一一般解剖学

系統解剖学



最終更新日: 12/05/14

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Ossa; Systema skeletale(骨、骨格系)Bones

Columna vertebralis(脊柱)Vertebral column せきちゅう [A02.2.00.001] Feneis: 002 01

 脊柱は人を含む脊椎動物の体幹の構造上の中心に位置し、体軸となる主要な骨格で、体幹の正中面に含まれる。しかし、その主要部は背に近いところを縦走するが、これは前方に内臓を容れる大きな体腔があるためである。脊柱は24個(上から頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個)の可動性の椎骨と不定形の仙骨(5個の仙椎が癒合して1個の仙骨となる)と尾骨(3~5個の尾椎が全部または一部が癒合して尾骨となる)とからなる。つまり、上下に重なる32~34個の椎骨によってつくられる骨の柱である。基本型として椎骨は短い円柱形の椎体と背側の弓状の椎弓とからなり、その間に椎孔を囲んでいる。生体では各椎体は椎間円板によて結合し、椎孔は上下に連なって脊柱管となり脊髄をいれ、上方は大後頭孔によって頭蓋腔につづく。椎弓からは4種7個の突起がでている。すなわち後面正中線上を後方に棘突起、外側へ1対の横突起、上下左右1対ずつの上関節突起と下関節突起である。また本来、すべての椎骨に対応して肋骨があったが、哺乳類では胸部のほかすべて退化し、頚椎では横突起前結節、腰椎では肋骨突起、仙骨ではの外側部をつくり椎骨の一部となっている。椎弓が椎体と繋がる部分を椎弓根といい、その上縁と下縁は切れ込んでいてる。上椎切痕、下椎切痕といわれ、椎骨が重なるとこれらの切痕は椎間孔をつくり、脊柱管の側方への出口となり、脊髄神経が通る。脊柱の存在は脊柱動物の特性である。初期の魚類では脊索が体の支持器官であったが、その周囲の軟骨が骨化し、一つの体節ごとに脊髄を囲む椎弓、脊索を囲み肋骨をうける管状骨(間椎体)と、その間にある小骨(側椎体)が生ずる。陸上生活が始まると重力に抗するため脊柱が強化され、爬虫類・哺乳類では側椎体は消え、脊索は切れて椎間円板の内に残るのみとなる。直立二足歩行をするヒトでは下位の椎骨ほど大きな力が加わるので大きく、仙骨の下半で急に細くなって終わる。また直立位の荷重のため脊柱を側方からみると、頚部と腰部で前方に凸(前弯)、胸部と仙尾部では後方に凸弯(後弯)している。第5腰椎と仙骨の移行部は鋭く曲がり(120~164度)、岬角という。脊柱の長さは日本人で身長の47.4%(男)、47.3%(女)、欧州人では45%である。脊柱は前後、左右へ屈曲と脊柱の長軸のまわりの回旋運動を行うことができるが、これらの運動はすべて各椎骨間の運動の総和である。各椎骨間での可動性は少ないが、頚椎で最も大きく、腰椎で最も小さい。

 

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Curvatura primaria(一次弯曲、後弯)Primary curvature いちじわんきょく、こうわん [A02.2.00.002]

 脊柱は身体の支柱の役目を負わされているが、大黒柱のようなまっすぐなものではない。脊柱を側方からみると、椎体の前縁を結ぶ線がうねるような曲線を描いている。頚部と腰部では前方にゆるく凸弯し(前弯)、胸部と仙尾部では逆に後方にゆるく凸弯している(後弯)。これらの前弯と後弯はその境界部では自然に移行しているが、腰部の前弯と仙骨部の後弯との境界だけは強い屈曲角を作っている(仙骨の岬角)。胸部と仙尾部の後弯は胎生期にすでにみらえるもので、一次弯曲とよばれる。 

Kyphosis thoracica(胸椎後弯)Thoracic kyphosis きょうついこうわん [A02.2.00.003] Feneis:

 脊柱の一次弯曲で胸部の後弯を胸椎後弯とよぶ。 

Kyphosis sacralis(仙椎後弯)Sacral kyphosis せんついこうわん [A02.2.00.004]

 脊柱の一次弯曲で仙尾部の後弯を仙椎後弯とよぶ。 

Curvaturae secundariae(二次弯曲、前弯)Secondary curvatures にじわんきょく、ぜんわん [A02.2.00.005]

