一般解剖学

系統解剖学



最終更新日: 12/05/30

funalogo.gif (2604 バイト)













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Nervous system(神経系)Systema nervosum

Central nervous system(中枢神経系;神経系中枢部) Systema nervosum centrale

Meninges(髄膜;脳の被膜)Meninges ずいまく;のうのひまく Feneis: 266 11

[A14_1_01_001] →(脳と脊髄をおおう膜。外側から最も強靱な硬膜、脳脊髄液で満たされるクモ膜、および脳の表面に密着する薄い軟膜よりなる。これらの3枚の膜は、さらに部位別に脳硬膜と脊髄硬膜、脳クモ膜と脊髄クモ膜および脳軟膜と脊髄軟膜とに分けられる。)

Pachymeninx; Dura mater(硬膜)Pachymeninx; Dura mater こうまく Feneis: 266 12

[A14_1_01_002] →(硬膜は頭蓋骨の内面に接した膜で、骨膜も兼ねている。血管と神経が多く分布する外側の壁側硬膜と扁平な細胞で被われている内層の脳側硬膜よりなる。これらの膜は、一定の部位で、2枚に分離して大きな硬膜静脈洞を形成する。内層の脳側硬膜は、数個隔壁を作って、頭蓋腔を各部屋に分ける。この中で一番大きい脳側硬膜の壁層は、鶏冠から起こり内後頭隆起まで正中線に沿って広がる鎌状をした膜で、これを大脳鎌という。)

Leptomeninx; Arachnoid mater and pia mater(柔膜;広義の軟膜;脳軟膜;クモ膜と軟膜)Leptomeninx; Arachnoidea mater et pia mater じゅうまく;こうぎのなんまく;くもまくとなんまく

[A14_1_01_003] →(クモ膜と軟膜との総称名。この対語として硬膜を脳硬髄膜pachymeninxとよぶことがある。クモ膜と軟膜はクモ膜下腔で隔てられているものの、クモ膜小柱で結びつけられており、神経が出入りするところや終糸のところでは両者は合体してしまう。)

Dura mater(硬膜;脳硬膜)Dura mater こうまく

[A14_1_01_101] →(硬膜は3層からなる髄膜の最外側をいう。脳を包む脳硬膜と脊髄を含む脊髄硬膜とを区別する。もともと硬膜は内外の2葉からなる。脊髄硬膜ではその概要は脊髄管腔を裏打ちしているところから骨膜とととよばれその内葉のみが脊髄硬膜とよばれる。この2葉がつくる腔所が硬膜上腔で、静脈叢と脂肪組織によってみたされている。一方、脳硬膜ではほとんどの部分で内外の2葉は癒着する。ただし上矢状静脈洞、横静脈洞、S状静脈洞、後頭静脈洞などは内外2葉の脳硬膜によって構成される管状の腔所であり、下矢状静脈洞、直静脈洞は内葉のみで構成される。さらに、脳硬膜の内葉は大脳縦裂、大脳横裂、小脳谷に膜状に入り込んで大脳鎌、小脳テント、小脳鎌をつくる。)

Cranial dura mater; Pachymeninx; Dura mater(脳硬膜;硬膜)Dura mater cranialis; Dura mater encephali; Pachymeninx; Dura mater のうこうまく;こうまく Feneis: 266 12

[A14_1_01_102] →(脳硬膜は脊髄硬膜と異なり1枚の膜をなし、脳の被膜であると同時に頭蓋骨内面の骨膜である。これは小児では骨と密着しているが、成人では頭蓋底、頭蓋縫合以外は骨から離れている。脳硬膜は内外の2層からなり、両層は通常癒着しているが、硬膜静脈洞のある所や三叉神経節のある所などでは2層が離れている。脳硬膜の外面は頭蓋骨との間を結合する突起のために粗で、両者の間には不完全に内皮細胞でおおわれたリンパ腔隙があり、これは硬膜上腔と呼ばれる。脳硬膜の内面は平滑で、これとクモ膜との間には連続して内皮細胞で覆われた狭い硬膜下腔がある。脳硬膜は内方に向かって強靱な突起を出して、脳を固定するのを助けている。これには大脳鎌、小脳鎌、小脳テントがある。)

Falx cerebri; Cerebral falx(大脳鎌)Falx cerebri だいのうがま Feneis: 266 13

[A14_1_01_103] →(大脳鎌は大脳縦裂の中に入り、下方に刃の部を向けた鎌状をなし、前方は鶏冠にはじまり、上縁は前頭稜および上矢状洞溝に沿って後走し、内後頭隆起に付く。上縁はその中に上矢状静脈洞を含む。下縁は自由縁で、大脳縦裂の中で脳梁のやや上方を走り、その中に狭い下矢状静脈洞を含む。大脳鎌の後下縁は小脳テントの上面と癒着し、その癒着縁は直静脈洞を含む。)

小脳天幕Tentorium cerebelliと大脳鎌Falx cerebri(3/4) 頭蓋冠の右半はほとんど完全に取り去ってある.

