70nm、64~68nmの横縞をもち、骨組織に加わる張力や歪力に対向しうる力学的合理性をもった配列を示す。生細胞性部には骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞の3種類がある。このうち骨基質の中に埋没し、骨基質の維持、血中カルシウム濃度と関連したカルシウム塩類の動員、沈着などの調節に関与する細胞を骨細胞という。骨細胞は扁平な楕円形で、表面に多数の細長い突起をもつ。その先端は隣接する細胞の突起の尖端とネキサスで連結する。骨細胞の細胞体をいれている基質内の小室を骨小腔、細胞質突起のための細管状通路を骨小管という。骨小管のあるものは基質内を貫通する血管路や骨組織内外側の血管周囲腔に向かって開放しているため、これらの小管は立体的に連続した網工系を構成し、骨細胞の栄養、代謝産物の通路として重要な役割を果たす。結合組織の基質にカルシウム塩類が沈着し、骨小腔や骨小管の有機的構築がいられない場合は単なる石灰化(calcification)であって骨化(ossification)とはいわない。塩類は骨に硬さを与える。塩のない、すわなち「脱灰した」骨には屈曲性がある。あまりにも弱い石灰化はビタミン類の不足あるいは内分泌障害が原因である。ビタミン不足は例えば紫外線が体に充分に作用しないため、プロビタミンprovitaminsがビタミンDに変化しないこともによって起こってくるのである。あまりにも弱い石灰化はクル病ricketsのときにみられるような骨軟化osteomalaciaを引き起こす。塩類のみでなく、有機物の構成要素も骨の強固さに関与する。構成要素である有機物が不充分な場合には骨の弾性が失われる。そのような骨はもはや負担に耐えられず骨は折れやすくなる。有機構成要素の破壊は強く灼熱することによって人工的に起こすことができる。

Osteogenesis(骨形成)Osteogenesis こつけいせい

 骨の形成は間葉細胞の特殊化した骨芽細胞による。骨芽細胞は初めは軟らかい基質と膠原線維から成る類骨質という細胞間質を分泌する。骨芽細胞から骨細胞ができてくる。単球由来とされる破骨細胞は骨の改造のさい常に協力して働く。骨の発生はつねに既存の結合組織が骨組織に置換されることによって行われる。これに2種類の様式がある。一つは胎生期の原始結合組織中に直接骨組織ができてくるもので、膜性骨発生(膜内骨化)といい、頭蓋冠を構成する扁平骨、下顎骨の一部、鎖骨などがこの様式をとる。このようにしてできる骨を膜性骨または付加骨という。他の一つは骨形成部にはじめ軟骨のモデルができ、これが骨組織に置き換えられていくもので、軟骨性骨発生または置換骨とよばれる。軟骨内骨化は軟骨の内部に始まり、とくに骨端領域に現れてくる。骨端は長骨の両端にあり、この骨の軸の部分は骨幹といわれる。軟骨外骨化は軟骨膜から始まるが、骨幹に限られている。その過程は結合組織性骨化と同じである。骨端との骨幹の境界には骨端軟骨があり、この軟骨は縦方向の成長に必須のものである。骨端接合部に隣接する骨幹の部分は骨幹端といわれ、骨化の際まず最初に軟骨が造成してくるところである。骨端軟骨の内部では層をなして骨形成過程が進行する。まずはじめ骨端には硝子軟骨質の鮮明な軟骨質の鮮明な軟骨対がみられるが、この帯域は骨端接合部においける骨形成の影響を受けない。この「静止している」軟骨(zone of resting cartilage)に隣接して成長帯zone of proliferating cartilage cellsである柱状軟骨帯がある。ここで分裂によって軟骨細胞の増殖が起こる。その次の層は骨幹に近く位置し、大きな空胞状の軟骨細胞のある成熟骨帯で、ここではすでに石灰化がみられる(予備石灰化帯zone of provisional calcificationとも呼ばれる)。この層に接して軟骨破壊帯zone of caertilage breakdownと骨化帯zone of ossificationが続く。この領域では軟骨は破軟骨細胞によって壊され、骨芽細胞によって置換骨がつくられてくる。ここにはまだ軟骨が所々残っているので、骨幹内にみられる軟骨内骨は骨幹周囲の軟骨外骨化による付加骨とは区別することができる。軟骨内骨は成熟によって2次的に置き換えられていく。軟骨内骨の破壊は遊走してきた破骨細胞によっておこる。結合組織性骨化と軟骨性骨化いずれの様式をとるにせよ、胎生期の原始結合組織のなかで骨組織への骨芽細胞の周辺で膠原線維と有機性基質のみからなり、石灰化していない薄層を骨様組織(Textus osteoideus)とよぶ。