 脊柱の一次弯曲(後弯)に反して前弯は二次弯曲(補正弯曲)であって、頚部の前弯は赤ん坊の首がすらるころと時を同じくして形成され(生後3ヶ月前後)、腰部の前弯は赤ん坊が歩行を始めるころ(満1才前後)に現れる。これらの二次弯曲は人類が直立歩行をするための一つの形態的適応である。 

Lordosis cervicis; Lordosis colli(頚椎前弯)Cervical lordosis けいついぜんわん [A02.2.00.006]

 脊柱の二次弯曲で頚部の前弯を頚椎前弯とよぶ。頚椎前弯は赤ん坊の首がすらるころと時を同じくして形成される。(生後3ヶ月前後) 

Lordosis lumbalis(腰椎前弯)Lumbar lordosis ようついぜんわん [A02.2.00.007]

 脊柱の二次弯曲で腰部の前弯を腰椎前弯とよぶ。腰椎前弯は赤ん坊が歩行を始めるころ(満1才前後)に現れる。 

Scoliosis(側弯)Scoliosis そくわん [A02.2.00.008]

 脊柱を前または後方からみると、ごくわずかではあるが左右に弯曲していてゆるいS字状を呈する。これを側弯という。この側弯はまことにゆるやかな弯曲であるが、胸部でもっともハッキリしている。脊柱が異常に側方に弯曲し、永続的であるものを側弯症という。 

Canalis vertebralis(脊柱管)Vertebral canal せきちゅうかん [A02.2.00.009] Feneis: 002 02

 脊柱管は椎孔が上下に重なり合って出来ている管で、脊髄を入れる。 上は後頭骨の大後頭孔から、下は仙骨の仙骨裂孔までをいい、長さ訳70cmで、中に、脊髄、脊髄膜、脊髄神経根、馬尾等を含む。脊柱管の外側面には椎間孔が左右に存在し、そこから脊髄神経、椎骨動脈、肋間動脈、腰動脈、腸腰動脈、外側仙骨動脈及びそれらと同名の静脈等が出入りする。

Vertebra(椎骨、椎)Vertebra ついこつ、つい [A02.2.01.001]

 椎骨の一般的特徴として、おのおのの椎骨の椎体は前方に位置し、その大きさは配置によって異なる。頚椎は最も小さく、腰椎に向かってしだいに大きくなる。頚椎は大きな椎孔を取りかこんでおり、椎体から後方に向かう2本の椎弓根と椎弓板からなる。椎弓根と椎弓板が合するところからは横突起が外側にでる。椎弓板は正中で合し、後方に向かって棘突起を形成する。椎弓は4つの関節面を持ち、2つは上位の椎孔とほかの2つは塊の椎骨との関節を形成する。椎孔は脊柱管を形成しそのなかに脊髄をいれる。

Corpus vertebrae(椎体)Vertebral body ついたい [A02.2.01.002] Feneis: 002 03

 椎体は椎骨の前部を占める短い円柱で、上下端は平らな面をつくる。上面と下面はやや広いため、椎体を側面から見ると、中央でややくびれている。後面は椎孔の前壁にあたり、縦に走る浅く広い溝となっている。椎体の上下面は椎間円板と固着する硝子軟骨で被われる。この軟骨の周縁部は骨化し、後方部分が欠けた不完全な輪の形の骨端板を作る。加令によりこの骨端板の骨化はさらに進行し、椎体の上下面の縁が側面から水平に突出するようになる。

Facies intervertebralis(椎間面)Intervertebral surface ちかんめん [A02.2.01.003] Feneis: 002 03a

Epiphysis anularis(輪状骨端、環状骨端)Anular epiphysis りんじょうこつたん、かんじょうこつたん [A02.2.01.004] Feneis: 002 03b

Arcus vertebrae(椎弓)Vertebral arch ついきゅう [A02.2.01.005] Feneis: 002 04

 椎弓は椎体から後方に向かって出る鱗状の部で、椎体につく椎弓根と、それより後の板を曲げたような椎弓板に分ける。

Pediculus arcus vertebrae(椎弓根)Pedicle of vertebral arch ついきゅうこん [A02.2.01.006] Feneis: 002 05

 椎弓根は上縁と下縁にある上椎切痕と下椎切痕により、上下から狭められる。多くの椎骨では椎弓板は椎弓根より深く、したがって椎弓根は椎体後面の上端寄りに着くようにみえる。

Lamina arcus vertebrae(椎弓板)Lamina of vertebral arch ついきゅうばん [A02.2.01.007] Feneis: 002 06

横突起と棘突起の間の板を曲げたような椎弓板がある。

Foramen intervertebrale(椎間孔)Intervertebral foramen ついかんこう [A02.2.01.008] Feneis: 002 07