Tentorium cerebelli; Cerebellar tentorium(小脳テント;小脳天幕)Tentorium cerebelli しょうのうてんと Feneis: 266 14

[A14_1_01_104] →(小脳テントは後頭骨の内後頭隆起とその左右にのびる横洞溝からおこる脳硬膜は小脳上面に広がって中脳を扼し、前方は蝶形骨の前床突起に付着し、側方には側頭骨の錐体上縁に付着する。小脳の上面をおおうところから小脳テントの名がある。つまり、頭蓋腔は小脳テントにより大脳を入れる上ならびに中頭蓋窩と、小脳、橋、延髄を入れる下頭蓋窩に二分される。そして同時に小脳テントは大脳と橋、延髄を結合する中脳が通れるだけの間隙をつくっているわけで、中脳を扼している小脳テントの部分をテント切痕とよぶ。)

Tentorial notch; Incisura of tentorium(テント切痕;天幕切痕)Incisura tentorii てんとせっこん Feneis: 266 15

[A14_1_01_105] →(テント切痕は天幕切痕とも呼ばれる。小脳テントの内側は遊離縁となり、テント切痕を形成する。この硬膜は反転して、左右の大脳半球のために頭蓋腔を左右2つの部屋に分け、後部は小脳と下位の脳幹が入る一つの部屋をつくる。テント切痕はこれらの部屋の唯一の開口部であり、脳幹がこのテント切痕を通る。)

Falx cerebelli; Cerebellar falx(小脳鎌)Falx cerebelli しょうのうがま Feneis: 266 16

[A14_1_01_106] →(小脳鎌は左右の小脳半球の間へ介入するもので、大脳鎌に比してはるかに小さい。その前縁は自由縁であるが、後縁は内後頭隆起から内後頭稜をへて大後頭孔の後縁部で終わり、後頭静脈洞を含む。)

Diaphragma sellae; Sellar diaphragm(鞍隔膜)Diaphragma sellae あんかくまく Feneis: 266 17

[A14_1_01_107] →(トルコ鞍では下垂体は海綿静脈洞に囲まれている。ここでは脳硬膜の外葉は骨膜として頭蓋骨面側面をおおうが、内葉はトルコ鞍外側縁で立ち上がって海綿静脈洞を覆って漏斗板に達し、反転して下垂体を包む。下垂体柄を扼している脳硬膜内葉の部分を鞍隔膜とよぶ。この隔膜があるために脳出しで下垂体が脳をともに取り出せない。(解剖学辞典:金光晟))

Trigeminal cave; Trigeminal cavity(三叉神経腔)Cavum trigeminale; Cisterna nervi trigemini さんさしんけいくうMeckel's cave Feneis: 266 18

[A14_1_01_108] →(蜥形類では三叉神経節は頭蓋の外にあるが哺乳類では蝶形骨大翼が発達してこの神経節を2次的頭蓋腔に取り入れたと説明される。脳硬膜は側頭骨の錐体上角で三叉神経根を一端扼して反転し、三叉神経節までを袋状につつんでいる。三叉神経根と三叉神経節とをいれるこの脳硬膜の腔所を三叉神経腔または起債者にちなんでMeckel腔とよぶ。J.F. Meckel(1781-1833)はドイツの比較解剖学者。脳硬膜が三叉神経根を扼す部分を脳神経の1次出口とよび、Meckel腔はもともと頭蓋腔の外であることから、三叉神経節とこれを包む脳硬膜のある空間を比較解剖では翼上腔とよぶことがある。)

Subdural space(硬膜下腔;硬膜下隙)Spatium subdurale こうまくかくう Feneis: 266 19

[A14_1_01_109] →(硬膜とクモ膜の間の脳脊髄液の満ちた狭い腔所と考えられていたが、現在では外傷などの病的過程で出現するものと見なされている。健康な状態ではクモ膜は脳脊髄液減圧のため硬膜と軽く接触しており、硬膜下腔は自然の状態では出現しない。)

Extradural space; Epidural space(硬膜上腔;硬膜外腔)Spatium epidurale; Spatium extradurale こうまくじょうくう;こうまくがいくう

[A14_1_01_110] →(硬膜外腔は脊柱管壁と脊髄硬膜の間の腔。)