臨床的側面

 骨折 骨折の直後、患者は骨折部位の激痛を感じその部位を使うことができない。骨片がたがいにずれている状況ならば、体表ないし骨表面の輪郭の変形を伴いやすい。その場合の変形の程度、骨片の占める位置などは、原因外力の影響ばかりでなく、骨片に付着している諸筋の牽引作用にも依存する。人体の付き方も変形に影響をあたえるであろう。場合によっては、例えば腸骨では、骨折に伴う変形が起きにくい(腸骨の内・外面ともに広範囲が筋の付着部位なので、骨片は添え木を当てられたように移動できない)。反対に、大腿骨頚の骨折は相当な変形をもたらす。強大な大腿筋による遠位骨折の上方牽引(下肢全体の短縮を招く)、これも非常に強力な外施筋群による遠位骨片の外施(足のつま先が外側に向くようになる)が起きるためである。骨折時にはかなりの量の出血が骨片間、周囲の軟部組織などに起こる。骨折の治癒過程では、骨膜からの線維芽細胞や骨芽細胞、新生血管が重要な役割を果たす。

 クル病 この病気は成長しつつある骨における軟骨部分へのカルシウム沈着が阻害される。すなわち、軟骨細胞が増大し続けるために軟骨領域過剰となり、骨端軟骨板の開大もこれに伴う。骨は強度が不十分であるから、圧力に応じ弯曲する。その結果、肋骨軟骨連結部の隆起や下肢の成長の弯曲、前頭骨突出、骨盤骨変形などが生じる。 骨端軟骨板異常 骨端軟骨板は成長期の骨において、骨の長さの増大をもたらすために重要である。この場所をしめる硝子軟骨が外傷、感染、食事、運動、内分泌障害などによる悪影響を受ければ、骨変形や骨機能不全を来す。例えば大腿骨では、過度の荷重や機械力ストレスのために近位骨端軟骨板が滑脱してしまうことがある。骨端軟骨板への過大な血流供給(感染あるいは腫瘍の存在により起きるもの)が、四肢の長さを異常に増加させることもある。骨端軟骨板への血流が外傷後に不足する状態が続けば、四肢は短くなる。

Nomina Generalia(骨格系の一般用語)General terms ほねのいっぱんようご

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Pars ossea(骨部)Bony part こつぶ [A02.0.00.001] Feneis: 398 31

 骨は生きた組織であり、力の作用を受けて形を変える能力を有している。骨は結合組織の一種であり、細胞、線維、基質の3成分からなる。骨は細胞間質部分に石灰沈着を示すために下腿が、一方線維成分を有するためにある程度の弾力性をもそなえている。骨にはまず保護作用がある。例えば頭蓋骨と脊柱とはそれぞれ脳と脊髄とを保護し、胸骨や肋骨は胸部および上腹部内臓を保護する。骨は上下肢の長骨について考えればすぶわかるように、丈夫なテコとしても作用する。骨は体内のカルシウム塩の貯蔵場所ともなっており、さらには造血組織である骨髄を内部に宿している。骨は緻密骨と海綿骨の2種の存在様式を示す。緻密骨は密な骨質であり、海綿骨は網目をなす骨質の薄い板(骨稜)が疎に配列したものである。骨梁はしかしその主成分がそこに負荷される機械力の向きに合致するような組立を示す。 