 椎骨をその順位にしたがって連結すると、上の椎骨の下椎切痕と舌の椎骨の上椎切痕は互いに向き合って椎間孔を作る。椎間孔は脊柱管の中にある脊髄から出る脊髄神経の通路となる。椎弓根と椎弓板の移行部が合する椎弓の後端から1本の棘突起が出る。

Incisura vertebralis superior(上椎切痕)Superior vertebral notch じょうついせっこん [A02.2.01.009] Feneis: 002 08

 椎骨を側面からみると、椎弓の根もと(椎弓根)の上面と下面はそれぞれ小刀でえぐられたような曲面をなしている。この上面の切れ込みを上椎切痕とよぶ。

Incisura vertebralis inferior(下椎切痕)Inferior vertebral notch かついせっこん [A02.2.01.010] Feneis: 002 09

椎骨を側面からみると、椎弓の根もと(椎弓根)の上面と下面はそれぞれ小刀でえぐられたような曲面をなしている。この下面の切れ込みを下椎切痕とよぶ。

Foramen vertebrale(椎孔)Vertebral foramen ついこう [A02.2.01.011] Feneis: 002 10

 椎体と椎弓によって囲まれる大きな孔が椎孔であって、ここは脊髄が通る場所である。これの縦の連なりを脊柱管という。

Processus spinosus(椎骨の棘突起)Spinous process of vertebra ついこつのきょくとっき [A02.2.01.012] Feneis: 002 11

棘突起は椎弓の正中線から後下方に向かう長い単一の突起である。

Processus transversus(椎骨の横突起)Transverse process of vertebra つこつのおうとっき [A02.2.01.013] Feneis: 002 12

横突起は外側に向かって突出する1対の突起である。横突起と棘突起は主として多数の背筋の起着転となる。

Processus articularis superior; Zygapophysis superior(椎骨の上関節突起、上脊椎関節突起)Superior articular process of vertebra ついこつのじょうかんせつとっき、じょうせきついかんせつとっき [A02.2.01.014] Feneis: 002 14

 椎弓の根もと近くから上に向かって馬蹄形に突出する1対の突起が上関節突起である。上連結突起という呼称は比較解剖に用いるとき便利である。

Facies articularis superior(椎骨の上関節面)Superior articular facet of vertebra ついこつのじょうかんせつめん [A02.2.01.015] Feneis: 004 03

 上関節面の端に上関節面がる。一般に上関節面は前方に向かい、となりある椎骨が直接接触する面となる。

Processus articularis inferior; Zygapophysis inferior(椎骨の下関節突起、下脊椎関節突起)Inferior articular process of vertebra ついこつのかかんせつとっき、かせきついかんせつとっき [A02.2.01.016] Feneis: 002 15

 椎弓の根もと近くから下方に軽く突出する1対ののものが下関節突起である。下関節突起は(特に上位の胸椎では)突出度が小さい。下連結突起という呼称は比較解剖に用いるとき便利である。

Facies articularis inferior(椎骨の下関節面)Inferior articular facet of vertebra ついこつのかかんせつめん [A02.2.01.017] Feneis: 004 04

下関節突起の端に下関節面がある。下関節面は前方に向かい、となりあう椎骨が直接接触する面となる。

Vertebrae cervicales [CI-CVII](頚椎、第一頚椎~第七頚椎)Cervical vertebrae [CI-CVII] けいつい、だいいちけいつい~だいななけいつい [A02.2.02.001] Feneis: 002 16

 脊柱上部の7個の椎骨。ナマケモノ2種を除くすべての哺乳類の頚椎は7個で共通している。第1頚椎(環椎)と第2頚椎(軸椎)は特異的な形をしているが、他の5個の頚椎は共通の特徴をもつ。第3~第7頚椎は下位のものほど大きいが、椎体は小さくて丈が低く、上・下面は前後に圧平された楕円形をしている。椎弓はやや横に張り出し、椎孔の形は三角形に近く、その内径も大きい。頚椎の横突起は他の椎骨に比して著しく幅が広く、かつ短い。その前半は肋骨の遺残であり、後半は本来横突起であって、上面では両者の間に脊髄神経溝がみられる。横突起の前後両部の間を、横突孔というかなり大きな孔が貫通しており、椎骨動脈が通っている。頚椎の棘突起は台7頚椎を除いて、一般に短小であり、ほぼ水平であるが、下位のものほど斜め後下方に傾斜する。棘突起の尖端は、多くは二分しており、その間を項靱帯が上下に走る(第6頚椎では二分が不明瞭なことがあり、第7頚椎では二分していない)。第7頚椎の棘突起は長大で、尖端が結節状に肥厚しており、皮膚の上から容易に触知できるので隆椎とよばれる。頚椎の上および下関節突起は丈が低く、前者は後上方に、後者は前下方に向かっており、下位の頚椎ほど突起の傾斜が著しい。第7頚椎では横突起の前半部が遊離していることがあり、頚肋という。