Spinal dura mater(脊髄硬膜)Dura mater spinalis せきずいこうまく Feneis: 266 20

[A14_1_01_111] →(脊髄硬膜は内外の2枚の膜からなる。外板はやや薄く、脊柱管をおおう骨膜となる。内板は厚く、狭義の脊髄硬膜に相当し、脊髄を包む長い円筒形の嚢を作る。これは上方は大後頭孔縁に付き、下方は脊髄円錐を越えてさらに馬尾を包みつつ下り、第2~3仙椎の高さで急に尖って終わる。なおその続きは終糸の下半分と癒着して細い索となり、尾骨に付く(脊髄硬膜糸)。椎間孔では硬膜は骨と癒着している。内板と外板の間は脂肪に富んだ結合組織、静脈叢などで満たされ、これを硬膜上腔という。内板とクモ膜との間にも内皮細胞で覆われた狭いリンパ腔隙があり、これは硬膜下腔と呼ばれる。)

Epidural space(硬膜上腔;硬膜外腔)Spatium epidurale; Spatium peridurale; Cavum extradurale こうまくじょうくう;こうまくがいくう Feneis: 266 22

[A14_1_01_112] →(脊髄硬膜の内側と外側の両表面は、1層の扁平な細胞がおおっている。この厚い脊髄硬膜と骨膜との間には硬膜上腔がある。)

Arachnoid mater; Arachnoidea; Arachnoid membrane(クモ膜)Arachnoidea mater くもまく

[A14_1_01_201] →(クモ膜は硬膜直下にある薄い結合組織性の膜で、血管がなく、外表面は内皮様の神経中皮によっておおわれている。また、膜の内表面に不完全な内表の細胞が存在する。脳クモ膜は脳軟膜とは異なり大脳溝や小脳溝内に入り込むことはない。クモ膜が大脳縦裂や大脳横裂のの中に進入するのはその外側の硬膜(大脳鎌や小脳テント)によって押し込まれたものである。クモ膜の内面からは線維性結合組織性の小柱が出て軟膜につく。これらの小柱によって結ばれているクモ膜と軟膜の間の腔をクモ膜下腔という。この腔所は脳脊髄液によって満たされて脳と脊髄を液体のクッションで支えるとともに、この中を脳脊髄を養う動静脈が走っている。 脳表から脳実質内に出入りする動静脈は、毛細血管になるまでは、その周囲にクモ膜下腔を伴っており、脳脊髄液に包まれている。この腔所をWirchow-Robin腔という。この腔の内壁を作る血管外膜と、外壁にあたる軟膜は毛細血管になる前で癒合し、終末輪を作って血管周囲腔(Wirchow-Robin腔)を閉ざす、表層からこの癒合部までをその形態にちなんで軟膜漏斗という。クモ膜と軟膜との間にはクモ膜下柱梁とよばれる柱状の結合組織がクモの巣状に張っている。クモ膜は脳表面の陥凹部をとび越えて張るためにクモ膜下腔のとくに広い場所が生じる。これをクモ膜下槽とよび、大脳外側窩槽、小脳延髄層、脚間槽などがよく知られている。)

Subarachnoid space; Leptomeningeal space(クモ膜下腔;軟膜腔;軟膜間隙)Spatium subarachnoideum; Spatium leptomeningeum; Spatium leptomeningicum くもまくかくう;なんまくくう;なんまくかんげき Feneis: 266 24

[A14_1_01_202] →(クモ膜下腔はクモ膜と軟膜の間の空間で、繊細な線維性の柱が縦走し脳脊髄液で満たされている。軟膜は脳および脊髄の表面に直接付着するため、脳表面が深く陥凹する所(大脳皮質の深溝など)ではこの空間は非常に広がる。部位によってその広さが異なり、特に広くなっている部分をクモ膜下層という。その主なものは、延髄背側面と小脳下面の間にある小脳延髄層、大脳外側窩にある大脳外側窩槽、視交叉の周囲にある交叉槽、両側の大脳脚の間にある脚間槽、大脳横裂中で大大脳静脈槽に続く迂回槽、橋の腹側にある橋槽などがある。これらのうち、小脳延髄層は最も大きく、大槽ともいわれ、ここへ第四脳室正中口および外側口が開く。脳脊髄液採取のため大後頭孔の下からこの槽が穿刺される(後頭下穿刺)。クモ膜下腔には脳に出入りする血管・神経が走る。)

脳皮質とこれに入る血管との関係を示す断面図(半模型的) KeyとRetziusの図にもとづいて画いてある.v, v', v'毛細血管,vまだクモ膜下腔の内部にあるもの;5 クモ膜小梁と小膜;P 柔膜の内膜Intima pia,これは脳内に進入する血管の外膜鞘にロート状をなして続いている;a. p. 外膜性の血管周囲腔;Pe ヒス血管周囲腔Hisscher Perivasculdirer Raum と ep, ep いわゆるepicerebraler Raum(脳表面腔)とはおそらく人工産物であろう.