Substantia corticalis(骨の皮質)Cortical bone こつのひしつ、ひこつ [A02.0.00.002] Feneis: 398 34

 骨端の表層は緻密質につづく薄い皮質で、骨の皮質とよばれている。 

Substantia compacta(骨の緻密質、緻密骨)Compact bone こつのちみつしつ、ちみつこつ [A02.0.00.003] Feneis: 398 35

 骨が密な骨組織だけでできていると、われわれの身体は非常に重くなってしまう。大きな骨では外層だけが緻密質で出来ている。 

Substantia spongiosa; Substantia trabecularis(海綿骨、小柱骨)Spongy bone かいめんしつ、しょうちゅうしつ [A02.0.00.004] Feneis: 398 36

 骨の内部の大部分は細い骨梁からなる海綿質でできている。海綿質は、外力の影響を受けて、適切な数の骨梁が形成されており、骨の強度を生み出している。骨の内腔は「曲げ」に対する抵抗力にはあまり貢献していない。しかし内腔があるおかげで骨の重量は著しく軽減されており、われわれの骨格の重量は平均してわずか7kgに過ぎない。内腔の骨梁間の腔所(骨髄腔)は、骨髄がつまっている重要な場所である。

Pars cartilaginea(軟骨部)Cartilaginous part なんこつぶ [A02.0.00.005] Feneis: 398 37

 軟骨はゲル状基質に細胞と線維が埋まった形の一種の結合組織である。基質がゲル状であるために軟骨の硬さと弾力性が生じる。関節面で関節軟骨が露出する場合を除き、軟骨の表面はすべて軟骨膜とよばれる線維性膜で被われる。3種類の軟骨(硝子軟骨、線維性軟骨、弾性軟骨)を区別する。硝子軟骨は豊富な基質を有するが、その基質の光屈折率が基質内に埋もれた線維成分のそれと同程度であるという特徴を示す。小児期および思春期個体では硝子軟骨は長骨の骨端軟骨をなして、個体の成長に重要な役割を果たす。また硝子軟骨は機械力に対する抵抗性が大であり、ほとんどすべての滑膜関節における関節面を被う材料として用いられている。硝子軟骨は再生不能であって、それにいったん傷つくと傷の部分は線維性組織で埋められる。線維性軟骨は比較的少量の基質中に豊富な膠原線維が埋められた形となっている。関節円板(顎関節、胸鎖関節、膝関節などの)や鎖骨、下顎骨の関節面を被う軟骨として存在する。線維性軟骨が損傷を受けた場合は、徐々にではあるが一般の線維性結合組織におけるのと似た方法で修復される。ただし関節円板は血流に乏しいため、いったん損傷すると修復不可能である。弾性軟骨は基質内に埋められた大量の弾性線維を有する。したがってこの種の軟骨は弾性に富み、耳介、外耳道、耳管、喉頭蓋などに分布している。弾性軟骨の損傷部は線維性組織で置き換えられる。個体の老化に伴い、硝子軟骨と線維性軟骨は石灰化ないし骨化の傾向を示す。[臨床]クル病では成長しつつある骨における軟骨部分へのカルシウム沈着が阻害される。すなわち、軟骨細胞が増大しつづけるために軟骨領域過剰となり、骨端軟骨板の開大もこれに伴う。骨は強度が不十分であるから、圧力に応じ弯曲する。その結果、肋骨肋軟骨連結部の膨隆や下肢の長骨の弯曲、前頭骨突出、骨盤骨変形などが生ずる。 

Pars membranacea(骨の膜部)Membranous part こつのまくぶ [A02.0.00.006]