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Uncus corporis; Processus uncinatus(頚椎の鈎状突起)Uncus of body of cervical vertebra けいついのかぎじょうとっき [A02.2.02.002] Feneis: 002 17

 第三~七頚椎体の上面では側縁の後部が上方に向かって突出し鈎状突起(椎体鈎)とよばれる。

Foramen transversarium(頚椎の横突孔)Foramen transversarium of cervical vertebra けいついのおうとつこう [A02.2.02.003] Feneis: 002 18

 頚椎の横突起には横突孔と脊髄神経溝とがある。横突孔には椎骨動脈、椎骨静脈が通る。

Tuberculum anterius(頚椎の前結節、前結節)Anterior tubercle of cervical vertebra [けいついの]ぜんけっせつ、ぜんけっせつ [A02.2.02.004] Feneis: 002 19

 第二~七頚椎横突起の根もとが横突孔により前・後の2部分に分かたれた形となっている。そのうち横突孔よりも前方の部分が前結節で元来は肋骨に相当するものが椎骨に癒合したものであり、後方の部分が後結節で本来の横突起である。

Tuberculum caroticum(第六頚椎の頚動脈結節、頚動脈結節)Carotid tubercle だいろくけいついのけいどうみゃくけっせつ、けいどうみゃくけっせつ [A02.2.02.005] Feneis: 002 21

 第6頚椎の前結節は総頚動脈のすぐ後方に位置するので、特に頚動脈結節と呼ばれる。

Tuberculum posterius(頚椎の後結節、後結節)Posterior tubercle of cervical vertebra けいついのこうけっせつ、こうけっせつ [A02.2.02.006] Feneis: 002 20

 第二~七頚椎横突起の根もとが横突孔により前・後の2部分に分かたれた形となっている。そのうち横突孔よりも後方の部分が後結節で本来の横突起である。

Sulcus nervi spinalis(脊髄神経溝)Groove for spinal nerve せきずいしんけいこう [A02.2.02.007] Feneis: 002 22

 第三~七頚椎の横突起にある溝で、横突起の上面は上椎切痕につづく脊髄神経溝となり、ここを椎間孔からでた脊髄神経が通る。脊髄神経溝は第一頚椎、第二頚椎にはない。

Atlas [CI](環椎、第一頚椎)Atlas [CI] かんつい、だいいちけいつい [A02.2.02.101] Feneis: 004 01

 第一頚椎(環椎)は、ほかの頚椎と比べて特殊な形をしていしている。環椎(第一頚椎)には椎体と棘突起は存在せず、短い前弓と長い後弓および外側塊の三つの部分が大きな椎孔を囲んでいる。前弓は椎体の前縁部に相当し、前面中央には前結節が、後面の中央には歯突起窩がある。後弓は椎弓に相当する部分で、後面の中央には棘突起に相当する部分で、後面の中央には棘突起に相当する後結節がある。外側塊は前弓と後弓を結合する分で著しく肥厚している。外側塊からは外側へ向かってかなり大きい横突起が出ており、横突起の基部には比較的内頚の大きな横突孔がある。外側塊の上面には長楕円形の上関節窩が、下面には平らな下関節窩があって、それぞれ後頭骨の後頭顆、軸椎の歯突起がおさめられてりう。後半の部分は本来の椎孔に相当し、三角形状である。頭上に天空を支えるギリシャの神Atlas(Titan)にちなんで命名された。

Massa lateralis atlantis(環椎外側塊、外側塊)Lateral mass of atlas かんついがいそくかい、がいそくかい [A02.2.02.102] Feneis: 004 02

 環椎の強大な外側部分。欠如する椎体の代わりに頭蓋を支える。

Facies articularis superior(環椎の上関節窩、環椎の上関節面)Superior articular surface of atlas かんついのじょうかんせつめん、かんついのじょうかんせつか [A02.2.02.103] Feneis: 004 03

 外側塊の上面には頭蓋の後頭骨をのせる上関節窩(上関節面)という長楕円形のくぼみがある。

Facies articularis inferior(環椎の下関節窩、環椎の下関節面)Inferior articular surface of atlas かんついのかかんせつめん、かんついのかかんせつか [A02.2.02.104] Feneis: 004 04