脳膜顆粒の1つとその被膜とを模型的に表わしたもの co 大脳半球の灰白皮質;p 柔膜内膜Intima pia;sa クモ膜小梁をもったクモ膜下腔,これが脳膜顆粒加にそのまま続いている;a クモ膜;sd硬膜下腔;sd'脳膜顆粒の硬膜下腔,これは脳膜顆粒の細い柄の周りでsdとつづいている;d硬膜の内板,これは静脈腔ηにより外板のdiから隔てられている;ds脳膜顆粒の硬膜鞘

Cerebrospinal fluid (CSF)(脳脊髄液)Liquor cerebrospinalis のうせきずいえき Feneis: 266 25

[A14_1_01_203] →( 脳脊髄液は主として側脳室・第三脳室・第四脳室の脈絡叢で産生さえる無色透明なリンパ様の水溶液で、側脳室から室間孔を経て第三脳室に流入し、さらに中脳水道を経て第四脳室に入る。液は第四王室の上壁にある第四脳室正中口および外側溝を経て、脳室からクモ膜下腔に出て、脳・脊髄を囲むクモ膜下腔を満たす(図9-100)。ついで、脳脊髄液はクモ膜下腔を循環した後、上肢状静脈洞内に突出するクモ膜絨毛・クモ膜顆粒(p.744)から血液内に吸収される。一部は直接にクモ膜下腔の静脈や脳・脊髄神経の周囲のリンパ隙にも吸収されるといわれる。  脳脊髄液は全量約130mlで、そのうち脳室内に含まれるのは約20mlであるから、大部分はクモ膜下腔にある。脳脊髄液は脳・脊髄を侵し、衝撃など外力に対する緩衝媒体として脳・脊髄を保護し、頭蓋内圧の調節にあずかり、また、その代謝にも関係があるといわれる。  脳の重量は約1,500gであるが、頭蓋腔内では脳脊髄液に浸されているので、浮力を考慮すると、約50gに相当するといわれる。 ★脳脊髄液の産生過剰、吸収障害、循環経路の狭窄・閉塞などがあると、液の異常な増加が起こり、頭蓋内圧が高まる。とくに側脳室に大量の脳脊髄液が貯留すると、脳室の異常な拡張が起こる(水頭症hydrocephalus)。(解剖学講義) 脳脊髄液は脈絡叢より分泌され蛋白成分は少ない脳室系とクモ膜下腔とをみたす液。細胞数2~6/mm3で1日に約500ml産生され、脳室内部を満たしたあと、第四脳室下端にある正中口と外側口からクモ膜下腔に流れる。全髄液量は約130mlであることから、毎日数回交換されていることになる。脳脊髄液の比重は1.005、pH7.35~7.4でタンパク(10~40mg/dl)、免疫グロブリン、糖(血糖値の1/2~1/3)、クロールなどを含む。)

Cranial arachnoid mater(脳クモ膜)Arachnoidea mater cranialis; Arachnoidea mater encephali のうくもまく Feneis: 266 23

[A14_1_01_204] →(脳クモ膜は脊髄クモ膜の続きで、脳硬膜との間には硬膜下腔があり、脳軟膜とはクモ膜下腔によって分かたれる。クモ膜から多数の細い結合組織線維の小梁が出て軟膜と結合するので、クモ膜下腔は網状をなし、中に脳脊髄液を満たす。軟膜は脳の表面をくまなくおおっているが、クモ膜は大脳縦裂以外のすべての脳溝を超過しているので、脳回の凸面では両膜は密に結合している。)

Arachnoid granulations(クモ膜顆粒)Granulationes arachnoideae くもまくかりゅう Feneis: 266 31

[A14_1_01_205] →(クモ膜顆粒は記載者にちなんでパキオニ小体(顆粒)ともよばれる。脳の静脈洞付近、ことに上矢状静脈洞付近のクモ膜外面はさまざまの大きさの顆粒状突起を出し、その先端を静脈洞に入れ、あるいは脳硬膜を圧して隆起して頭蓋骨内面にクモ膜顆粒小窩を残す。脳クモ膜において特異なものは主として上矢状静脈洞の付近にクモ膜のきのこ状の突起が見られることである。この突起はクモ膜顆粒と呼ばれる。これは硬膜を圧してそれを隆起させ、一部分は上矢状静脈洞の中に入り込んでおり、また一部は上矢状洞溝の付近の骨の内部に入り込み、そこにクモ膜顆粒小窩を作っている。クモ膜顆粒はクモ膜下腔の脳脊髄液を外方、ことに硬膜静脈洞に排出するものであると考えられている。顕微鏡的にクモ膜外面は一般に小突起をもつ。これをクモ膜絨毛(Villi archnoideales)とよび、仙尾髄領域に特に多い。イタリアの解剖学者Antonio Pacchioni (1665-1726)によって、1705年に記載された。彼はこの小体を硬膜の腺と考えたという。)