 骨、軟骨を被う強靱な結合組織性の膜部。 

Periosteum(骨膜)Periosteum こつまく [A02.0.00.007] Feneis: 398 32

 骨の表面を被う強靱な結合組織性の膜で、関節部では関節包に続く。Sharpey線維で骨と結合する一方、骨に付着する腱や靱帯の線維は骨膜に放散して一部は骨質に侵入する。この付着部は骨膜はしばしば線維軟骨化している。骨膜は骨の太さの成長にあずかり、成体でも骨の再生・修復の能力がある。その血管は緻密質内の血管と連絡し、また骨膜は知覚神経に富む。骨膜は胎生期から青年期に至るまでは、骨の表面に骨質を新生することによって骨の太さの成長をいとなんでいるが、骨の成長が止むと多数の細血管を骨質の中に送り込んで、その栄養を助けている。しかし成人においても、骨折や手術で骨が損傷を受けると骨膜は若返って再び造骨機能を取り戻し、骨質の新生を行う。骨膜と骨質との結合は至って丈夫で、丈夫なピンセットを使っても、剥がしにくいことが多い。それは骨膜が骨の表面に付着しているだけでなく、その結合組織線維が骨質の中に侵入しているからである。こうして骨膜はまた筋と骨の結合の媒介をしている。 

Perichondrium(軟骨膜)Perichondrium なんこつまく [A02.0.00.008] Feneis: 398 38

 滑膜性関節の関節軟骨以外のすべての軟骨を被覆する厚い線維結合組織の層。 

人体の骨格

 人体の骨格は頭を含む体幹にある部(軸骨格)と体肢にある部(付属肢骨格)とに大別しうる。軸骨格には頭蓋(23個)、脊柱(26個)、胸郭(25個)があり、付属肢骨格には上肢(64個)、下肢(62個)の骨が含まれ、総計約200個の骨から成る。しかし、この数は年齢や個人により骨の癒合状態が異なることから一定ではない。 

Skeleton axiale(軸骨格、軸性骨格)Axial skeleton じくこっかく、じくせいこっかく [A02.0.00.009] Feneis: 398 39

 体軸にある骨格を軸骨格とよぶ。頭蓋骨、脊柱、肋骨および胸骨のこと。 

Skeleton appendiculare(付属肢骨格、付属性骨格)Appendicular skeleton ふぞくしこっかく、ふぞくせいこっかく [A02.0.00.010] Feneis: 034 00, 398 40

 軸骨格に付属するので付属骨格とよぶ。上肢骨と下肢骨のこと。 

骨の形状による分類

 骨には形状によって長骨・短骨・偏平骨・不規則骨などにわけられる。このほかに含気骨、種子骨などがある。 

Os longum(長骨)Long bone ちょうこつ [A02.0.00.011] Feneis: 398 41

 長骨は管状骨ともいう、上腕骨や大腿骨のように長い骨で、長い管状の骨幹の両端に膨らんだ骨端がある。表面から見ると長骨は緻密な骨(緻密質)から出来ているように見えるが、その内部は疎な構造物(海綿質)になっていいて、骨髄が入っている。長骨は一般に筋によってテコとして動かされ、主として体の支持・移動や運動に役立つ。 

Os breve(短骨)Short bone たんこつ [A02.0.00.012] Feneis: 398 42

 短骨は足根骨や手根骨のような立方形ないし積み木状短い骨をいう。その緻密質は長骨より薄く、明瞭な境界なしに海綿質に移行している。短骨は一般に手根(てくぶ)や足根(あしくび)にみられるように1個ではなく数個が集まり、運動は限られるが、強くかつ弾性をもつ骨格をつくる。

Os planum(扁平骨)Flat bone へんぺいこつ [A02.0.00.013] Feneis: 398 43

 扁平骨は扁平な骨である。2層の硬い緻密質に挟まれて、薄い海綿質が存在する。頭蓋骨のほかに、胸骨、肋骨、肩甲骨、腸骨などが扁平骨に属する。偏平骨は頭蓋冠をつくる前頭骨や頭頂骨のように内腔を囲み保護するとともに、その広い表面は筋の付着面ともなる。 

Os irregulare(不規則骨、不規則形骨)Irregular bone ふきそくこつ、ふきそくけいこつ [A02.0.00.014] Feneis: 398 44