 外側塊の下面には第2頚椎の上関節面と関節する下関節窩(下関節面)が円形で平坦な面を見せている。

Arcus anterior atlantis(環椎前弓、環椎の前弓)Anterior arch of atlas かんついぜんきゅう、かんついのぜんきゅう [A02.2.02.105] Feneis: 004 05

 環椎は椎体を持たないという転で根本的にほかの椎骨とは異なっている。環椎はしたがって小さい方の前弓と大きい方の後弓からなっている。

Fovea dentis(歯突起窩)Facet for dens しとっきか [A02.2.02.106] Feneis: 004 06

 前弓の後面(椎孔がわの面)には軸椎の枝突起に接する丸い関節面があり歯突起窩と呼ばれる。

Tuberculum anterius(環椎の前結節)Anterior tubercle of atlas かんついのぜんけっせつ [A02.2.02.107] Feneis: 004 07

 前弓の前面中央には前結節が下方に向けて小さく突出している。(環椎での前結節と後結節は他の頚椎の前結節・後結節はまったく違うので注意する)

Arcus posterior atlantis(環椎後弓、環椎の後弓)Posterior arch of atlas かんついこうきゅう、かんついのこうきゅう [A02.2.02.108] Feneis: 004 08

 環椎の長い後弓は椎弓に相当する部分。

Sulcus arteriae vertebralis(椎骨動脈溝)Groove for vertebral artery つこつどうみゃくこう [A02.2.02.109] Feneis: 004 09

 環椎の後弓が外側塊に移行する部位の上面には外前方から内後方に向かう椎骨動脈溝がみられる。椎骨動脈および後頭下神経が通る。津骨動脈溝の後縁の隆起線には環椎後頭膜が着く。この部に椎骨動脈溝を超えて外側塊に至る骨梁を見ることがある。

(Canalis arteriae vertebralis)((椎骨動脈管))(Canal for vertebral artery) ついこつどうみゃくかん [A02.2.02.110]

 椎骨動脈溝の変わりに椎骨動脈管がみられることがある。まれに半分の環椎が両側に分かれ軟骨で結合しているにすぎないことがある。

Tuberculum posterius(環椎の後結節)Posterior tubercle of atlas かんついのこうけっせつ [A02.2.02.111] Feneis: 004 10

 第一頚椎の後結節は棘突起の退化したものであり、第二頚椎以下の後結節は横突起の一部を指すから、同じ後結節でも注意のこと。

Axis [CII](軸椎、第二頚椎)Axis [CII] じくつい、だいにけいついい [A02.2.02.201] Feneis: 004 11

 軸椎(第二頚椎)上半部は特異的な形をしており、犬歯によくにた歯突起が上方に突出している。これは本来環椎の軸体であり、発生の途中、椎体の周辺部から分離し、軸椎体と結合したものである。歯突起の前後面にはそれぞれ前関節面、後関節面があり、前者は軸椎の歯突起窩に、後者は環椎横靱帯と対向する。頭蓋の回旋運動は歯突起を軸とする環椎の回旋運動にによって行われる。椎体上面の上関節面は対向する環椎の下関節面の形によく似て円形平坦である。また、椎弓は強大であり、下椎切痕も著明であるが、上椎切痕は明らかでない。横突起はやや小さく、尖端では後結節だけが認められる。

Dens axis(歯突起、軸椎歯突起)Dens axis しとっき、じくついしとっき [A02.2.02.202] Feneis: 004 12

 軸椎の椎体はその頭側面に歯突起という歯の形をした突起をもっており、この突起は歯突起尖に終わる。

Apex dentis(歯突起尖)Apex of dens しとっきせん [A02.2.02.203] Feneis: 004 13

 歯突起の尖端で、歯尖靱帯の付着点となる。

Facies articularis anterior(軸椎歯突起の前関節面)Anterior articular facet of dens じくついしとっきのぜんかんせつめん [A02.2.02.204] Feneis: 004 14

 軸椎の歯突起の前面には明らかな関節面があり、前関節面という。

Facies articularis posterior(軸椎歯突起の後関節面)Posterior articular facet of dens じくついしとっきのこうかんせつめん [A02.2.02.205] Feneis: 004 15

 軸椎の歯突起の後面に小さい関節面がみられ、後関節面と言われる。環椎横靱帯に対する。

Vertebra prominens [CVII](隆椎、第七頚椎)Vertebra prominens [C VII] りゅうつい、だいななりゅうつい [A02.2.02.301] Feneis: 002 23