Arachnoid trabeculae(クモ膜小柱)Trabeculae arachnoideae くもまくしょうちゅう

[A14_1_01_206] →(クモ膜小柱は硬膜に付着するクモ膜と脳に固着する軟膜との間のクモ膜下腔を横切って走る線維芽細胞とコラーゲンからなる繊細な矢状構造。)

Subarachnoid cisterns(クモ膜下槽;軟膜槽)Cisternae subarachnoideae; Cisternae leptomeningicae くもまくかそう;なんまくそう Feneis: 266 26

[A14_1_01_207] →(クモ膜下腔は特定の部位でとくに広くなっている。このようなところをクモ膜下層という。たとえば、小脳の下面と延髄の背側面との間には小脳延髄層がある。)

Posterior cerebellomedullary cistern; Cisterna magna; Great cistern(後小脳延髄槽;小脳延髄槽;大槽)Cisterna cerebellomedullaris posterior; Cisterna cerebellomedullaris; Cisterna magna こうしょうのうえんずいそう;しょうのうえんずいそう;だいそう Feneis: 266 27

[A14_1_01_208] →(後小脳延髄槽は小脳の延髄背面との間にある最大のクモ膜下槽で大槽とも呼ぶ。ここには第四脳室正中口ならびに外側口が開いて、脳室系とクモ膜下層の脳脊髄液の接点となっているため、脳室の脳脊髄液を得たいときにはこの槽に穿刺(後頭下穿刺)を行う。)

Lateral cerebellomedullary cistern(外側小脳延髄槽)Cisterna cerebellomedullaris lateralis; Cisternae pontis laterales がいそくしょうのうえんずいそう

[A14_1_01_209] →(小脳延髄槽は小脳と延髄との間にある最大のクモ膜下腔で、小脳と延髄背面との間にある後小脳延髄槽(大槽)と小脳と延髄外側面との間にある外側小脳延髄槽に分けている。)

Cistern of lateral cerebral fossa(大脳外側窩槽;大脳外側谷槽)Cisterna fossae lateralis cerebri だいのうがいそくかそう;だいのうがいそくこくそう Feneis: 266 28

[A14_1_01_210] →(大脳外側窩槽はクモ膜がSylvius溝開口部にまたがって張っているため、クモ膜下腔が拡大されてできる槽。)

Chiasmatic cistern(交叉槽;視交叉槽)Cisterna chiasmatica こうさそう;しこうさそう Feneis: 266 29

[A14_1_01_211] →(交叉槽は視交叉の下方および前方にクモ膜下腔が拡張したもの。)

Interpeduncular cistern(脚間槽)Cisterna interpeduncularis きゃくかんそう Feneis: 266 30

[A14_1_01_212] →(脚間槽は橋底の吻側で乳頭体の腹尾側にあるクモ膜下腔の拡張部で、クモ膜が両側頭葉間に張って間脳底をおおう形になり、クモ膜と間脳底の間に槽を形成する。この中に動眼神経がある。)

Cisterna ambiens; Ambient cistern(迂回槽)Cisterna ambiens うかいそう

[A14_1_01_213] →(中脳の上部で、背側から外側にかけて取り巻いている大大脳静脈槽を、臨床では迂回槽とよんでおり、重要なクモ膜下層である。その理由は、このクモ膜下層のなかに、大大脳静脈、後大脳動脈、上小脳動脈などが存在するからである。)

Pericallosal cistern; Cistern of corpus callosum(脳梁周囲槽;脳梁周槽;脳梁槽)Cisterna pericallosa; Cisterna corporis callosi のうりょうしゅういそう;のうりょうしゅうそう

[A14_1_01_214] →(脳梁周囲槽は脳梁の全長にわたって周囲にある腔所で、脳梁周囲動脈や前大脳動脈の分枝を入れる。)

Pontocerebellar cistern(橋小脳槽;橋槽;橋前槽)Cisterna pontocerebellaris; Cisterna pontis きょうしょうのうそう;きょうそう;きょうぜんそうHilton, Waterbed of

[A14_1_01_215] →(橋小脳槽は橋が小脳と連絡するところの両側にある腔所で、上下に分けることもできる。橋槽(Pontine cistern)、橋前槽(Prepontine cistern)ともよばれる。)