 不規則骨は形が不規則で椎骨や下顎骨などの顔面頭蓋の多くの骨が属する。 

Os pneumaticum(含気骨)Pneumatized bone がんきこつ [A02.0.00.015] Feneis: 398 45

 重量を軽減するため、頭蓋骨の一部の骨には空気が入る副鼻腔があり、内面は粘膜で覆われている。このような骨を含気骨といい前頭骨、篩骨、蝶形骨、上顎骨などがある。、鳥類ではとくに含気骨が発達している。 

Ossa sesamoideum(種子骨)Sesamoid bone しゅしこつ [A02.0.00.016] Feneis: 052 32

 種子骨は腱あるいは腱と癒着している関節包に出現する骨片であるが、骨化の程度はまちまちで大部分が線維軟骨性の場合もある。摩擦に抵抗するために生じた物で、その腱が接している骨部と関節する。手、足の腱に多くみらえるが、膝蓋骨は靱帯の人体中最大の種子骨である。一般に腱が骨の突起などの直上を通り、しかも頻繁に移動する部位に生じ、摩擦を防ぐ働きがある。関節部などで、骨に接して通過する腱の中に生じた骨片で、その骨と関節して摩擦に抵抗する。骨化の程度はまちままちで大部分が線維軟骨性のこともある。関節面は関節軟骨におおわれる。母指の中手指節関節部など手・足に多くみられ、豆状骨、膝蓋骨も種子骨である。 

骨幹と骨端 

Diaphysis(骨幹)Diaphysis こつかん [A02.0.00.017] Feneis: 398 47

 長骨の幹の部分を骨幹という。骨幹は直接に外力を受けることが多いので、これに対応して表層部は強固な緻密骨でできる。緻密骨は骨幹の中央で最も厚く、重量の負荷が大きい部でも厚い。 

Epiphysis(骨端)Epiphysis こつたん [A02.0.00.018] Feneis: 398 46

 epiphysisは、「~の上に」を意味するギリシャ語の接頭詞epiに、「成長する」という意味のギリシャ語phyeinを付けたもので、「上に向かって成長したもの」という意味である。 長骨の両端部をいい、骨幹とは別に骨化中心を生じて形成される。成長中は骨幹との間に骨端軟骨があって、骨の長さの成長にあずかる。両端部以外の突起や短骨・扁平骨などの突起、また扁平骨の辺縁部などにも、独立した骨化中心を生ずるものがあり、これらも広義の骨端である。 

Cartilago epiphysialis(骨端軟骨)Epiphysial cartilage こつたんなんこつ [A02.0.00.019] Feneis: 398 49

 骨幹と骨端は軟骨性の骨原基中でそれぞれ別個の骨化中心から形成される。両者の間には板状の骨端軟骨が介在し、若年者ではそのその部で骨の長軸の成長が行われる。この時期には骨端軟骨を挟んで骨端側と骨幹側に薄い骨質が存在するが、軟骨の成長が停止すると、両側の骨質板との境界から内部に向かって軟骨基質に石灰化が進行する。その後、この石灰化軟kのつと両側の骨質板との境界から内部に向かって軟骨基質に石灰化が進行する。その後、この石灰化軟骨と両側の骨質板に部分的な破壊と吸収が起こり、それが拡大するとともに新しい骨梁の形成もあって、骨幹と骨端の内部構造はひと続きのものとなり、骨は完成する。このとき、骨化した骨端軟骨の一部が骨端線として残ることがある。[臨床]骨端軟骨板は成長期の骨において、骨の長さの増大をもたらすために重要である。この場所を占める硝子軟骨が外傷、感染、食事、運動、内分泌障害などによる悪影響を受ければ、骨変形や骨機能不全を来す。例えば大腿骨では、過度の荷重や機械力ストレスのために近位骨端軟板への血流が外傷後に不足する状態が続けば、四肢は短くなる。 

Lamina epiphysialis(骨端板、成長板)Epiphysial plate こつたんばん、せいちょうばん [A02.0.00.020]