 第七頚椎は、頚椎のなかでも最も下にあるだけあって、多分に胸椎に似た性格をおびてくる。椎体の大きさも上位の胸椎と大差がないし、棘突起も長大で、尖端の2部は見られない。上・下関節突起にある関節面の傾斜もかなり急になってきている。第7頚椎の棘突起は、生体で「クビ」を前に曲げたときに最も後方に突出している見えることが多い。そのために第7頚椎は隆椎という別名を持っている。

Vertebrae thoracicae [TI-TXII](胸椎、第一胸椎~第十二胸椎)Thoracic vertebrae [T I-T XII] きょうつい、だいいちきょうつい~だいいちにきょうつい [A02.2.03.001] Feneis: 002 24

 頚椎につづく12個の椎骨で、椎体は下位のほど大きい。胸椎の最も大きい特徴は、肋骨と連結するための関節面を持っていることである。また、椎体の高さは頚椎より高く、腰椎より低い。椎体の外側面後部には肋骨頭に対する関節窩、すなわち、肋骨窩があり、第二~第九胸椎では椎体の上縁と下縁にそれぞれ半円形の上肋骨窩、下肋骨窩がある。第一~第九胸椎では互いに隣り合う胸椎の下および上肋骨窩が1個の関節窩を作り、一個の肋骨頭と関節する。第一胸椎には半円形の下肋骨窩があり、第十胸椎では上関節窩だけが存在する。また、第十一胸椎では椎体の上縁に、第十二胸椎では椎体のほぼ中央に1個の円形の肋骨窩がある。胸椎の椎孔はほぼ円形をしており、頚椎の椎孔に比してかなり小さい。横突起は第八胸椎でもっとも大きく、これより上位または下位の胸椎では、第八肋骨から遠ざかるほど小さくなる。第一~第十胸椎では横突起の尖端の前面に円形の関節面があり、横突肋骨窩という。第十一および第十二胸椎の横突起には横突肋骨窩はみられない。境地の棘突起は三角柱のような形をしていて、第1胸椎から第八胸椎までは下位になるほど傾斜が強くなる。しかし、その後は次第に傾斜が弱まり、第十二胸椎ではほとんど水平である。

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Fovea costalis superior(上肋骨窩)Superior costal facet じょうろくこつか [A02.2.03.002] Feneis: 002 25

 第2~第9胸椎椎体の側面後部の上下両端には半円形の上肋骨窩および下肋骨窩があり、となりあう椎骨の上下のものが合して1個の肋骨頭に対する。その他の胸椎では肋骨との関節状態がこれとは異なる。第1胸椎では上肋骨窩が完全な円である。これは第1肋骨が第7頚椎と結合しないで、第1胸椎とだけ連接するためである。第11と第12胸椎は各1個の完全な肋骨窩をその側面中央部に持つが、第10胸椎には上端に半窩としての上肋骨窩を認めるばかりである。これは下位にある肋骨の連結部が下位の胸椎ほど次第に下方に移り、第11および第12肋骨が第11および第12胸椎のみと連接するからである。

Fovea costalis inferior(下肋骨窩)Inferior costal facet かろくこつか [A02.2.03.003] Feneis: 002 26

 椎弓根下方の椎体にあり、肋骨頭をいれる関節窩。

Fovea costalis processus transversi(横突肋骨窩)Transverse costal facet おうとつろくこつか [A02.2.03.004] Feneis: 002 27

 横突起にあるくぼみである横突肋骨窩は第11・12胸椎では見あたらない。これは第11・12肋骨が特に短いためである。

Uncus corporis vertebrae thoracicae primae; Processus uncinatus vertebrae thoracicae primae(第一胸椎の椎体鈎、第一胸椎の鈎状突起)Uncus of body of first thoracic vertebra だいいちきょうついのついたいこう、だいいちきょうついのこうじょうとっき [A02.2.03.005] Feneis: 002 17

 第1胸椎にしばしば頚椎におけると同様に、椎体の両側に椎体鈎が認められる。

Vertebrae lumbales [LI-LV](腰椎、第一腰椎~第五腰椎)Lumbar vertebrae [L I-L V] ようつい、だいいちようつい~だいごようつい [A02.2.04.001] Feneis: 002 28

 胸椎に続く5個の椎骨で、その椎体はすべて椎骨の中でもっとも強大である。椎体の幅は下位のものほど大きく、高さは第3~第4腰椎で最大である。椎弓も強大で、椎孔の形は三角形状である。腰椎の横突起は本来、この部の肋骨に相当するもので肋骨突起といい、本来の横突起は上関節突起の外側から後方に向かう小さな隆起として残っており、乳頭突起とよぶ。また、肋骨突起の根部の後面には下方に向かう小突起があり、副突起というのが、これも本来の横突起の一部が変形したものである。腰椎の棘突起は幅が広く、短い。側方から見ると、四角な板状でほぼ水平に後方へ突出している。