Cistern of lamina terminalis(終板槽)Cisterna laminae terminalis しゅうばんそう

[A14_1_01_216] →(終板槽は大脳終板の前端にある腔所。)

Quadrigeminal cistern; Cistern of great cerebral vein(四丘体槽;大大脳静脈槽)Cisterna quadrigeminalis; Cisterna venae magnae cerebri しきゅうたいそう;だいだいのうじょうみゃくそう

[A14_1_01_217] →(大大脳静脈槽ともよばれる。四丘体槽は脳梁と視床の間で中脳被蓋のすぐ後方に位置するやや広がって伸び出たクモ膜下腔で、背側から外側にかけて取り巻いている大大脳静脈槽を、臨床では迂回槽cisterna ambiensと呼んでおり、重要なクモ膜下層である。その理由は、このクモ膜下層の中に、大大脳動脈(great vein of Galen)、後大脳動脈、上小脳動脈などが存在するからである。これらのクモ膜下層のほとんどは、核磁気共鳴画像撮影法(MRI)やCTによる画像で見ることができる。)

Spinal arachnoid mater; Arachnoid of spinal cord(脊髄クモ膜)Arachnoidea mater spinalis; Arachnoidea spinalis せきずいくもまく Feneis: 268 01

[A14_1_01_218] →(脊髄クモ膜は脊髄と硬膜と軟膜の間にある血管を含まない薄膜で、内皮細胞でおおわれた多数の細い結合組織線維の小梁によって軟膜と結合されている。特に頚部から胸部にかけてこれらの小梁が背側正中部で多く、強くなり、上下に続いた中隔を作る。これを中間頚部中隔という。クモ膜と軟膜との間には比較的広いクモ膜下腔があり、ここには脳脊髄液がある。脳クモ膜にみられるような槽を作らない。脊髄クモ膜下腔は臨床的に腰椎穿刺に利用される。穿刺は脊髄損傷を避けるために脊髄円錐より下方(第3,4腰椎間)で行う。その際に高さの基準としてヤコビの線Jacoby's lineが選ばれる。ヤコビの線は左右の腸骨稜の最高点を結ぶ線で、およそ第4腰椎の棘突起の高さに相当する。)

Lumbar cistern(腰椎槽)Cisterna lumbalis ようついそう

[A14_1_01_219] →(腰椎槽は、脊髄円錐(第一腰椎の下縁)の高さから、第二仙椎の高さぐらいまで長く伸びるている。この腰椎槽の中には、終糸や馬尾の神経根がある。脳脊髄液を分析するために取りだすのは一般にクモ膜下層からである。脳脊髄液を局所麻酔薬と置換すると脊髄麻酔が起こる。)

Pia mater(軟膜)Pia mater なんまく

[A14_1_01_301] →(軟膜は血管に富み、①内側にある膜すなわち最内軟膜inima piaと、②それより表層にある表層軟膜epipial layerとからなる。最内軟膜は、下にある脳実質の形に沿って密着して脳を包んでいる。この膜は、細い細網線維と弾性線維とでできている。血管が中枢神経系組織に出入りする部分では、最内軟膜が血管に伴って陥入して、血管と軟膜との間に血管周囲腔perivascular spaceを形成する。最内軟膜は、血管の分布がないので、脳脊髄液やすぐ下の神経組織から栄養の供給を受けている。表層軟膜は、膠原線維束の網工で形成され、これはクモ膜小柱に移行する。脊髄の血管は、表層軟膜の中に存在するが、他方、脳の血管はクモ膜小柱によって固定された最内軟膜の表層を走る。大脳皮質の脳回には表層軟膜を欠いている。)

Cranial pia mater; Leptomeninx(脳軟膜)Pia mater cranialis; Pia mater encephali のうなんまく Feneis: 268 04

[A14_1_01_302] →(脳軟膜は脳の表面をくまなくおおう薄膜で、脊髄におけるよりも密に脳に付いている。軟膜は脳室壁が上衣層のみからなる部位(上衣板)の外表面をおおい、脈絡組織を作り、上衣板と癒着している。脈絡組織から脳室内に血管に富む脈絡叢が出ており、その脳室面はやはり上皮板によっておおわれる。この部分における上衣板の上衣細胞は立方系で、単層を無し、脳脊髄液を分泌すると考えられている。脈絡組織には第四脳室脈絡組織と第三脳室脈絡組織がある。)

Tela choroidea of fourth ventricle(第四脳室脈絡組織)Tela choroidea ventriculi quarti だい4のうしつみゃくらくそしき Feneis: 268 05