 骨端線と同義語。 

Linea epiphysialis(骨端線)Epiphysial line こつたんせん [A02.0.00.021] Feneis: 400 01

 X線像で骨端接合部が閉鎖した後に、1条の細い線が残って見えるが、これは骨端接合部瘢痕(骨端線)といわれる。 

Metaphysis(骨幹端)Metaphysis こつかんたん [A02.0.00.022] Feneis: 398 48

 骨幹のうち骨端に近接する通常太い部分を骨幹端とよぶことがある。骨端の関節面は硝子軟骨の薄い層で覆われており、他の骨と関節する場合に摩擦を軽減するのに役立っている。骨幹端は、骨端軟骨に接する骨幹の端で、この部位で骨端軟骨によって骨の長さの成長が行われる。[臨床]骨幹端には、周囲からとくに多くの血管が進入し、豊富な血液供給がみられる。とくに大きな長骨の骨幹端は臨床的に骨髄炎などの感染が後発する後発する部位である。 

骨表面の性状

 骨の表面は関節面では軟骨で被われ平滑になっている。また、筋が広く付着する面も比較的平滑である。これに対して靱帯や腱の付着面は、その線維が骨質内に進入するために粗となっている。そのほか、骨の表面には、種々の突出隆起・陥凹や孔などがみられる。これらの表面構造はそれぞれ機能的に意義をもつ。 

Apophysis(骨突起、突起)Apophysis こつとっき、とっき [A02.0.00.023]

 英独ではあまり使われず、I.N.Aでは削除され、B.R.にも採用されなかった。種々のやや異なった意味に用いられる。(1)最も広義には骨面からの突出・隆起をすべて総称し、線状隆起や関節頭までも含まれる。(2)きわだった骨の突出部でProcessusとほぼ同義(独立した骨化中心から生じずるときは癒合が完成した後はじめてApophysisとよぶ定義もある)。(3)独立した骨化中心をもたず、骨の延長として生ずる突起。英独ではこの意味に使う方が多い。(4)逆に突起のうち独立の骨化中心から形成されたものをいうこともある。仏では(2)(ときに(1))の意味に広く用い、多くの突起がapophyseを冠する。P.N.A.のApophysisがどの意味か明らかではない。 

Tuber(隆起)Tuber りゅうき [A02.0.00.024]

 骨の小さい突出部。(例:オトガイ隆起・内外後頭隆起など)。解剖学会では日本語で隆起と結節との用い方がまちまちであったのを統一して、概して大きい方のTuberを隆起、小さい方のTuberculumを結節とした(昭和33)。 

Tuberculum(結節)Tubercle けっせつ [A02.0.00.025]

 周囲から比較的はっきりと区別された肥厚部。骨の表面から飛び出しているが鈍端を呈するもの。比較的おおきなものをTuberと呼ぶ。(例:オトガイ結節・耳介結節など) 

Tuberositas(粗面)Tuberosity そめん [A02.0.00.026]

Eminentia(隆起)Eminence りゅうき [A02.0.00.027]

 骨の小さい突出部。 

Processus(突起)Process とっき [A02.0.00.028]

 表面から突き出している部で、多く骨に用いられるが、内臓その他の軟部に対してもちいられることがある。例:乳様突起・鈎状突起(膵臓)など。 

Condylus(顆状、顆)Condyle かじょう、か [A02.0.00.029]

 骨の一部で丸みをおびた突出部をさし、本来指などの関節のふしをいう。通常、隣接する骨と隣接する骨と関節する。(例:後頭顆・大腿骨や脛骨の骨の内側果・外側果など) 

Epicondylus(上顆)Epicondyle じょうか [A02.0.00.030]

 顆の上位にある突起で、筋または靱帯が停止する。 

Crista(稜)Crest りょう [A02.0.00.031]

 山の稜線を想定すればわかるように、比較的長く伸びている隆起をいう。(例:腸骨稜・膨大部稜など) 

Linea(線)Line せん [A02.0.00.032]