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Processus accessorius(腰椎の副突起)Accessory process of lumbar vertebra ようついのふくとっき [A02.2.04.002] Feneis: 002 29
A02.2.04.002

 肋骨突起の下縁を根もとの方にたどると、短いつららのような小突起が下後方に突出している。横突起尖端の下部は、その外方から出る小さな棘状の[腰椎の]副突起であって、これこそが本来の横突起の変形したものである。

Processus costiformis; Processus costalis(腰椎の肋骨突起)Costal process of lumbar vertebra ようついのろくこつとっき [A02.2.04.003] Feneis: 002 13

 副突起のすぐ前から側方に長く突出する扁平な突起は腰部の肋骨が癒合したもので、肋骨突起と呼ばれる。

Processus mammillaris(腰椎の乳頭突起)Mammillary process of lumbar vertebra ようついのにゅうとうとっき [A02.2.04.004] Feneis: 002 30

 横突起は短く、後方に向い、上関節突起の外面に癒合して独立した突起をとらない。その尖端の一部の乳頭突起は上関節突起の外面上部より後に突出する鈍円な隆起となっている。

Os sacrum [vertebrae sacrales I-V](仙骨、第一仙椎~第五仙椎)Sacrum [sacral vertebrae I-V] せんこつ、だいいちせんつい~だいごせんつい [A02.2.05.001] Feneis: 004 16

 はじめ分離していた第一から第五までの仙椎は、成人すると癒合して一個の仙骨となり、骨盤の後壁を作る。仙骨では、元来仙椎に存在していた棘突起は正中仙骨稜となり、関節突起は中間仙骨稜となり、横突起は外側仙骨稜となる。さらに最外側部に外側部という部分があり、そこに肋骨遺残物が含まれている。なお本来各椎骨間に左右おのおの一個ずつであるべき椎間孔が、それぞれ前仙骨孔と後仙骨孔とに二分されるので、片側で8個の仙骨後となり、それぞれ脊髄神経の前枝と後枝とを通過させるのも大きい特徴である。外側の耳状面は腸骨の耳状面と関節する。仙骨底(上方にあっても底という)の前方に強く突出した辺縁部を岬角という名称は側頭骨の中耳(鼓室)の内側壁にもあるから注意のこと。4本の横線は5個の仙椎の癒着部を示している。

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Basis ossis sacri(仙骨底)Base of sacrum せんこつてい [A02.2.05.002] Feneis: 004 17

 仙骨底(上端)は幅広く、その中央の主要部は第1仙椎の椎体上面である。

Promontorium(仙骨の岬角)Promontory of sacrum せんこつのみさきかく [A02.2.05.003] Feneis: 004 18

 仙骨底の前縁は強く前方に張り出して岬角をつくる。

Ala ossis sacri(仙骨翼)Ala of sacrum せんこつよく [A02.2.05.004] Feneis: 004 19

 仙骨底の外側には両側に仙骨翼がある。この仙骨翼は外側部の上面に相当し、横突起と肋骨遺残からでできたものである。

Processus articularis superior(仙骨の上関節突起)Superior articular process of sacrum せんこつのじょうかんせつとっき [A02.2.05.005] Feneis: 004 20

 仙骨底の後方には仙骨管への入口があり、その外側には上関節突起が左右に見られ、これは最後の腰椎と関節結合するのに役立っている。

Pars lateralis(仙骨の外側部)Lateral part of sacrum せんこつのがいそくぶ [A02.2.05.006] Feneis: 004 21

 前および後仙骨孔より外側にある部分は横突起、肋骨の遺物ならびにこれらに付着する靱帯からできたもので、外側部という。

Facies auricularis(仙骨の耳状面)Auricular surface of sacrum せんこつのじじょうめん [A02.2.05.007] Feneis: 004 22

 外側部の外側(すなわち、仙骨の外側縁)の上部は厚く、下部は薄い。上部には腸骨と連接する幅の広い半月形の耳状面がある。

Tuberositas ossis sacri(仙骨粗面)Sacral tuberosity せんこつそめん [A02.2.05.008] Feneis: 004 23

 耳状面の後縁に囲まれる部分は腸骨と仙骨を結ぶ靱帯の付着する粗面で、これを仙骨粗面という。

Facies pelvica(仙骨の前面)Pelvic surface of sacrum せんこつのぜんめん [A02.2.05.009] Feneis: 004 24