[A14_1_01_303] →(第四脳室脈絡組織は小脳と延髄の間から入り、第四脳室蓋の後部を作る。全体としては底辺を上方に、頂点を下方に向けた三角形を呈し、底辺は下髄帆および小節に付着し、外側片は左右の第四脳室ヒモに付き、頂点は閂に相当する。底辺の両端および閂にはそれぞれ1対の第四脳室外層口および1つの第四脳室正中口がある。第四脳室脈絡組織はその内面から第四脳室に向かって第四脳室脈絡叢を出している。これは第四脳室正中口にはじまり、正中線に沿って上方に左右1本ずつ走り、小節の付近で左右のものが分かれ、それぞれ外側方に向かい第四脳室外側口に達し、その一部は外側口から出ている。)

Choroid plexus of fourth ventricle(第四脳室脈絡叢)Plexus choroideus ventriculi quarti だい4のうしつみゃくらくそう Feneis: 268 06

[A14_1_01_304] →(第四脳室脈絡叢は第四脳室蓋下部から両側に突出する軟膜の血管のとびだし、またはふさで、ここからも脳脊髄液が分泌される。)

Tela choroidea of third ventricle(第三脳室脈絡組織)Tela choroidea ventriculi tertii だい3のうしつみゃくらくそしき Feneis: 268 07, 294 08

[A14_1_01_305] →(第三脳室脈絡組織は脳軟膜が大脳半球の後頭葉と小脳の間を通り、さらに脳梁膨大と松果体の間(大脳横裂)から入って第三脳室の上壁を作っているもので、上葉と下葉とからなり、両者の間はクモ膜下組織にによって満たされ、1対の内大脳静脈を含む。第三脳室脈絡組織は全体として頂点を前に向けた三角形をなし、その頂点は脳弓柱、底辺は脳梁膨大、左右の外側辺は付着板の内側縁をなす脈絡ヒモによって作られる。この正中部は第三脳室の上壁を形成し、その下面は第三脳室上衣板でおおわれ、ここから下方に向かい、正中線に沿って左右1対の第三脳室脈絡叢がでる。これらは外側方は視床髄条の表面に視床ヒモをもって付着する。第三脳室脈絡組織の外側部は視床の背側面をおおい、さらに外側方に延びて脳弓(海馬采を含む)と分界条との間にある裂隙、すなわち脈絡裂を通って側脳室の中心部および下角に入り込む。脈絡裂の全長にわたってこの部から側脳室に向かい側脳室脈絡叢が出る。これは内側は脳弓ヒモに、外側は脈絡ヒモに付き、前方は室間孔を通って第三脳室脈絡叢に続き、後方は側脳室の中心部から下角に向かって延びる。中心部と下角の移行部では側脳室脈絡叢が肥厚し、これを脈絡糸球という。)

第三脳室脈絡組織・第三脳室脈絡叢と側脳室脈絡叢 間脳と側脳室とを通る前額断.半模型図. ×2 cr. 大脳脚;v. III第三脳室;v. l. 側脳室;r 脳弓(f)の上面と脳梁(c, a. )の下面とのあいだにある側脳室の陥凹;n. c. 尾状核;st. t. 分界条.脳弓の外側稜cからは,側脳室脈絡叢(ch. l. )をもつ柔膜葉が橋渡ししてaに向い付着板の縁に達している.このところ,ならびに脳弓の下面および視床と第三脳室との上面にある柔膜葉は点線であらわし,脈絡叢の上皮は鋸の歯のように多くのでこぼこをもつ線によって模型的に示してある.上下の両柔膜葉のあいだにはゆるいクモ膜下組織(sa. )と2本の内大脳静脈(v. v)の横断面とがある;ch. m. 第三脳室脈絡叢.

Choroid plexus of third ventricle(第三脳室脈絡叢)Plexus choroideus ventriculi tertii だい3のうしつみゃくらくそう Feneis: 268 08, 294 10

[A14_1_01_306] →(第三脳室脈絡叢は脈絡組織の下面から出る2列の血管突出で、第三脳室をおおう。)

第三脳室脈絡組織Tela chorioidea ventriculi tertiiとその周囲を通る横断面(W. His1895) II側脳室;III第三脳室;C. c. 脳梁;F 脳弓(弓隆):Th 視床;St. m. 髄条;St. t. 分界条;V. t. 視床線条体静脈;L 付着板.1 髄ヒモ;2 視床脈絡ヒモ;3 脳弓ヒモ.この図はこれらの3紐が脈絡叢の上皮層に移行することを示す.