 線状をなしている体部で、骨にも軟部にも用いる。(例:顎舌骨筋線・白線など) 

Incisura(切痕)Notch せっこん [A02.0.00.033]

 骨または器官の辺縁における刀でえぐったような弯入部。(例:下顎切痕・坐骨切痕・肺の心切痕など) 

Fossa(窩)Fossa か [A02.0.00.034]

 表面から陥凹している場所。(例:側頭下窩・犬歯窩・腋窩・卵円窩など。なおfoveaというラテン語も窩と訳されているが、これはfossaより浅いものをさすことが多い) 

Sulcus(溝)Groove こう、みぞ  [A02.0.00.035]

 細長い陥凹部、みぞ。(例:顎舌骨神経溝・分界溝など) 

Facies articularis(関節面)Articular surface かんせつめん [A02.0.00.036] Feneis: 400 02

 関節に関与する骨端の関節面は関節軟骨という硝子軟骨でおおわれており、また関節を補強する靱帯も多数ある。 

Cavitas medullaris(髄腔)Medullary cavity ずいくう [A02.0.00.037] Feneis: 400 03

 骨幹部は管状で、厚い緻密骨からなる緻密質が広い髄腔を囲む。髄腔と海綿質の網目の小腔とは造血組織である骨髄で満たされる。 

Endosteum(骨内膜)Endosteum こつないまく [A02.0.00.038] Feneis: 398 33

 骨髄と骨質を境しまたはHarvers管の内面を被うごく薄い結合組織層をとくにこう呼ぶことがある。骨の成長中には骨芽細胞または破骨細胞があって骨質の新生と吸収による骨の再構築にあずかる。 

Medulla ossium(骨髄)Bone marrow

 骨髄は骨の内部、すなわち長骨の髄腔や骨端およびその他の骨の海綿骨の小柱骨の間を満たす組織で、血球を賛成する造血組織である。発育期にある幼小児の骨髄はすべて赤色骨髄で占められているが、成長ともに長骨の骨髄には黄色骨髄が次第に増加する。7歳以後、黄色骨髄は上肢の長骨の遠位側から近位側に向かって次第に増加し、成人では、赤色骨髄は主として体幹の骨(頭蓋骨・椎骨・胸骨・肋骨)および上肢帯・下肢帯の骨(寛骨など)と上肢・下肢では上腕骨・大腿骨の海綿質の近位端に限られる。骨髄は骨髄腔および海綿質を満たす軟らかい組織で血球をつくる大切な場所である。胎生期や乳児期にはほとんどすべてが赤色骨髄であるが、成長とともに黄色骨髄におきかわり、成人では半量に達する。赤色骨髄は造血(血球新生)が行われる場所であるが、黄色骨髄は赤色骨髄が脂肪化して造血能力を失ったものである。さらに年をとると、黄色骨髄の脂肪組織は変性、萎縮し、骨髄はゼラチン様になる。これを膠様骨髄という。また、結合組織繊維におきかわったものを線維骨髄という。骨の栄養孔から入った動脈は何回も枝分かれし赤色骨髄のなかで洞様毛細血管(sinusoid capillary)となる。この血管は内腔が広いこと、内皮を血球が通りぬけること、内皮細胞に食作用の能力(phagocytic activity)があることを特徴とする。洞様毛細血管の外は造血組織になっており、ここでつくられた血球のうち、完成した血球だけが内皮をくぐりぬけ血管内にでるが、そのメカニズムはよくわかっていない。洞様毛細血管は集まって中心静脈となり栄養孔から外へ出る。造血組織は細網細胞と細網線維の網からなる細網組織であり、その網眼を数多くの種々の段階の造血細胞が満たしているのである。骨髄とは血液疾患の診断に際してきわめて大切で、骨髄穿刺によって骨髄をとりだして観察することが行われている。胸骨穿刺が最もよく用いられる。骨髄は骨の本質的構成要素ではない。骨髄のない骨は小型動物(ことに魚類)には至る所にみられ、造血は脾臓や肝臓で行われる。また人体でも、耳小骨のような小骨や鼻腔壁の薄い骨片は骨髄を欠いている。大きな骨でも、頭蓋骨では骨髄の代わりに空気をいれているものがある(含気骨)。これは骨格を軽くするためと考えられ、鳥類では体幹にも含気骨がよく発達している。赤色骨髄は造血組織が仮に骨の中の空間を利用して占拠しているのに過ぎないのである。 