 仙骨の前面は平滑で凹み、骨盤腔に向かう。

Lineae transversae(仙骨の横線)Transverse ridge of sacrum せんこつのおうせん [A02.2.05.010] Feneis: 004 25

 仙骨の前面の4条の横線は、5個の仙椎椎体の癒合した境である。

Foramina intervertebralia(椎間孔)Intervertebral foramina ついかんこう [A02.2.05.011] Feneis: 004 26

 前仙骨孔は仙骨内の椎間孔の前方の出口で、仙骨神経前枝の出るところである。

Foramina sacralia anteriora(前仙骨孔)Anterior sacral foramina ぜんせんこつこう [A02.2.05.012] Feneis: 004 27

 仙骨前面の横線の両端には4対の前仙骨孔がある。

Facies dorsalis(仙骨の後面)Dorsal surface of sacrum せんこつのこうめん [A02.2.05.013] Feneis: 004 28

 仙骨の後面は不平胆な凸面で、5本の長い高まりが縦に走る。いずれも各仙椎の突起が連なって生じたものである。

Crista sacralis mediana(正中仙骨稜)Median sacral crest せいちゅうせんこつりょう [A02.2.05.014] Feneis: 004 29

 仙骨後面の波状の凹凸を示す正中線にある正中仙骨稜は棘突起およびその間にある靱帯の骨化したものである。

Foramina sacralia posteriora(後仙骨孔)Posterior sacral foramina こうせんこつこう [A02.2.05.015] Feneis: 004 30

 中間線骨稜の外側に接して4対の後仙骨孔がある。これは椎間孔の後方の出口であって、仙骨神経後枝がここから出る。

Crista sacralis medialis(中間仙骨稜)Intermediate sacral crest ちゅうかんせんこつりょう [A02.2.05.016] Feneis: 004 31

 正中仙骨稜の両側にある中間仙骨稜は関節突起とこれに属する靱帯の骨化により生じる。

Crista sacralis lateralis(外側仙骨稜)Lateral sacral crest がいそくせんこつりょう [A02.2.05.017] Feneis: 004 32

 後仙骨孔の外側、すなわち、最外側にある長い高まりを外側仙骨稜といい、横突起とこれに関係した靱帯の骨化したものである。

Cornu sacrale(仙骨角)Sacral cornu せんこつかく [A02.2.05.018] Feneis: 004 33

 中間仙骨稜の下端は下方に延びて仙骨角となる。

Canalis sacralis(仙骨管)Sacral canal せんこつかん [A02.2.05.019] Feneis: 004 34

 脊柱管の下端に相当する。

Hiatus sacralis(仙骨裂孔)Sacral hiatus せんこつれっこう [A02.2.05.020] Feneis: 004 35

 仙骨管の下方への開口を仙骨裂孔という。通常、第三または第四仙椎の高さにある。

Apex ossis sacri; Apex ossis sacralis(仙骨尖)Apex of sacrum せんこつせん [A02.2.05.021] Feneis: 004 36

 仙骨の下端の仙骨尖は第5仙椎の錐体からなり、横楕円形の下面で尾骨と結合する。

 

Os coccygis; Coccyx [vertebrae coccygeae I-IV](尾骨、第一尾椎~第四尾椎)Coccyx [Coccygeal vertebrae I-IV] びこつ、だいいちびつい~だいしびつい [A02.2.06.001] Feneis: 004 37

 尾骨は退化した3~5個の尾椎が融合してできた骨。第一尾椎に相当する部分には椎骨としての特徴がみられ、短い横突起が左右に突起している。また、横突起の基部から上関節突起か後上方に突出し、尾骨角をつくっている。第二尾椎以下の部分は椎体に相当する部分が痕跡的に連なっているにすぎない。胎児期には9個の尾椎の原基が存在するが、胎児の成長と共に下方のものから次第に退化し、結局上方の3~5個の尾椎だけが残るので、尾椎の数には個人差がある。尾椎の癒合したものを尾骨という。第一尾椎の横突起を除き、その他の突起はすべてほとんど退化する。各尾椎間のみならず、仙骨と尾骨との間にも癒合が見られることがある。第一尾椎の下から第一尾神経が出るが、それより下位の脊髄神経はない。

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Cornu coccygeum(尾骨角)Coccygeal cornu びこつかく [A02.2.06.002] Feneis: 004 38

 尾骨角は上間接突起に相当し、仙骨の尾骨角と接す。

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