Choroid plexus of lateral ventricle(側脳室脈絡叢)Plexus choroideus ventriculi lateralis そくのうしつみゃくらくそう Feneis: 268 09

[A14_1_01_307] →(側脳室脈絡叢は脈絡裂から左右の側脳室に突出する血管のふさ。)

側脳室脈絡叢,その下角にある部分 海馬足と側脳室の下角とを通る前額断.×2  v. l. 側脳室の下角;sub. 海馬傍回;c. A. 海馬足,その脳室面ではdからcまでは白い髄質板で被われ,この髄質板はにおいて海馬采fiに移行している.aとbとのあいだでは脈絡叢p. ch. が脈絡壁Parles chorioideus, Zottenplatte (R. Wetzel)を作っている.外に露われている面を被う柔膜の続きは点線で示してある.n. c. 尾状核尾;f歯状回;g 退行髄板Lamina medullaris involuta,これは白網様質に続いている.

Choroidal enlargement(脈絡糸球;脈絡叢拡大部)Glomus choroideum みゃくらくしきゅう;みゃくらくそうかくだいぶ Feneis: 268 10

[A14_1_01_308] →(脈絡糸球は側脳室房の脈絡叢が拡大した部分、高齢者では部位によって石灰化を起こす。)

Spinal pia mater(脊髄軟膜;脊髄柔膜)Pia mater spinalis; Pia mater spinalis せきずいなんまく;せきずいじゅうまく Feneis: 268 11

[A14_1_01_309] →(脊髄軟膜は脊髄の表面を直接おおう、血管に富む薄い膜で、前正中裂も入り込んでいる。軟膜の特別の延長部として歯状靱帯がある。これは約20対の、前根と後根の間で前頭面にある靱帯で、ほぼ三角形を呈し、その頂点は硬膜に付き、脊髄を固定するのに役立つ。)

Denticulate ligament(歯状靱帯)Ligamentum denticulatum しじょうじんたい Feneis: 268 12

[A14_1_01_310] →(脊髄では、表層軟膜の組織から成る扁平な厚い膜が外側へ向かって一列に連続してならび、脊髄と硬膜とを結んでいる。これが歯状靱帯である。各々の歯状靱帯は外側に頂点を向けた三角形を呈し、この三角形の頂点が前根と後根の中間に当たる脊髄の外側表面に付着している。この靱帯の基部は軟膜から起こり、三角形の頂点が、クモ膜と脊髄硬膜の内表面に固く付着している。歯状靱帯は、脊髄を硬膜に固定するため、脊髄全長にわたって存在する。しかし脊髄円錐の部位では、表層軟膜が終糸の周囲を包むように覆っている。)

Intermediate cervical septum; Posterior intermediate septum(中間頚部中隔;中頚部中隔;後中間中隔)Septum cervicale intermedium ちゅうかんけいぶちゅうかく;ちゅうけいぶちゅうかく;こうちゅうかんちゅうかく Feneis: 268 13

[A14_1_01_311] →(中間頚部中隔は神経膠線維と粘膜性結合組織からなる薄い中隔。頚髄で、薄束と後索の楔状束の境界を形成している。)

Filum terminale; Terminal filum(終糸)Filum terminale しゅうし Feneis: 268 14, 268 20

[A14_1_01_401] →(終糸は長く細い結合組織性の軟膜線維束で脊髄円錐下端から脊髄硬膜鞘の内面まで伸びている(終糸の軟膜部、内終糸)。脊髄硬膜鞘から尾骨まで伸びている頑丈な線維束(終糸の硬膜部、外終糸、尾骨靱帯)。脊髄の下端部は下方に向かった円錐を作り、脊髄円錐と呼ばれ、その先端からさらに16cm位の細いひもが下り、尾骨の後面につく。これを終糸といい、元来の脊髄の延長部であるが、大部分軟膜から成り、上端部は痕跡的な脊髄を含む。)

Dural part of filum terminale; Coccygeal ligament; Filum terminale externum(終糸硬膜部;尾骨靱帯;外終糸)Pars duralis fili terminalis しゅうしこうまくぶ;びこつじんたい;がいしゅうし Feneis: 266 21

[A14_1_01_402] →(脊髄硬膜は、大(後頭)孔の下縁から始まり第二仙椎の高さまで続く閉鎖された管である。硬膜の尾側縁は、終糸のまわりを囲む細い線維性の紐状物となり、尾骨靱帯を形成する。この靱帯は、尾側に伸びて尾骨と尾骨の骨膜に移行する。脊髄の下端は、第一腰椎の下縁の高さで終わる。硬膜は、脊髄神経根を包んで外側に走り、神経根を取り囲む神経周膜に移行する。)

Pial part of filum terminale; Pial filament; Filum terminale internum(終糸軟膜部;軟膜終糸;内終糸)Pars pialis fili terminalis しゅうしなんまくぶ;なんまくしゅうし;ないしゅうし Feneis: 268 14

[A14_1_01_403] →(終糸軟膜部は脊髄および軟膜の線維状終末。脊髄硬膜枝に包まれる。)

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