Medulla ossium flava(黄色髄骨)Yellow bone marrow おうしょくずいこつ [A02.0.00.039] Feneis: 400 04

 骨髓は造血作用を失ったものは黄色をしているので黄色骨髓という。長骨の骨端、短骨、扁平骨と不規則骨の骨髓は一生涯赤色骨髓であるが、他の骨髓はおよそ5歳後に黄色骨髓となる。 

Medulla ossium rubra(赤色髄骨)Red bone marrow せきしょくずいこつ [A02.0.00.040] Feneis: 400 05

 骨髓は造血作用を営んでいるものは赤い色を呈しているので赤色骨髓という。長骨の骨端、短骨、扁平骨と不規則骨の骨髓は一生涯赤色骨髓である。 

Foramen nutricium(栄養孔)Nutrient foramen えいようこう [A02.0.00.041] Feneis: 400 06

 どの骨をとってみても、骨の表面には虫が食ったような孔がポツポツとあいている。これらのうち、こまかい孔やくぼみは主としてシャーピーの線維(骨膜から骨質に入り込む結合組織線維)が侵入する孔であるが、輪郭のハッキリした直径1~2mmの丸い穴は細い血管が骨に出入りするためのもので、栄養孔とよばれる。厳密にいえば、これらの孔の開口部が栄養孔で、骨に入り込んだトンネル状の部分は栄養管と名づけられる。この栄養孔ないし栄養管は骨質を貫いて髄腔(骨髄を収容する腔所)に達している。したがって、栄養孔からはいる動脈は主として骨髄を養うが、その枝は髄腔に近い深部の骨質も養う。また栄養孔から出てくる静脈は骨髄と骨からの炭酸ガスや老廃物を運ぶだけでなく、骨髄で形成された新しい赤血球や白血球を末梢血流に導き出す役割を持っているのである。なお骨の表層の緻密質は、骨膜の動脈叢から出る無数の細い枝で養われが、その進入路は非常に細くて肉眼的にはほとんど見分けられない。それぞれの骨における栄養孔の数や位置は、大体の原則はあるものの個体差ははなはだしい。たとえば椎骨では、栄養孔はとくに椎体の表面に多くみられるが、その数・位置・大きさなどは千差万別でる。なお、椎孔をのぞきこんでみると、椎体の後面にはとくに大きい栄養孔(ここを通る主な血管は椎体静脈)を見いだすことができる。 

Canalis nutriens; Canalis nutriens(栄養管)Nutrient canal えいようかん [A02.0.00.042] Feneis: 400 07

 栄養孔につづく管で、骨に入り込んだトンネル状の部分は栄養管と名付けられる。 

骨化 

Centrum ossificationis(骨化点中心、骨化点)Ossification centre こつかちゅうしん、こつかてん [A02.0.00.043] Feneis: 400 08

 骨化はつくられる骨の全域で同時に進行するのではなく、はじめ1ないし数ヶ所で骨化がおこり、しだいに周辺に及んでいく。この最初に骨化がおこる部位を骨化中心または骨化点という。 

Primarium(一次骨化中心、一次骨化点、一次中心、一次)Primary いちじこつかちゅうしん、いちじこつかてん、いちじちゅうしん、いちじ [A02.0.00.044] Feneis: 400 09

一次骨化点は骨幹における骨化点。 

Secundarium(二次骨化中心、二次骨化点、二次中心、二次)Secondary にじこつかちゅうしん、にじこつかてん、にじちゅうしん、にじ [A02.0.00.045] Feneis: 400 10

二次骨化点は骨端における骨化点。


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